生物多様性・水資源
生産活動での生物多様性/水資源への配慮
生産拠点における生物多様性への配慮
生物多様性への対応に関するガイドラインに沿って、取り組みを推進しています。
コニカミノルタは、長期的な環境ビジョンであるエコビジョン 2050において、「生物多様性の修復と保全に取り組む」ことをコミットしています。国際連合の提唱により実施された環境アセスメントである「ミレニアム生態系評価」で開発された企業のための生態系サービス評価(ESR:Ecological Service Review)を活用して、生態系に依存し影響を及ぼしている事業活動を、コニカミノルタグループのすべての事業を対象にワールドワイドで抽出しました。そして、コニカミノルタの事業活動が生態系から享受する恩恵と、生態系に及ぼす影響を、製品ライフサイクルステージ別にまとめた「関係性マップ」を作成し、これを評価して、具体的に取り組むべき項目を特定しました。この評価・特定プロセスでは、日本の環境省など2つの専門機関へのヒアリングによる第三者意見を反映させています。
コニカミノルタは、生産拠点の環境活動を総合評価する独自の制度「サステナブルファクトリー認定制度」の運用の一環として、生物多様性への対応に取り組んでいます。事業活動における生物多様性への影響・依存度が高いと評価・特定された項目に対して、目標および基準を定めた「生物多様性対応指針」を2011年4月に設定しました。2020年度からは、より広く社会の期待に応える工場を目指して、「サステナブルファクトリー認定制度」の基準の一つとして、「水資源/生物多様性に関するサステナブルファクトリーガイドライン」を組み入れました。コニカミノルタの全世界の主要生産拠点へ、本ガイドラインへの適合を求めています。お客様、お取引先および地域などステークホルダーとの連携をさらに深め、より広い範囲の地球環境への貢献、社会課題の解決を進めていきます。
水資源/生物多様性に関するサステナブルファクトリーガイドライン<抜粋>
<水資源への配慮>
- 使用する水において総取水量の削減目標を設定し、削減施策を実施していること
- 地下水を利用している場合には、地下水使用量の削減施策を実施していること
<排水への配慮>
- 河川・湖沼における生態環境破壊を防止するために、異常排水時のリスク管理体制が構築できていること
- 公共水域へ排出する排水が、水生生物の生息環境など生態系へ及ぼす影響を確認できていること
<工場植栽の適正管理>
- 工場敷地内で、生態系に悪影響を及ぼす恐れが強い外来侵入種の植栽、種子の播種(はしゅ)を行っていないこと
- 工場敷地内の植栽について、希少種などの存在が判明している場合には、管理・保護に努めていること
水資源への配慮
コニカミノルタでは、各拠点で水使用量を把握・管理するとともに、総取水量の削減目標を設定して削減に努めています。
コニカミノルタの全世界の主要生産拠点は、サステナブルファクトリー認定制度内の「水資源/生物多様性に関するサステナブルファクトリーガイドライン」の中で、取水量の削減目標を設定し、使用量削減のための取り組みを進めています。2021年度は、2015年度比で418千m3の取水量削減目標を設定しました。各生産拠点での取り組みの結果、2015年度比423千m3の取水量削減を達成しました。生産拠点の取り組みとしては、工程内で反応温度調節に蒸気と温水の2段階で行っていた温度制御を蒸気のみに変更し、温水の使用量とそれにともなう温水製造エネルギーを削減する施策や、比較的不純物が少なく再利用しやすい工程ドレン水を、利用先への影響やトラブル時のバックアップ体制も検討したうえで、冷却塔の補給水として再利用する施策など、工場内での水の用途を改めて見直し削減に取り組んでいます。また治工具のメッシュ表面をコーティングすることでメッシュへの材料付着を抑えて清掃頻度を削減する、設備の洗浄を水洗浄からエアブローでの自動洗浄に変更する、雨水を溜めて冷却塔の補給水に利用するなど、細かな工夫で節水に取り組んでいます。生産工程以外でも、節水コマの設置、配管の漏れチェックと破損個所の修理などを通して水資源の有効活用に取り組んでいます。
