濃度計のツボ

濃度測定について

濃度(CMYK特色)

CMYK濃度計算及び評価

絶対濃度(Density)

反射絶対濃度 D=-Log10R
吸収率 =1-10-D
透過率T =10-D

透過絶対濃度のときはRをT(透過率)に読み替えます。透過率50%のときのTは0.5になります。
適用:実際に人の目に見える濃度による管理で、最も標準的な濃度管理手法です。1.65≤Dv≤1.70等の形で管理数値を決めます。
濃度差(Delta Density)

ΔD=サンプル濃度-基準濃度

適用:事前に絶対濃度と相対濃度のどちらを使うかを決めておく必要があります(下記:設定条件参照)。数値による濃度管理の基本です。
Dv=1.50,ΔD≤±0.20等の形で管理数値を決めます。

インキ膜厚(濃度)

印刷のベタ濃度は、インキの膜厚でコントロールします。
一般的には0.7から1.0ミクロンで、厚過ぎるとトラブルが起きやすくなります。

標準的な濃度

JapanColor2011の目標濃度は以下になります。
K:1.70、C:1.55、M:1.53、Y:1.35

条件はステータスE、絶対白色基準、偏光フィルタ無し。ステータスTの場合、Yは1.04。

特色濃度

特色濃度の図

特色は、C、M、Yの各成分以外の部分にピークがあります。特色を通常の濃度測定で行うと、C、M、Yの各成分濃度値しか出てこないため、特色のピーク部分の濃度を把握することができません。
特色濃度測定は、測定した時にまずスペクトルの中で最も分光濃度が高い波長を中心にして正規分布するフィルタのスペクトルデータを作成します。基のスペクトルデータとこのフィルタのスペクトルデータから濃度を計算します。従って、特色のピーク波長での濃度になり、特色毎に応じた濃度を管理することができます。

■FD-7/5の特色濃度モード
測定した特色の最大吸収波長から、フィルタのスペクトルデータを作成し、このデータをフィルタとして濃度値を計算する。

設定条件について

注意すべき測定条件

濃度測定時には、「濃度フィルタ(ステータスT、E、DIN etc)」、「濃度白色基準(絶対、紙白)」、「偏光フィルタ(有、無)」の3つに注意する必要があります。これは、どれかが異なると数値が変わってしまうからです。従って、比較は同じ条件で行うことが条件となります。

濃度測定の分光感度(ISO-5/3)

各種濃度フィルタの分光感度特性の名称

名称 用途など
ISO visual density ほとんど全ての白黒イメージの測定に用いる。(ビジュアル)
Printing density 感光フィルム上に形成された連続諧調像の測定。映画フィルムなどのプロジェクション濃度測定。ISO Type 1と 2が使用される。
ISO type 1 printing density 340~470nmに感度がある。高圧水銀ランプを用いるプリンターやヂアゾ(Diazo)フィルムなど(≅パンクロマチック)
ISO type 2 printing density 340~540nmに感度がある。ハロゲン化銀の写真材料用。(≅オルソマチック)
ISO status A density 歴史的に透明フィルムの直接または投影による濃度測定に使われる。写真のポジフィルムやペーパーに用いられる。(グレーバランス良好)
ISO status M density 歴史的にネガフィルムの濃度測定に用いられる。
ISO status T density 紙上のインキや米国のオフセット印刷などのグラフィックアーツ用。(日本ではかつてスキャナーのプリセット用にもちいられた。現在はジャパンカラーに使われている)
ISO status E density ヨーロピアンフィルター。赤と緑はStatus Tと同じで青がナローバンド。
ISO nallw-band density 単色の色合わせ用フィルター。ピーク波長はアプリケーションによって自由に選択できる。バンド幅は半値幅(50%)で20nm以下であることと、0.1%で40nm以下であることが要求される。最大濃度は4まで。
ISO status I density ピーク波長はB/G/R=430/535/625±5nm。紙上のプロセスインキなどのグラフィックアーツ素材を評価するのに有益である。(グレーバランス良好、日本国内でマクベス濃度と呼ばれている)
ISO type 3 density S-1特性のフォトマルチプライヤー用の特性。800±5nmでバンド幅が20nm、白色標準測定時ジ80%以上の値が出るならISO type 3と呼んでいい。
濃度白色基準

濃度白色基準は、測定値の基準を紙白か白基準板にするかを決めることです。紙色を無視した数値にするためには紙白白色基準にします。
絶対白色基準は、測定器の白が基準となるため絶対的な値になります。測定器によって基となる白基準板が異なると測定値が変わってきます。実際の目視では、紙色を含んだ色を見るので目視と合わせるために一般的には絶対白色基準を使います。

濃度白色基準の図※通常、絶対白色基準を使う

  • 絶対白色基準(abs.)
    測定器の白基準板を基準にする。白地を含んだ濃度となる。
  • 紙白白色基準(paper)
    紙の白地を基準にする。
偏光フィルタ

偏光フィルタは、特定の位相の光の波だけを通過させるフィルタです。偏光の向きを直交させてドーナツ状に組み合わせることにより、45/0°で入ってくる偏光成分を持つ表面反射光をカットすることができます。

偏光フィルタの図

測定物表面の45/0°で受光する表面反射成分をカットして、その影響を軽減した濃度を計るためのフィルタです。
用途としては、ドライダウンの影響やPS版測定時に砂目の乱反射の影響を軽減することが挙げられます。

ドライダウン

ドライダウンは、印刷後時間の経過とともに濃度が低下し、色が沈む現象です。これはインキの浸透、乾燥によって起こります。
印刷直後は表面が平滑なため、センサーが受ける45/0°の表面反射成分は少なく、この少ない反射成分で濃度が計算されます。乾燥により、表面が凸凹になるとこの凸凹部分で反射するセンサーが受ける 45/0°の表面反射成分が多くなり、濃度が低く計算されます。
また、その程度は用紙によって異なり、新聞紙のような非コートの表面が粗い用紙ほど変化が大きくなります。

ドライダウンの図

偏光フィルタを付けると凸凹部分で反射する表面反射成分をフィルタがカットするため、乾燥後もあまり変わらない濃度を測定できます。
但し、もともと偏光フィルタ有りでの測定値は、無しでの測定値と数値が異なるので注意が必要です。

ドライダウンによる濃度低下(偏光フィルター無)
印刷後1時間程度経過すれば、測定値の変化は緩やかになり、24時間経過すればほぼ安定する。

ドライダウンによる濃度低下(偏光フィルター有)
偏光フィルタを装着した測定器は、印刷直後に測定を行ってもドライダウン後を想定した数値を測定できる。

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