深紫外UV殺菌技術開発を極めるための「分光器」

UV光の功罪

殺菌力と有害性のジレンマ

紫外線は従来の殺菌や消毒に加え、ウイルスの不活性化という面でも最近注目が集まっており、なかでも280nm未満の光は「UV-C」と呼ばれ、強い殺菌作用があることで知られています。
しかし一方では「UV-C」は生体への破壊性が強く、皮膚の炎症やがんなど人体への悪影響があることも確認されています。
つまり、殺菌力を求めすぎると有害な光を浴びる可能性があるため十分注意しなくてはいけない、ということです。
そのため、UV光源の製品企画や開発には人体への影響を理解した上でモノづくりを進める必要があります。

そこでポイントになるのが、「分光スペクトルの確認」です。

ポリクロメーターの弱点である電気的ノイズや迷光を改善した「高速分光測光器CAS140D」。
本測定器で紫外線の有害成分を精度良く、且つ正確に測れる解決策を以下にご紹介いたします。

ポリクロ分光器の宿命である「ノイズの壁」

ポリクロタイプの分光器は、多素子センサーで一括測定することにより高速に測れるメリットがある一方で、測定時に発生するノイズの影響を受けてモノクロタイプほど精度良く測れない、つまり「UV-Cが正しく評価できていない」ケースがあります。
ノイズには電気的ノイズと光学的ノイズがあり、前者はセンサーの暗電流や高速読出回路によって生じ、後者は回折格子の迷光を指します。ポリクロ分光器の宿命ともいえるこれらの装置ノイズをどれだけ抑えるかによって、計測機器としての良し悪しが決まるといっても過言ではありません。

正確なUV測定を可能にするための解決策

電気的ノイズの軽減

CAS140DではCCDセンサーを-10°Cまで冷却することにより、暗電流を1 / 128(理論値)まで低減しています。また、高度なアナログ回路設計技術と相まって高いS/N比を達成しています。

光学的ノイズの軽減

ポリクロメーター特有の光学的ノイズについても高度な補正技術※1を適用することで、モノクロメーターに匹敵する検出精度を実現します。
右図のUV-C・LEDの測定では、放射強度の精度が約4%(従来比)、さらに迷光が抑えられたことで重心波長が約0.8nmシフトし、測定精度の向上が読み取れます。

※1:迷光補正オプション(CAS140D限定)
アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が提唱する方式を採用。
波長可変レーザーにより、個々の波長ごとに短波長の信号を入力し、結果をマトリクス化して補正します。

迷光補正を適用することで、ダブルモノクロメーターに匹敵する検出精度が得られる

この2つで解決

上述のようにポリクロメーターの弱点である「電気的ノイズ」と迷光などの「光学的ノイズ」の2つを軽減することにより、これまで見えなかった微弱な不要光を検出し、UV-C光源を正しく評価できるようになります。

昨今では、生体への有害性が少ない紫外線が存在することも解ってきており、大学や研究機関から報告がされているようです。今後は「有害で不要な光成分が含まれていないことの証明」も必要になる日も近いかもしれません。
UV-C域における「必要な光」と「不要な光」の定量化に高速分光測光器CAS140Dをぜひお役立てください。

CASシリーズはコニカミノルタグループの分光器メーカーである、独インスツルメントシステムズ社の製品であり、世界の国家標準機関でも多数採用されている業界標準器です。