濃度計のツボ

色彩測定について

濃度プロジェクション

濃度とL*a*b*値

下記のパッチは若干色を変えて作成したものの濃度とL*a*b*の実測値ですが、ほぼ同じ濃度値でも見た目の色は異なります。
L*a*b*値は見た目の濃さをL値に、色相の違いをa、b値に反映しています。つまり色相も含めた色の管理は、L*a*b*でないとできないということです。

濃度とL*a*b*値の図

  • 濃度値はほぼ同じでもいろいろな色がある
  • L*a*b*値は色の違い(濃さ・色相など)を正確に表現できる

FD-7/5のターゲットマッチ機能は、CMYK特色インキに対して目標色との差異や目標色に近似させるためにどれだけ濃度を調整すればよいかを教えてくれる機能です。

ターゲットマッチ機能とは

ベタを測定した時に、基準値に近づけるために必要な濃度調整値と調整後の色差を確認できる機能です。
電子写真方式のプリンタに合わせて印刷する場合、インクジェットプルーフに合わせて印刷する場合などに有効です。

色差を測定

色差を測定の図

400nm にピークを持つ特色の濃度を0.86 から1.16 に調整すれば色差0.48 となると予測値を表示します。

L*a*b*色立体を地球に例えた場合

L*a*b*の定義を確認しておきます。色空間を地球に例えると、地軸に当たるのがL値で0から100までで、北極点が100で白を、南極点が0で黒を表します。(図1)

赤道面の断面が右図で、a軸とb軸の数値で表現します。中心に近いほど彩度が低くて無彩色になり、中心は完全にグレイになります。
円周方向が色相を表します。L*a*b*の3つの数値が決まると、ひとつの色が決まり、これは世界中どこでも同じ色を表します。しかしながら、この色は概念上の色で、実際に見ることはできません。なぜならば、目で見えるようにするためには何らかのデバイスを使うことになり、その時点でデバイスが表現できる色に変換されるからです。(図2)

一般的には、再現できる色の範囲を表すには、CMYRGBの基本6色に関し、地球儀の上から見た図の六角形で表すことが多いです。(図3)

図1 ※地軸L*が明度を表す 図1
※地軸L*が明度を表す

図2 ※中心からの距離が彩度を表す 図2
※中心からの距離が彩度を表す

図3 ※L*a*b*色立体を上から見た時のCMYRGBの頂点で色域を表す 図3
※L*a*b*色立体を上から見た時のCMYRGBの頂点で色域を表す

色差(⊿ E)

色の違いを表す色差⊿ E は、CIE(国際照明委員会)が1976 年にL*a*b* 色空間上の2 点間の距離で表すと規定しました。今、一般的使われるのはこの色差式です。
しかしながら、下の色弁別域の図にあるように、人間の目の感度は全ての色について同じではありません。この図で、小さい楕円の中の色は、人間が差を区別できない領域です。
注意していただきたいのは、中心近くのグレイは楕円が小さく、また明度が高くなるとオレンジ部分でも楕円が詰まった形になっている点です。
すなわちこの部分は差に対する感度が高いことを表しています。したがって、同じ⊿ E 値でも色によって人間の目にはかなり違って感じられます。
そこで、CIE は2000 年に人間の目の特性を式に組み込む修正を行いました。これが、⊿ E2000 で、⊿ E00 と表記します。
従来の⊿ E と⊿ E00 とでは、かなり数値が異なるので、どちらで表現しているのか注意が必要です。

色差(⊿ E)の図

色差の実際

色差の実際のイメージ図

色差がどのように見え方に関連しているか、サンプルを作成しました。
下図は、薄橙色・グレイ・金赤を想定して少しずつ色を変えて作成したサンプルを実測したものです。
ほぼ同じ位の⊿E値でも、薄橙色、グレイは差が分かりやすいのに金赤は差が分かりにくくなっています 。
これに対し、⊿E00は見た目の差に近い感じの数値になっています。
また、一般的に⊿E00の方がかなり数字が小さくなりますので、色差の数字を見る時は、どちらで表示しているかに気をつける必要があります。
現在はまだ⊿Eが主流ですが、これからは徐々に⊿E00に移っていくでしょう。

FD-7/5の色差モードは基準値とサンプルの色差(⊿E、⊿E00など)を評価可能

薄橙色・グレイの色は差が目立ちますが、高彩度の色は差が目立ちません。

基準値とサンプルの色差(⊿E、⊿E00など)の評価図

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