授乳
Column 01

母乳は誰でも自然に出る?

ママの思いとは裏腹に、頑張っても母乳が作られにくい方がいます。その一方で、自然と母乳が作られる方もいます。こればかりは、出産後、育児を初めてみないとわかりません。ただ、多くのママに当てはまるのが、「母乳は頻繁に飲ませることで作られるようになっていく」ということです。言い換えれば、「母乳を頻繁に飲ませなければ、赤ちゃんのおなかを満たすだけの母乳は作られにくい」ということです。

おっぱいを頻繁に飲ませなければならない理由

おっぱいが吸われると、その刺激が脳に伝わります。すると、母乳を作ることを促すホルモンと母乳が出るように筋肉に働きかけるホルモンが出ます。そのホルモンのシャワーを何度も浴びることで、あまり出なかった母乳が、日を追うごとに出始めます。そのため、1日に最低でも8-12回以上、しっかりおっぱいを吸ってもらうことが大切です。

おっぱいを与え始めるタイミング

お産が終わるとママはぐったり…。少し休みたいというのが本音でしょう。一方、赤ちゃんは生まれてからの2時間、目を輝かせて周りを見ています。それがひと段落すると少しの間、寝入ってしまいます。

初めての母乳をあげるのは、この生まれてからの2時間がおすすめです。赤ちゃんが目をキラキラとさせながら、いろいろな刺激を受けている間に、おっぱいをあげてみましょう。その後も、ママも休息をとりながら、赤ちゃんがおっぱいを探す素振りをしたり、口を開けたりする度におっぱいをあげるようにしてみてください。コツをつかむまで難しいかもしれませんが、助産師さんや看護師さんに手伝ってもらい、トライしてみましょう。

帝王切開の場合でも、ママや赤ちゃんの状態が落ち着くと、ベッドに赤ちゃんを連れて来てくれるでしょう。ぜひ、そのタイミングでおっぱいをあげてみましょう。

出産の翌日から

生まれた当日の赤ちゃんは、おっぱいをあげたり、なだめたりすると、すぐに寝てくれるでしょう。しかし、翌日の夕方ぐらいから、何度おっぱいを飲ませても寝てくれない時があります。夜に授乳をすると、母乳を作るホルモンにも良い影響があります。そのため、夜に母乳をあげることは理にかなっています。ただ、ママにとってはつらいものです。その時は、遠慮せず助産師さんや看護師さんにSOSを出しましょう。

母乳で育てたいという思いがあっても、「母乳が出るのかな」と不安になるママも少なくありません。しかし、こういった気持ちになるのは自然なこと。「ママがどのような育児をしたいのか」「どうすればより楽しく育児ができるのか」といったことを、妊娠中、出産後も考えておくことが大切です。

参考文献 1. BFHI 2009 翻訳編集委員会(訳). UNICEF/WHO 赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援ガイド ベーシックコース 「母乳育児成功のための10ケ条」の実践. 2009. 医学書院
2. WHO/UNICEF. IMPEMENTATION GUIDANCE Protecting, promoting and supporting Breastfeeding in facilities providing maternity and newborn services: the revised BABY-FRIENDLY HOSPITAL INITIATIVE.
3. International Lactation Consultant Association. Clinical Guidelines for the Establishment of establishment of exclusive breastfeeding. 2005.
http://breastcrawl.org/pdf/ilca-clinical-guidelines-2005.pdf
4. Marchini G, Persson B, Berggren V, Hagenas L. Hunger behaviour contributes to early nutritional homeotasis. Acta Paediatr 1998;87(6):671-5.
5. Ruth A Lawrence, Robert M Lawrence : Breastfeeding A Guide for the medical profession 6th edition, ElISEVIER MOSBY, 65-103 (2005)