濃度計のツボ

印刷標準化に向けて

Japan Color認証制度

Japan Color 認証の概要

JapanColor2011の認証制度は4種類あります。
事務局の長年に渡る努力により多くの印刷製版会社が認証取得されており、広がりをみせています。取得してよかったという意見が多く、取得したことによりお客様が増えるということより、「お客様からの信頼が増す」「社内の技術がアップする」「社内の意識が高まる」などが主な理由のようです。

4種類の認証制度

区分 対象 認証の内容 認証取得社数
(2017年9月現在)
標準印刷認証 印刷会社 安定した品質の印刷物を作成できる工程管理能力 203社
(2009年10月スタート)
マッチング認証 印刷会社 標準印刷認証を前提とした高いカラーマネージメント能力 48社
(2011年9月スタート)
プルーフ機器認証 メーカー
ベンダー
信頼性の高いプルーフを安定的に出力できるプルーフ機器 100社
(2011年9月スタート)
プルーフ運用認証 企画制作
製版会社
プルーフ機器のメンテナンス、運用により信頼性の高いプルーフを安定的に出力できる能力 78社
(2011年9月スタート)
デジタル印刷認証 印刷会社 デジタル印刷機のメンテナンス、数値管理等により、高品質の印刷物を安定的に作成できる運用能力 8社
(2017年5月スタート)
日印機工のアンケート調査

「認証を取得して良かったと思う」が45.2%、「少し思う」が41.5%と全体の約87%がよい評価。

現場の意見
  • 標準印刷認証の判定は、CMYKの⊿Eとドットゲインの数値のみで簡単。
  • 5000枚の連続印刷がやや難しい。マッチング認証は比較的簡単との印象。

認証制度を取得するために必要なこと

各認証制度の申請手続きは以下になり、印刷会社向けの標準印刷認証には事前審査と本審査があります。マッチング認証はより高度な認証制度で、標準印刷認証取得が前提条件です。
プルーフ機器認証は機器メーカー/ベンダー向けの認証制度で、機器認証を取得したシステム(プルーフ機器・RIP・用紙の組合せ)を運用する印刷会社向けの認証制度がプルーフ運用認証です。また何れの認証制度も認証取得後3カ月毎の定期管理と2年後の更新登録が必要となります。

標準化

各認証制度の審査項目と許容範囲は以下になります。

標準印刷認証審査項目と許容範囲

認証基準L*a*b*
  L* a* b* 許容範囲
C 53.4 -36.4 -51.6 ⊿E±5以内
M 46.3 76.1 -2.9 ⊿E±5以内
Y 88.6 -5.9 93.6 ⊿E±5以内
K 16.3 1.4 2.1 ⊿E±5以内
認証基準50%網点部ドットゲイン

14±3%以内
算出方法:マーレイ・デービス式による

連続印刷の許容範囲

5,000枚を連続印刷時、500枚ごとに抜き取った10サンプル(3枚ずつ)計30枚の68.26%(21枚)以上のL*a*b*値がOKシートの⊿E4以内でかつドットゲインが4%以内

マッチング認証審査項目と許容範囲

項目 測色箇所・確認箇所 基準
ベタの色彩値 CMYK4色の100%部 ⊿E<= 5
面内ムラ 9箇所に配置された
3色グレーパッチ
27点全て L* SDL* <= 1.5
27点全て a* SDa* <= 1.5
27点全て b* SDb* <= 1.5
差の許容値 IT8.7-4の1617色 平均⊿E <= 3
⊿E95% <= 6
階調再現の限界 紙白部とCMYKの 3%、98%、ベタ CMKについて  L* 紙白部 > 3%
L* 98% >ベタ
Yについて b* 紙白部 < 3%
C* 98% < ベタ
ベタ上の最小網点の再現 黄色帯上の 5%網点部 帯部の色と円形部の色の違い確認できること
トーンジャンプ CMYKの全ての円形グラデーション部分 著しい段差が見られないこと
プルーフ機器認証審査項目と許容範囲

※○=プルーフ運用認証審査項目

項目 測色箇所・確認箇所 基準  
ベタの色彩値 CMY3色の 100%部 ⊿E <= 6、⊿H <= 4
面内ムラ グレー3種中の各 9点 ⊿E <= 2、 9点のL*a*b*各々SD <=0.5
変退色 strip中のCMYRGB6色 7日間暗所保存後全て⊿E <= 1.5
曝光検査 IT8.7-4 の1617色中の226色 24時間色評価用昼白色蛍光灯下後、全て⊿E <= 2
54色の差の許容値 パッチ中の 54色全て 最大 ⊿E <= 6、平均 ⊿E <= 3
グレーバランス パッチ中のグレーバランス用 6パッチ 平均⊿H <= 1.5
最外周色 226色 IT8.7-4 の1617色中の226色 平均⊿E <= 4
差の許容値 IT8.7-4の1617色全て 平均⊿E <= 3、⊿E95% <= 6
用紙の紙白部 IT8.7-4の1617色中の紙白部 ⊿E <= 3
連続出力 パッチ中の 54色全て(10枚)
パッチごとの各平均値との平均色差
10枚全て ⊿E <= 1.5
機器の安定性 CMYRGBベタと CMY各 40% 24時間経過後全て⊿E <= 1.5  
階調再現の限界 紙白部と CMYKの 3%、98%、ベタ CMKについて L* 紙白部 > 3%
L* 98% > ベタ
Yについて b* 紙白部 < 3%
C* 98% < ベタ
ベタ上の最小網点の再現黄色帯上の 5%網点部 帯部の色と円形部の色の違い確認できること
トーンジャンプ CMYKの全ての円形グラデーション部分 著しい段差が見られないこと
見当精度と文字 カラーレジ評価パターン3箇所×12種 全て ズレ量 <= 50μm
ポジ non-serif 2pの CMK欧文
ネガ non-serif の CMK欧文
全て判読可能であること
2ポイントの CMKの抜き線 識別できること

