コニカミノルタ

アニュアルレポート2015

Giving Shape to Ideas

CEOメッセージ

徹底したお客様本位の企業として新たな価値の創出に注力し、持続的な利益成長を果たしていきます。代表執行役社長 山名 昌衛

新たな成長への投資を
加速させつつ大幅な増益、
ROE8%超を達成。

代表執行役社長に就任いたしました2014年4月、私は、コニカミノルタのあらゆる企業活動の根幹となる経営理念体系の再構築に着手し、“Open and honest”をはじめとする6つの価値基準を定めました。そして新たにスタートさせた3カ年の中期経営計画「TRANSFORM 2016」のもと、当社をお客様本位の企業へと徹底的に変革し、世界中のお客様との接点力を活かして新たな価値を創出していくことで、ジャンルトップ戦略を進化させることを宣言いたしました。 その初年度である2015年3月期は、主力である情報機器事業の好調に加え、機能材料分野でもTACフィルムの販売が回復するなど、既存事業の売上が順調に伸張し、7期ぶりに連結売上高を1兆円に乗せることができました。また、営業利益657億円(前期比65.0%増)、当期利益409億円(同44.1%増)と大幅な増益を達成し、ROEは8.7%となりました。なお、当期の販売管理費のなかには、中期経営目標の達成に向けたサービス事業強化など先行的な費用として約80億円が含まれています。さらに、当期においては、今後の持続的な成長に向けた業容転換を加速するため、M&Aなどの投融資に約200億円を投じました。
業容転換の取り組みとしては、商業・産業印刷分野における成長ドライバーとなるMPM (Marketing Print Management)サービスのグローバル体制を確立しました。MPMサービスとは、世界的大手企業のマーケティング部門の印刷ニーズを一括管理し、コストダウンや業務プロセス改善など多彩な価値を提供するビジネスであり、今後、大きな成長が見込まれる事業の一つです。
一方、将来の成長に向けた新しい価値を創造する力を高めるために、研究開発体制も見直しました。2014年4月より、新たな開発拠点「コニカミノルタ八王子SKT」を稼働させ、主力の情報機器事業の成長を牽引するデジタル印刷システムの開発機能を集約するとともに、社内外のオープンイノベーションの促進を通じ、「新しい価値の創造」を目指す場として活動を開始しました。また、前期に立ち上げた世界5極(北米/欧州/アジア・パシフィック/中国/日本)で新領域の事業の開発を行うBusiness Innovation Center( 以後BIC)も、本格的な活動を開始しました。さらに、生産部門では、マレーシアに最新鋭の情報機器生産拠点を立ち上げました。

IFRSベース

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デジタルイノベーションを
先取りし、創造的破壊による
業容転換を加速。

