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Giving Shape to Ideas

アニュアルレポート 2011

特集 中期経営計画

成長戦略に関するQ&A

Q1:『Gプラン2013』では「成長の実現・規模の拡大」を掲げていますが、「規模の拡大」の意図するところをもう少し詳しく教えてください。

A1わたしが目指している「規模の拡大」とは、「利益の規模の拡大」を意図しています。それを実現する手段としては、売上規模の拡大が必要となります。利益率を向上させることも重要な手段のひとつです。『Gプラン2013』では3年後の具体的な数値目標として、「売上高:1兆円以上」、「営業利益率:8%以上」と設定しました。これらを達成することで当社の営業利益は800億円以上となり、現状の利益水準を倍増することを目指しています。

わたしが「利益の規模の拡大」に拘る理由は大きくは二つあります。一つには、より大きな利益を稼ぐことができれば、より大きなリスクをとることができるようになります。設備増強や企業買収など成長のための投資をより大きなスケールで実行することができます。このような成長のための投資が売上の規模を拡大し、さらに利益の規模を拡大するという好循環が生まれます。もう一つは、利益の規模を大きくすることで、リーマンショックの時のような事業環境の激変に対する耐久力をより強くすることができます。わたしたちの企業活動はさまざまな外的要因の変化の影響を受けていますが、利益の規模が大きければ、むしろそのような環境の激変を成長のチャンスと捉えることもできるようになります。わたしは、このGプランの実行を通して、当社をこのような「利益の規模の成長」に拘る、強い企業グループに変えていきたいと考えています。

言うまでもありませんが、「利益の規模の拡大」は株主の皆様への利益還元として配当額の成長にもつながるものです。株主・投資家の皆様の視点からも当社をより魅力ある企業グループへと変えていくことが、わたしの社長としての重要なミッションだと心得ています。

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Q2:情報機器事業における各成長ドライバーの、現状と最終年度の事業規模について教えてください。

A2まず、プロダクションプリントでは、これからも新製品の開発に鋭意取り組み、商品ラインアップの強化を図ります。また、顧客の業種・業態に応じたアプローチによって販売拡大を実現し、事業規模の倍増を目指します。次に、今後も市場成長が見込まれる新興国市場においては、A3MFPの専用モデルに加え、A4MFPもラインアップを拡充し、中国などのアジアを中心に販売拡大を加速します。最後に、OPS(Optimized Print Services)対応力のさらなる強化については、現在推進しているITベンダーの買収等を加速することで、顧客対応力を強化し、売上に占めるOPS・サービス比率を拡大させていきます。また当社の高い顧客対応力の裏づけとして、GMA(Global Major Account)における売上も拡大させます。

情報機器事業 成長ドライバーの事業拡大イメージ

Q3:オフィスMFPを成熟市場と見る意見もありますが、その中で今後も成長は見込めるのでしょうか。

A3確かに日本、北米、欧州といった先進国市場におけるMFP総台数の大きな成長は見込めませんが、当社は統合以来「ジャンルトップ戦略」を推進しており、高付加価値のカラーMFPの販売に注力してきました。特に当社が強い販売基盤を持つ米欧市場では、今後もカラー化へのシフトが進むものと考えています。一方、今後も持続した成長が見込まれる新興国においては、当社は専用機の投入や販売力強化に注力しており、中国ではカラー、モノクロともにトップポジションを堅持しています。今後もこの強固な市場ポジションをベースにして、カラーMFPを主体とした販売拡大に取り組み、ノンハード収益の拡大を伴った事業成長を目指します。

A3MFP市場 地域別販売台数の推移および今後の見通し

カラーA3MFPにおける地域別シェアの推移

Q4:タブレットPCなどの台頭により、プリント出力需要が今後低下する懸念はないのでしょうか。

A4当社はカラーの「ジャンルトップ戦略」を推進する中で、カラー出力を必要とするオフィス顧客への販売に注力してきました。その結果、主力の米欧市場におけるカラー機の市場設置台数は着実に積み上がっています。それに伴いカラーの出力枚数は着実に増加しており、消耗品を主体としたノンハード売上も成長トレンドを維持しています。一方、プロダクションプリントでも、これまでカラー、モノクロともに販売台数を伸ばしており、顕著なプリント出力の増加が続いています。