事前準備

事前準備の流れの図

測色器の器差確認

どの認証制度でも最初に準備しなければならないのが測色器です。標準化には数値管理(Lab/DG)が必要であり、数値管理には測色器が必要だからです。審査申し込みをすると、パッチ/チャートと事務局の測色器で測定した測色値が送られてきます。準備した測色器でそれを測定し、⊿E1.5以下の許容範囲内か確認します。

範囲外の時は、測色器を較正に出すか、新しい測色器を準備します。測色器にはモデル間器差や個体差があり、使用する測定器の特性を充分に理解して使用することが標準化のカギと言えます。


測色器の確認
  • X-Rite製測色器の場合は、X-Rite社の新基準XRGA値での表示となる。
  • 旧GretagMacbeth製測色器(SpectroEye等)は、XRGA値への較正かデータ変換が必要。
  • 旧X-Rite製測色器(500シリーズ等)および、KONICA MINOLTA製測色器(FD-7/5等)の測色器については、現在のまま使用しても問題ない。
  • メーカー較正・修理が終了している機種は対象外。

標準印刷認証用パッチの図標準印刷認証用パッチ

マッチング認証・プルーフ機器/運用認証用チャートの図マッチング認証・プルーフ機器/運用認証用チャート

<測色条件>

  • サブストレートバッキング
  • 0/45 or 45/0、フィルタなし
  • 絶対白基準、M0/D50、2度視野

<測色条件>

  • ホワイトバッキング
  • 0/45 or 45/0、フィルタなし
  • 絶対白基準、M0/D50、2度視野

印刷物/出力物の検証の流れの図

印刷物/出力物の検証

自社で印刷したチャートを測定し、事務局作成のエクセルテンプレートにLab値を入力すると⊿Eが出るので、基準の範囲内かどうかを確認できます。また濃度値はJapanColorの推奨値であり、認証の基準ではありません。通常この位の濃度で印刷すれば、認証の基準内になるという参考値です。スダレチャートを使って最適wet濃度(Lab→濃度)と刷版カーブ決定します。

より簡便な検証ツールもございます。

標準印刷認証用検証シート
標準印刷認証用検証シート

プルーフ機器/運用認証用検証シート
プルーフ機器/運用認証用検証シート

維持管理と更新申請

各認証取得後も維持管理の作業が必要です。

標準印刷認証管理記録一覧表 標準印刷認証管理記録一覧表

マッチング認証管理記録一覧表 マッチング認証管理記録一覧表

プルーフ運用認証管理記録一覧表 プルーフ運用認証管理記録一覧表

3ヶ月ごとの管理実施事項

各種チャートを3ヶ月に1回以上の頻度で印刷し、測定して結果を記録・保存をします。この時、測定したチャートも保存します。

必要項目
  • 管理項目表
  • 各認証管理記録一覧表
  • 各種チャート綴じ込み

1年後の中間確認

マッチング認証のみ、1年後に中間申請書を提出して中間確認が必要になります。但し、結果が大きく崩れていても不合格にはならず、警告という扱いになります。

必要項目(マッチング認証のみ)
  • マッチング認証中間申請書
  • OKシート3枚
  • OKシートの管理項目表

2年後の更新申請

保存してある記録を7回分以上まとめて管理項目表と共に提出し、合格すれば更新となります。

必要項目

<標準印刷認証>

  • 標準印刷認証更新申請書
  • OKシート3枚
  • OKシートの管理項目表

<マッチング認証>

  • マッチング認証更新申請書
  • OKシート3枚
  • OKシートの管理項目表

<プルーフ運用認証>

  • プルーフ運用認証更新申請書
  • プルーフ運用認証チャート3枚
  • プルーフ運用認証管理項目表

Japan color認証取得の費用

Japan color認証取得の費用については以下をご参照ください。

消費税込み

区分 申請時 更新時
事前審査料 本審査料 登録料 合計 事前審査料 登録料 合計
標準印刷認証 108,000 216,000 54,000 378,000 54,000 54,000 108,000
マッチング認証 162,000 54,000 216,000 162,000 162,000
プルーフ機器認証 378,000 54,000 432,000
プルーフ運用認証 108,000 54,000 162,000 86,400 86,400

別途必要経費

審査料、登録料の他にも別途費用がかかります。

  • 枚葉印刷用ジャパンカラー2007 キット 【税込み64,000円】
    購入先:(社)日本印刷産業機械工業会
  • 「JIS X 9201:2001」高精細カラーディジタル標準画像(CMYK/SCID) 【税込み10,800円】
    購入先:(財)日本規格協会
標準印刷認証の本審査:現場立ち会い認証員1人分の交通費及び宿泊費

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