今日、デジタル技術の革新によって、従来の常識では考えられない新しい製品やビジネスが出現し、産業構造のドラスティックな変革が進んでいます。異業種からの参入も活発化し、企業間の競争は熾烈さを増しています。現在の中核事業である複合機や印刷機などの情報機器事業にも、今後、大きな変革の波が押し寄せるのは間違いありません。カラー出力に集中するというジャンルトップ戦略が功を奏し、現在は印刷枚数(PV)が拡大して順調に収益を伸ばしているものの、この状態がずっと続くとは考えられません。製品のコモディティー化による価格競争が激しさを増す一方で、広告宣伝のデジタル媒体シフトによってカラー印刷の需要が頭打ちになる可能性もあります。
しかしながら、当社はこうしたデジタルイノベーションの時代においても、トップティアの企業として生き残るための成長戦略を描いています。
この変革の波を大きなチャンスと捉え、デジタルイノベーションを先取りすることで、顧客や社会が抱えるさまざまな課題の解決を実現する新たな製品やソリューションの実現に挑みます。そして既存事業の抜本的な改革、新規事業の創出といった“創造的破壊”を通じた、さらなる業容転換――TRANSFORMを推進していきます。
たとえば、デジタル化の進行に伴って、マーケティングの世界でも、WebやSNSを活用した新しいプロモーション手法が日々生まれており、企業のマーケティング部門では従来のマスメディア、印刷媒体とデジタルメディアを効果的に組み合わせたクロスメディアの活用が課題になっています。当社では、業界に先駆けて確立したグローバルなMPMサービスをベースにして、クロスメディア戦略の企画立案から、コンテンツの制作、一部の効果測定までを一気通貫で提供するデジタルマーケティング事業を展開して、顧客企業との関係を強化し、事業の高付加価値化を進めます。
また、モノづくりにおいても、「デジタルマニュファクチュアリング」のコンセプトに基づく最新鋭工場を、マレーシアに設立し、将来的には中国、米国、欧州へと展開していく計画です。これらの拠点では、高度な自動生産ラインや3Dプリンター、当社独自の自動計測技術などを駆使して、高品質で効率的なモノづくりを追求するとともに、ICTの活用によって、情報ノウハウの共有や業務フローの改革、生産管理の高度化・効率化を実現します。これを世界中に展開することによって、国や場所、オペレーターのスキル、為替変動などに影響されにくいグローバル生産体制を構築していきます。さらに、自社の最先端工場で蓄積した「デジタルマニュファクチュアリング」の技術やノウハウを活用して、将来は顧客企業向けのソリューション事業として提供していく計画です。
情報機器事業以外でも、デジタルイノベーションがもたらす産業の変化、ライフスタイルの変化などを先取りした新ビジネスの創出に挑み、300-500億円規模の新たな事業の塊を5つ、6つ生み出して、将来の成長を実現したいと考えています。その一つが計測機器事業であり、スマートフォンなどディスプレイ製品の外観検査に強みを持つ米国のRadiant社を買収し、既存事業とのシナジーで領域の拡大、事業規模の拡大を加速していきます。

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デジタルマーケティング

デジタルマーケティングの図

デジタルマニュファクチュアリング

デジタルマニュファクチュアリングの図

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“One Konica Minolta”として
グローバルな組織・人財を
最適活用。

コニカミノルタ八王子SKTのアトリウム

こうしたTRANSFORMを牽引していく研究開発組織として整備を進めてきたのが、「コニカミノルタ八王子SKT」であり、世界5極のBICです。これらは、従来の研究所のように新技術の開発や応用研究を進めるだけでなく、顧客に密着して潜在的なニーズを掘り下げ、革新的なビジネスモデルやソリューションを創造していくオープンイノベーションの拠点です。なかでも世界5極のBICでは、当社にとっては異業種の分野で優れた実績を挙げた人財をトップに起用し、従来の当社になかった視点や発想を加えて新たな価値創造に取り組んでいます。
もちろん、新たな技術シーズやビジネスアイデアをもとに顧客ニーズを先取りした事業を実現していくためには、部門や地域を超えた“One Konica Minolta”の総合力をフルに発揮することが必要です。この数年、事業会社制やカンパニー制を廃して経営体制の再編に取り組んできたのも、“One Konica Minolta”としての取り組みを強化するためでもあります。
また、2014年度から海外の経営人財による戦略諮問会議を実施して、彼らの識見をグループ経営戦略の策定に反映させるなど、グローバル人財の積極的な活用に力を注いでいます。同様に、海外での事業展開やM&Aで新たにグループに加わった事業などについて、何もかも本社が企画立案してコントロールするのではなく、その分野について「最も詳しく理解している人間」をリーダーに起用し、現地組織に裁量権・自由度を与える方針を採っています。
このようにグローバルグループの現場の力を最適かつ最大限に引き出すことによって、顧客の課題解決に貢献する新たな事業を積極的に創出し、持続的な成長を実現していきます。

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グローバル企業の
社会的責務として事業活動の
サステナビリティーを追求。