当社オフィス分野におけるコピーおよびプリントボリュームの推移

プロダクションプリント機における地域別シェアの推移

当社プロダクションプリント分野におけるコピーおよびプリントボリュームの推移

Q5:情報機器事業以外の成長ドライバーについて、将来の成長イメージを教えてください。

A5オプト事業は、TACフィルム分野で当社が得意とする薄膜、超広幅技術を武器に、大型液晶TVに使われる視野角拡大用VA-TACフィルムを一層強化します。さらにスマートフォンやタブレットPCに採用されているIPSパネル向けでも事業拡大を狙います。光学ユニット分野では、成長が見込まれるミラーレス一眼やスマートフォン向けに、販売拡大を目指します。また、新規分野としては、次世代照明として急速に拡大しつつあるLED照明市場に向けて、当社の強みである光学技術を活かした各種製品を投入することで、事業化を加速します。

オプト事業 成長ドライバーの事業拡大イメージ

一方、ヘルスケア事業では自社開発によるDR(デジタルラジオグラフィー)や、中小型CR(コンピューテッドラジオグラフィー)のラインアップを拡充することにより、デジタル機器の売上拡大を目指します。小型CRについてはコスト競争力を強化し、成長市場である中国、インドを中心にアジア市場において販売を強化します。また、これらのデジタル機器の販売拡大に伴う顧客基盤をベースにして、保守、メンテナンスといったサービス売上の拡大を図るとともに、ネット活用などによる新たな付加価値サービスを展開し、事業拡大を目指します。

ヘルスケア事業 成長ドライバーの事業拡大イメージ

Q6:その他の成長戦略や、新規事業の進捗状況についても教えてください。

A6計測機器事業では、生産設備増強が続くアジア市場を中心とした事業拡大に加え、太陽電池計測など新規分野での事業拡大を目指します。産業用インクジェット事業においては、インクジェットのプリントヘッドなどコンポーネント分野で、屋外広告など需要拡大が続くアジア市場を重点強化するとともに、テキスタイル分野では商品のラインアップ拡充により、欧州、アジアを中心に海外での事業規模を拡大します。

計測機器事業 成長ドライバーの事業拡大イメージ

産業用IJ事業 成長ドライバーの事業拡大イメージ

新規事業の進捗に関しては、まず、オプト事業で進めているLED照明事業の第一弾として、棚用照明モジュールを受注、11年度より出荷を開始します。今後はガラス材料技術、薄膜技術を活用した革新的な蛍光体塗膜技術を確立し、12年度には事業化を本格化します。また、有機EL照明事業に関しては、市場の立ち上がりが本格化するタイミングを見定めながら、蒸着方式および塗布方式両面での製品化に取り組みます。まず、蒸着方式については、当社が開発した製品をPhilips 社(ドイツ)へ生産委託することにより、11年秋より製品出荷を開始予定です。また、塗布方式についても引き続き技術開発を進めます。有機薄膜太陽電池については、Konarka社(米国)との共同開発による技術成果を12年度中に評価し、その後の方針を判断する予定です。

LED照明
LED照明

有機EL照明
有機EL照明

Q7:成長戦略に向けた、研究開発費や設備投資額について教えてください。

A7研究開発費は3カ年累計で約2,500億円、設備投資および投融資は同期間で累計約2,200億円を見込んでいます。成長の実現に向けて、攻めの姿勢で積極的に投資を実施していくつもりです。また、成長分野におけるM&Aや戦略的提携などに対する投資枠を相応に確保しています。

Q8:株主還元の考え方について教えてください。

A8配当については、連結配当性向25%以上を方針としています。戦略投資の推進を勘案しつつ配当性向に沿って、収益成長に連動した増配を実施していきたいと考えています。また、その他の施策として、株価の推移などを勘案し、資本効率の向上による株主還元策としての自己株式取得についても、実施時期を適切に判断していきたいと考えています。

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