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ハイパースペクトルカメラ Specim FXによるプラスチック選別

私たちの身の回りにあふれるプラスチックは、リサイクルボックスに捨てられた後、本当に再利用されているのでしょうか。
実際には、その多くのプラスチックが埋立地や焼却炉で処理され、リサイクルされることはほとんどありません。
リサイクル産業において価値のあるプラスチックはごく一部に限られており、それらの分別には多くのコストと時間がかかります。
一般的に、プラスチックは樹脂識別ラベルによって分類されますが(図1)、破砕された後や表示が不正確な場合には、この方法は役に立ちません。その結果、目視や色の違い、AI・機械学習を用いても正確な選別が困難または不可能になるケースがあります。
こうした課題を解決し、安全・高速・高精度にプラスチッをク識別・分類できる技術が実現すれば、リサイクル率の向上に大きく貢献します。新しいプラスチックを製造する資源の削減だけでなく、有害な化学物質の排出抑制にもつながります。

ハイパースペクトルイメージング技術の進化とSpecim FXシリーズの優位性

ハイパースペクトルイメージングは、プラスチックの化学組成に基づいて識別・分類を行う技術であり、近年リサイクル分野で急速に導入が進んでいます。
従来もハイパースペクトルカメラによる選別技術は存在していましたが、次のような課題があり、広範な普及には至っていませんでした。

●従来のハイパースペクトルカメラは速度が遅いため、投資対効果が低い
●分光技術では黒色プラスチックの識別が困難
●カメラ自体が高価で導入のハードルが高い

Specim FXシリーズがこれらの課題を解決

Specim FXシリーズは、従来の弱点であった処理速度を大幅に改善し、産業用途に耐えうる高速性を備えています。また、導入しやすい価格帯でありながら、業界で唯一、400〜5300 nm という非常に広い波長域を網羅するモデルラインアップを提供しています。

FX10:400〜1000 nm(可視から近赤外)
FX17:900〜1700 nm(近赤外)
SWIR:1000〜2500 nm(短波赤外)
FX50:2700〜5300 nm(中波赤外)

プラスチックの種類別に最適なカメラを推奨

Specimでは、400〜5300 nm の全スペクトル領域にわたって PE、ABS、PVC、PS、PA、PP、PC、PETといった主要プラスチックを測定・分析を実施しており、用途に応じて最適なカメラのご提案が可能です。
データ解析には、SpecimINSIGHTソフトウェア(SpecimONEプラットフォームの一部)を使用し、PLS-DAモデルによる分類を行いました。色の影響を排除するため、FX10では700〜1000 nmの範囲に限定して評価しています。
結果は以下の通りです。(図3参照)

FX10:ほとんどの試料を識別可能。PCは透明なため、中心部が背景と誤分類されやすい。
FX17:非常に安定した高精度モデルを構築。
SWIR:最も広い波長範囲を活かし、最も高い精度。
FX50:SWIRおよびFX17ほど高精度ではないが、透明PCも識別可能で十分実用的。
※各樹脂のスペクトル特性は図4に示されています

黒色プラスチックの選別

一般的な近赤外(NIR)カメラでは黒色プラスチックの選別は困難であることがよく知られています。しかし黒色プラスチックは自動車や電子機器分野などで広く使用されており、リサイクルの重要性は高まっています。
Specim FX50(中波長赤外:MWIR)は、黒色プラスチックの選別が可能な唯一のソリューションです。
カーボンを含んだ黒色サンプルを用いた検証でも、PS、ABS、PE、PA、PCといったすべてのプラスチックを正確に分類することができました。(図5参照)

Specim FXシリーズは、色に関わらずプラスチックの高精度な選別が可能です。
用途や要件に応じて最適なカメラを選択することで、リサイクル効率の向上と持続可能な資源活用に大きく貢献します。

製品情報

ハイパースペクトルカメラ
Specim FXシリーズ

Specim FXシリーズは、可視光から長波赤外(約400〜12,300 nm)までの広範な波長領域を用途に応じたモデル構成でカバーするラインセンサ型ハイパースペクトルカメラです。高い分光・空間分解能に加え、マシンビジョン向けインタフェースに対応しており、高速かつ安定したデータ取得が可能です。
研究開発からインライン検査まで幅広く活用されており、成分分析、品質評価、異物検査、素材の選別など多様な課題に対して新たなソリューションをご提供します。

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