また、世界中のグループ生産拠点・研究開発拠点および主要サプライヤーを対象に、水ストレスに関する総合的なリスク評価としてWRI※1のAQUEDUCT※2を用いた分析手法を2013年度より導入し、毎年水リスクレベルを確認しています。2021年度には新たに9社のサプライヤーの評価を行いましたが、水リスク(Overall Water Risk)が「極めて高い」と評価された拠点はありませんでした。
水ストレスが「高い」と評価された自社拠点は1カ所ありましたが、この拠点に関する売り上げがグループ全体に占める割合は1%未満です。2021年度のこの拠点での取水量は83千m3、水消費量は17千m3でした。年間0.5千m3の取水量削減を目標に、歩留まり向上による製品洗浄水の削減や、生活用水栓への節水栓の導入に取り組み、2021年度には0.9千m3の削減を達成しました。
今後も、拠点の新設や事業環境の変化などに応じて水リスク評価をレビューし、必要に応じた水使用削減施策を講じていきます。
また、主な取水源として地下水を使用している生産拠点では、生産停止時の冷却水送水停止など、地下水の使用量低減に取り組んでいます。
- ※1
- WRI(World Resources Institute):世界資源研究所
- ※2
- AQUEDUCT:WRIが公表する最新の水リスクを示した世界地図・情報で、物理的な水ストレスや水資源に関する法規制リスクなど12種類の水リスク指標をもとに作成されている
排水への配慮
コニカミノルタでは、排水による水質汚濁防止を目的として、排水に関する法律や条例、協定などの関連法規の順守状況を確認する順法監査を、グローバルで定期的に実施しています。
生産工程で使用した排水を河川に排出している生産拠点を対象に、排水が生態系に与える影響を評価しています。評価に際しては、新しい排水管理手法として世界的に注目されているバイオアッセイ(生物応答)を利用したWET※評価を導入。国立環境研究所の協力のもと、水辺に生息する生物3種(藻類、甲殻類、魚類)を用いた試験を実施し、3種の供試生物への影響(藻類:生長阻害、甲殻類:繁殖阻害、魚類:ふ化率およびふ化後の生存率低下)が認められないことを確認しています。
- ※
- WET(Whole Effluent Toxicity):個別の化学物質を評価するものではなく、排水そのものが水生生物へ影響を及ぼすかを評価する手法。従来の排水管理手法と異なり、未規制物質や複数の化学物質による生態系への複合的影響を総合的に管理できる。
工場植栽の適正管理
東京サイト日野の
キンラン
コニカミノルタでは、グループ生産拠点において、敷地内の植栽の適正管理を行っています。拠点ごとに植栽管理リストを作成して定期的にチェックすることで、新たに播種する種子も含めて、外来侵入種が含まれないことを確認しています。
また、敷地内で希少種が発見された場合には、立て看板や柵を設け、従業員や来訪者へ周知することで保護活動に努めています。例えば東京サイト日野では、絶滅危惧種のキンラン、カノコユリを管理・保護しています。
調達における生物多様性への配慮
当社グループにおける調達活動では、透明・公正を基本としてお取引先と強いパートナーシップを築き、ともに社会的責任を果たすことにより、持続可能な社会の実現を目指しています。調達活動における生態系への影響を低減するため、コニカミノルタが率先垂範して務めることを調達方針に掲げるとともに、「コニカミノルタサプライチェーン行動規範」を制定し、お取引先に対して天然資源の悪影響を最小限に抑えていただくようご協力をお願いしています。
また、コニカミノルタがサステナブルファクトリー活動で培った環境技術やノウハウをサプライヤーに提供することで、環境負荷低減とコスト削減を同時に実現する「カーボンニュートラルパートナー活動」を推進しています。 この活動を通じて、サプライヤーに対して水使用量を削減するための対策の検討、実施を推進しています。
CSR調達プログラムにもとづき、サプライヤーに対して「コニカミノルタサプライチェーン動規範」の順守を通じて水の適切な管理を要請しています。
また、環境に配慮したコピー用紙を調達する基準を定めています。日本の販売会社であるコニカミノルタジャパン(株)は、お客様に供給するコピー用紙について、森林破壊・劣化による動植物や住民の生活環境への影響に配慮して調達することを定めた「PPC用紙購入基準」を策定し、2007年から運用しています。