原理/知識
SCIとSCEの違いとは?
測色計におけるSCI方式/SCE方式の特徴や使い分けをわかりやすく解説
製品の色を数値で管理するために使用される測色計では、測定方式によって得られる色の値が変わる場合があります。
その代表的な測定方式が、「SCI方式」と「SCE方式」です。
SCI方式は、正反射光を含めて測定することで、表面状態による影響を抑えながら、色材や素材そのものの色を評価する方式です。
一方、SCE方式は、正反射光を除いて測定することで、表面状態や光沢の違いによる見た目の変化を測定値に反映しやすく、一般的な観察環境での見た目の色評価に適しています。
色材や素材そのものを評価したいのか、製品の外観を評価したいのかなど、測定目的に応じて適切な方式を選択することが重要です。
本記事では、SCIとSCEの測定原理や特徴、それぞれに適した用途、色管理における使い分けについて解説します。
SCIとSCEの違いとは
測色計では試料に白色光を照射し、反射して戻ってきた光を測定することで色を数値化します。このとき測定される反射光には、大きくわけて「正反射光」、「拡散反射光」の2種類があります。
SCIとSCEの違いは、この「正反射光」を測定に含めるか、除外するかにあります。
SCI方式とSCE方式の比較
| 比較項目 | SCI方式 | SCE方式 |
|---|---|---|
| 英語表記 | Specular Component Included | Specular Component Excluded |
| 日本語表記 | 正反射光含む方式 | 正反射光除去方式 |
| 測定する光 | 正反射光+拡散反射光 | 拡散反射光 |
| 表面状態の影響 | 受けにくい | 受けやすい |
| 評価できる内容 | 色材や素材そのものの色 | 一般的な観察環境での見た目の色 |
| 主な用途 | 材料色管理、配合管理、ロット間の材料比較 | 外観検査、見た目の色管理、光沢差を含む外観評価 |
SCI光学系は、全ての方向の反射光を積分球で集めて測定しますので、表面状態が違って正反射光の方向が変わっても関係なく、「素材の色」が測定できます。
SCE(de:8°)光学系は、一般的な検査室内や屋外などの拡散照明下で、試料の色をほぼ垂直方向から観察し、照明光源の正反射光が眼に入ると、これを避けて試料の色を観察する状況を国際的に標準化し、規格化された光学系ですので、「一般的な拡散照明下での見た目の色」によく合う測定結果が得られます。
正反射光と拡散反射光の違い
SCIとSCEを理解するには、まず正反射光と拡散反射光の違いを理解することが重要です。
【正反射光とは】
正反射光とは、光が物体表面で鏡のように反射する光です。
【拡散反射光とは】
拡散反射光とは、物体表面や内部で光が散乱し、さまざまな方向へ広がって反射する光のことです。
塗料や樹脂、紙、布などでは、光の一部が物体内部に入り、色材や顔料によって特定の波長が吸収された後、さまざまな方向へ拡散して進みます。
SCI方式とSCE方式について、以下にて詳しく解説していますのでご参照ください。
SCIとSCEでは同じ試料でも測定値が変わる
同じ試料を測定しても、SCI方式とSCE方式では測定値が異なる場合があります。これは、SCI方式とSCE方式で測定する反射光が異なるためです。
例えば、SCI方式は正反射光と拡散反射光を合わせて測定するため、一般的なソリッド色材では表面状態による影響を抑えながら、色材そのものの違いを評価できます。
一方、SCE方式では正反射光を除外するため、表面状態や光沢差の影響が測定値に現れやすくなります。同じ色材を使用していても、表面が平滑で光沢がある場合と、表面が粗く光沢が低い場合では、人の目には異なる色に見えます。
このような見た目の違いを測定値に反映しやすいことが、SCE方式の特徴です。
そのため、測定目的に応じて、以下のように使い分けることができます。
| 評価したい内容 | 適した測定方式 |
|---|---|
| 素材や色材そのものの色を管理したい | SCI方式 |
| 製品の見た目の色を管理したい | SCE方式 |
ただし、試料によっては注意が必要です。
鏡面に近い試料や高光沢で拡散反射光が少ない試料では、SCE方式の測定値が不安定になる場合があります。また、シボのような凹凸面では、SCE方式だけでは正反射光を十分に除去できない場合があります。
そのため、SCI方式とSCE方式は測定目的だけでなく、試料の光沢、凹凸、表面状態も考慮して選定することが重要です。
SCI方式の特徴と適した用途
SCI方式は、正反射光と拡散反射光を含めた全反射光を測定する方式です。
すべての反射光を測定することで、一般的なソリッド色材では表面の光沢や仕上げ状態の違いに影響されず、色材や素材そのものの色を評価しやすくなります。
そのため、塗料、樹脂、インキ、顔料などの材料管理や、製造工程における色管理に適しています。
SCI方式が適している用途
SCI方式は、以下のような評価に適しています。
| 評価目的 | 活用例 |
|---|---|
| 色材管理 | 塗料や顔料の配合管理 |
| 材料評価 | 樹脂材料やプラスチックの色管理 |
| 工程管理 | 製造ロット間の材料色の比較・管理 |
| 開発評価 | 材料変更による色の変化確認 |