わが国においても2015年6月からコーポレート・ガバナンス・コードの適用が始まりましたが、当社は2002年より社外取締役を導入し、2003年の経営統合を機に委員会等設置会社に移行するなど、早くからガバナンス体制の強化に取り組んできました。また、経営の透明性や投資家の皆様との対話を重視し、財務情報はもとより、「E(Environment:環境)」「S(Society:社会)」「G(Governance:ガバナンス)」といった非財務情報についても積極的に開示してきました。
さらに当社は、世界50カ国に4万人以上の社員を有するグローバル企業の当然の責務として「国連グローバルコンパクト」に署名し、人権・労働・環境・腐敗防止という幅広い側面から社会的責任を果たしていく意志を国際社会に表明し、活動を継続しています。
とりわけ環境対応につきましては、2009年に長期環境ビジョン「エコビジョン2050」を策定し、2050年までに製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を2005年度比で80%削減するという意欲的な目標を掲げました。また、新中計に合わせて「中期環境計画2016」を策定し、2016年度までの具体的な環境負荷低減目標を定めました。これらの目標の実現に向けて、グリーンプロダクツの開発をはじめ事業全般にわたる環境負荷低減に注力するのはもちろん、蓄積した環境技術・ノウハウをお客様や取引先にも積極的にも提供することで、バリューチェーン全体の環境負荷低減を目指します。
こうした多彩な取り組みにより、当社は「Dow Jones Sustainability World Index」や「FTSE4Good Global」といった世界的なSR(I 社会的責任投資)指標の構成銘柄に選定されるなど、世界のSRI評価機関から高く評価されています。今後も引き続きESGを重視した経営を推進し、企業としてのサステナビリティーを追求していきます。

国内外の評価機関からの評価

国内外の著名なインデックスへの組み入れ
2015年8月 「JPX日経インデックス400」構成銘柄に3年連続で採用
2015年2月 「FTSE4Good Global」に12年連続で採用
2014年9月 「Dow Jones Sustainability World Index」構成銘柄に3年連続で採用
国際的なCSR格付け機関からの評価
2015年2月 RobecoSAM社CSR格付で最高ランクの「ゴールドクラス」に選定
2015年2月 イーコム社CSR格付で「Prime」認定
2014年10月 「気候変動パフォーマンス先進企業(CPLI)」に選定
日本における各種経営度調査
2015年3月 経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む「健康経営銘柄」に選定
2015年1月 第18回「環境経営度調査」で製造業総合ランキング1位を獲得
2014年11月 第8回「企業の品質経営度調査」で総合ランキング1位を獲得

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配当の絶対額にこだわり
継続的な増配をめざす。

当社は、持続的な成長を実現するために積極的な成長投資を進めるとともに、創出した利益・キャッシュについては、株主の皆様に積極的に還元していきたいと考えています。その際に重視しているのが配当の絶対額です。当社では、中長期的な視点から成長を支援していただける投資家の皆様に当社の株式を保有していただきたいと考えています。したがって短期的な業績変化に応じて配当額を上下させるのではなく、継続的に増配を果たすことで株主の皆様の期待に応えていきます。さらに、配当だけでなく自己株式取得などにも取り組んでいきます。この利益還元方針のもと、2016年3月期の年間配当額は30円(前期20円)を予定しています。また、2015年5月から7月にかけて取得総額100億円で自己株式を取得し(取得株式総数657万株)、併せて6月には前回取得済の900万株を消却しました。
これからも株主様をはじめ幅広いステークホルダーの皆様の信頼に応えながら、持続的な成長を図ってまいります。皆様の一層のご支援、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申しあげます。

配当額の推移

配当額の推移のグラフ
統合10周年の記念配当

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価値創造のプロセス

グローバルでの強い顧客接点力を活かして新しい価値を創造

お客様を知り尽くし、モノにサービスやソリューションといったコトを加えて、お客様の課題解決に貢献するのが、コニカミノルタのビジネスモデルです。そのために、One Konica Minoltaとして総合力を結集するとともに、産学連携によるオープンイノベーションや、外部パートナーとの提携など、スピーディーな事業展開を実行します。

価値創造のプロセスの図

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