コニカミノルタ

コニカミノルタについて

戦略

環境のマテリアリティの特定

「中期サステナビリティ計画」2022における環境目標と実績

環境のマテリアリティ評価・特定プロセス

気候変動や資源枯渇などの、企業が取り組むべき環境問題は多岐にわたります。コニカミノルタは、昨今の社会情勢や事業環境の変化も踏まえ、社会課題と事業がより連携した取り組みの実現を目指すために、優先的に取り組むべき環境の重点課題(マテリアリティ)を特定しています。サステナビリティの視点で5つのマテリアリティを特定し、そのうち環境に関わるマテリアリティ(「気候変動への対応」「有限な資源の有効利用」「社会における安全・安心確保(化学物質安全)」)につき、さらに詳細な分析を行うことで、具体的な施策の設定を行っています。
マテリアリティの特定にあたって、まずは国際的なガイドラインや、多様なステークホルダーからの要請事項を反映させて課題を網羅的にリストアップします。そして、抽出された環境課題を、「ステークホルダーにとっての重要度」と「事業にとっての重要度」という2側面から評価を行います。事業にとっての需要度の評価は、リスク分析では発生した時に損失する利益額を、機会分析では創出する利益額を、それぞれ5段階の水準を設定して定量的に行います。重要度の判断にあたっては、外部の有識者の意見を取り入れることで、客観的な視点を維持しています。
環境推進会議で議長を務めるグループ環境責任者(環境担当役員)は、これらのマテリアリティの評価プロセスおよび評価結果の妥当性を検証し、優先的に取り組むべき環境のマテリアリティを特定します。

機会とリスクの両側面から環境の重要課題(マテリアリティ)を設定

コニカミノルタでは、環境のマテリアリティ評価・特定にあたり、事業に関わる多様な環境要因を「機会」と「リスク」の両側面で把握し、そのなかから、解決することが事業成長につながる重要課題(マテリアリティ)を選定しています。また、重要課題それぞれについて、毎年レビューを行うことで、課題設定と計画の妥当性を担保しています。
こうした仕組みによって、事業強化の目標と環境課題における目標とを一致させ、経営トップから組織全体にまで及ぶコミットメントとし、実効性の高い環境経営を実現しています。
中期サステナビリティ計画2022においては、「気候変動への対応」、「有限な資源の有効利用」、「社会における安全・安心確保(化学物質安全)」の3つが、最も重要な課題であると特定しています。

【機会側面】

※青で記載した項目は「事業での価値創出」、緑の項目は「自社活動(機能)での価値創出」

  マテリアリティ(機会)
1 エネルギー/資源/CO2負荷の少ない製造プロセスの提供
2 ペーパーレス、ユビキタス社会への働き方変革を提供
3 オンデマンド生産によるムダのない顧客サプライチェーンの構築
4 顧客のワークフロー、サプライチェーンのロス削減
5 異常気象/自然災害への安全安心を提供
6 予期せぬ疾病等への早期に検査・創薬対応を実現
7 農業・食料問題、新たな化学物質規制に貢献
8 ESGを活用した顧客接点強化(顧客エンゲージメント)
9 環境課題を効率よく解決し、新たなイノベーションを創出するエコシステム
10 DXを活用した調達先での飛躍的なCO2削減
11 エネルギー効率改善によるコストダウン
12 ステークホルダー要求を先取りした再生可能エネルギー導入
13 資源効率向上によるコストダウン
14 お客様からの環境要求への対応
15 ESG投資・リレーション、サステナブルファイナンス
16 不要になったプラスチックをアップサイクルする技術
17 生物多様性への対応によるステークホルダーからの支持の獲得
18 水インフラ、老朽化対策や監視に貢献
19 再エネ・新エネに資する技術
20 生態系の復元に資する技術