例えば、樹脂メーカーや塗料メーカーでは製品の外観だけでなく、材料そのものの色を安定して管理する必要があります。
このような場合、SCI方式を使用することで、表面状態の影響を抑えながら、色材や素材の違いを評価しやすくなります。
また、正反射光に色が付く金属や金属メッキの鏡面/粗面、薄膜干渉色などの構造色もSCI方式が適しています。
SCI方式を使用する際の注意点
SCI方式でも試料によって測定条件の統一は重要です。
メタリックやパールの塗装/樹脂のように、見る角度によって色が変化する試料では、SCI方式だけでは十分な色管理が難しい場合があるため、多角度測色計などの併用を検討する必要があります。
SCE方式の特徴と適した用途
SCE方式は、正反射光を除いて、主に拡散反射光を測定する方式です。
正反射光には光沢や映り込みなど、周囲の環境や表面状態による影響が含まれます。SCE方式では、この正反射光を測定から除くことで、一般的な観察環境で人が製品を見るときの色の見え方に近い評価がしやすくなります。
人が物体の色を判断するときには、まぶしく見える(正反射角方向に進む)正反射光を避けて観察するため、拡散反射光を測定するSCE方式は、見た目の色の評価に適しています。
SCE方式が適している用途
SCE方式は、以下のような評価に適しています。
| 評価目的 | 活用例 |
|---|---|
| 製品外観の色管理 | 塗装部品、樹脂成形品の色差確認 |
| 見た目の品質評価 | 消費者が見る製品色の管理 |
| 外観の評価 | シボ加工やツヤの違いによる見た目の変化確認 |
例えば、自動車内外装部品や家電製品、樹脂成形品などでは、実際に人が製品を見る環境での色の違いが重要になります。
このような場合、SCE方式を用いることで、目視評価に近い色管理が可能になります。
SCE方式を使用する際の注意点
SCE方式は、高光沢面や凹凸面では表面状態の違いが測定値に現れやすくなります。また、メタリック塗装、パール塗装など角度依存性の高い試料では、多角度測色計の使用を検討することが重要です。
加えて、金属や金属メッキの鏡面では、正反射光が全てで拡散反射光が無くなりますので、SCE方式では測定も色管理もできません。この場合は、正反射光が測定できるSCI方式を使用します。
SCIとSCEの選び方
SCI方式とSCE方式のどちらを選択すべきかは、何を評価したいのかによって決まります。
「材料や色材そのものの色を管理したい」のか、「製品を見たときの色や外観を管理したい」のかによって、適した測定方式は異なります。
まずは評価目的を明確にしたうえで、それぞれの目的に適した測定方式を選択することが重要です。
一般的には、色材や素材そのものの色を評価したい場合にはSCI方式、製品の見た目や外観を評価したい場合にはSCE方式が適しています。
以下に、主な評価目的と推奨される測定方式を示します。
| 評価目的 | 推奨される測定方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 製品の見た目や外観色を管理したい | SCE方式 | 目視に近い色評価がしやすい |
| 色材や素材そのものの色を管理したい | SCI方式 | 表面状態の影響を抑えて評価しやすい |
| メタリック/パール色を評価したい | 多角度測色計も検討 | 角度による色変化を評価する必要がある |
メタリック/パール色を測定する場合の注意点
メタリック塗装やパール塗装では、SCI方式やSCE方式だけでは十分な評価が難しい場合があります。
これは、アルミ片やパール顔料などの光輝材が含まれることで、見る角度や照明条件によって色や明るさが変化するためです。
例えば、自動車のメタリック塗装では、以下のようなケースで色味や明るさの印象が変わります。
・正面から見た場合
・斜め方向から見た場合
・光が当たる角度が変化した場合
このような色は、単一方向からの測定では実際の見え方を十分に再現できない場合があります。
そのため、メタリック色やパール色の評価では、複数の角度で測定できる多角度測色計を使用することが有効です。
一般的なソリッドカラーではSCIとSCEの使い分けが有効ですが、光輝材を含む材料では、評価目的に応じて測定方法を選択することが重要です。
SCIとSCEは目的に応じて使い分けることが重要
SCI方式とSCE方式は、それぞれ評価できる内容や適した用途が異なります。一般的には、材料そのものの色を評価したい場合はSCI方式、製品の見た目や外観色を評価したい場合はSCE方式が適しています。また、メタリック塗装やパール塗装など、角度によって見え方が変化する試料では、多角度測色計の使用も検討することが重要です。
コニカミノルタでは、SCI/SCEの両方式に対応した分光測色計をはじめ、多角度測色計など、さまざまな製品評価や品質管理に対応する測定ソリューションをご提供しています。
「どの測定方式を選べばよいかわからない」「評価対象に適した測色計を知りたい」「現在の色管理方法を見直したい」といったご相談にも、測定対象や評価目的に応じて最適な測定方法や機種選定をご提案します。製品の色管理でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

