【リスク側面】

※赤で記載した項目は「事業での価値創出」、緑の項目は「自社活動(機能)での価値創出」

  マテリアリティ(リスク)
1 生態系汚染やヒトへの健康被害につながる物質の禁止(化学物質規制強化への対応)
2 エネルギー高騰/原料不足/異常気象による部材・資源資源・紙コストアップ/供給不安
3 大規模気候災害の発生にともなうサプライチェーン分断
4 新たな排出規制、炭素税、化石燃料の使用制限等による調達・製造コスト上昇
5 新たな製品エネルギー効率規制と市場への対応
6 ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達の要求
7 オフィスにおける紙への出力機会の減少(エネルギー高騰/原料不足によるペーパーレスの進行)
8 サーキュラーエコノミーへの対応不備による競争力低下(非持続的な資源利用、非再生利用設計による製品競争力の低下)
9 プラスチック使用規制による材料・製品供給リスク
10 お客様からの環境要求への対応
11 ビジネスパートナーのガバナンス不足による社会的信用の低下
12 土壌汚染
13 使用済み製品の回収リサイクル
14 資源の枯渇(希少金属)
15 政府調達基準への対応遅れ
16 水資源の枯渇・水リスクによる調達・生産の遅延・停滞
17 バーチャル・ウォーターがコスト化
18 製造や原料使用による生態系破壊影響
19 大気汚染
20 水質汚染
21 廃棄物順法管理

製品ライフサイクルにおける重要な環境課題

コニカミノルタでは、バリューチェーン全体で、担当部門(企画・開発部門、調達・生産部門、販売・サービス部門など)が具体的に取り組むべき環境のマテリアリティ(リスク・機会)を特定しています。そして、重要な環境課題に関連する事業リスク・機会の実現の時間軸(時期)を、短期・中期・長期の視点で捉えています。

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重要な環境課題に関連する事業リスク・機会の影響

これらの環境・社会課題が深刻化していくと、リスクが顕在化し、コニカミノルタの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。特に「ものづくり」においては、長期的には、化石資源・化石燃料の代替化、気候パターンの変化にともなう自然資源の供給量不足・供給停止、水資源の枯渇・取水制限、異常気象および森林火災の発生にともなう森林資源へのアクセス制限、などのリスクが顕在化する恐れがあり、これらの対応が必要になります。
また中期・短期的には、ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達の要求、化石資源・化石燃料の価格上昇、新たな製品エネルギー効率規制と市場への対応、オフィスにおける紙への出力機会の減少、非持続的な資源利用、非再生利用設計による製品競争力の低下、大規模気候災害の発生にともなうサプライチェーンの寸断などの潜在リスクがあります。何も対策を講じなければ原価上昇、事業機会の損失、設備・労務環境の被災による操業停止につながります。製品含有などの新しい化学物質管理の規制へ対応できなければ、販売機会を逸失し売り上げが減少する可能性があります。
一方で、これらの環境課題を解決するソリューションを提供することで、事業機会を生み出すことができると考えています。コニカミノルタは、最先端の技術を積極的に取り込み、強みとする画像IoT技術とデジタル入出力の技術を融合させることで、気候変動を含む社会・環境課題の解決に寄与するソリューションを生み出すデジタルカンパニーへの業容転換を進めています。 環境課題についても、中長期の事業戦略と一体化して気候変動、資源枯渇、廃棄物といった問題への対応を進めています。例えば、製造業の生産、輸送、在庫、廃棄を極力減らすことで環境負荷は少なくなりますが、コニカミノルタは、パッケージ、ラベル、テキスタイルといった産業印刷にオンデマンド機を提供することで、この課題解決に寄与していると考えます。また、オフィスでは紙の消費が課題となりますが、業務フロー効率を改善するデジタルワークプレイスを提供することで、ペーパーレス化も促進できます。さらに昨今のビッグデータ解析には膨大なエネルギー消費がともないますが、コニカミノルタのデータ解析はなるべく現場(エッジ)で行うことでエネルギー消費を少なくできると考えています。このように、コニカミノルタは事業の拡大と環境課題の改善を両立させており、環境経営を事業戦略そのものと捉えています。

目標の策定プロセス

コニカミノルタでは、代表執行役社長が気候変動問題を含む環境マネジメント全体についての最高責任と権限を有し、環境マネジメントの有効性について責任を担っています。代表執行役社長のもと、任命された環境を担当する役員(グループ環境責任者)が環境マネジメントを推進しています。環境を担当する役員は、環境に関する中期計画を作成し、会社全体の経営計画として取締役会の承認を受けます。また環境を担当する役員は、環境マネジメントにおける進捗状況や課題について代表執行役社長および取締役会議長、取締役会に設置された監査委員会へ毎月報告します。監査委員会は報告事項から重要な課題を取締役会での報告事項としてまとめています。
グループ全体の環境に関する中期計画を推進する機関として、環境部門長が主催する「グループ環境推進会議」を設置しています。同会議は、各基幹部門の環境推進責任者が参加し、環境に関する中期計画、年度計画の審議を行います。 また、四半期ごとの進捗状況の確認やグループの環境課題に関する検討を行います。

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