DYNAVISION-LED
コラム

LEDと液晶の違いを徹底比較!
基本構造と性能の違い【前編】

LEDと液晶の違いを徹底比較!基本構造と性能の違い【前編】

前回の記事では、LEDディスプレイの基本構造と自発光の仕組みについて解説しました。今回は、LED ディスプレイと液晶ディスプレイの根本的な違いと性能比較について詳しく見ていきましょう。

LEDと液晶の仕組みの違い

前回の記事のおさらいになりますが、LEDディスプレイと液晶ディスプレイの最も根本的な違いは、「光を出す仕組み」にあります。

液晶ディスプレイ(LCD)の仕組み

  1. バックライト(多くの場合、LED)が常に点灯して光を発する
  2. 液晶分子が電圧によって向きを変え、光の透過量を調節する
  3. RGB(赤・緑・青)のカラーフィルターを通して色を表現する

液晶はいわば「光のシャッター」として機能。

LEDディスプレイの仕組み

  1. 赤・緑・青のLEDチップが直接、必要な色と明るさの光を発する
  2. 外部からの光源は不要で、必要な部分だけが発光するLEDは「光の発生源」そのものです。

この違いから、LEDディスプレイは暗部表現コントラストで大きな優位性を持っています。

画質・明るさ・視野角の詳細比較

画質・明るさ・視野角の詳細比較

LEDディスプレイと液晶ディスプレイの性能を詳しく比較してみましょう:

画質・明るさ・視野角の詳細比
項目 LEDディスプレイ 液晶ディスプレイ
発光方式 自発光 バックライト使用
明るさ 非常に明るい(最大300-7000cd/㎡) 普通〜やや暗い(200-350cd/m²程度)
黒の表現力 高い(完全な黒を表現可能) 中程度(光漏れによりグレーがかる)
コントラスト比 非常に高い(10,000:1以上) 中程度(1,000:1程度)
視野角 広い(ほぼ全方向から視聴可能) 方式による(IPSは広いがTNは狭い)
応答速度 非常に速い(1ms未満も可能) やや遅い(数ms〜数十ms)
色再現性 広い色域(sRGB比155%も可能) 方式による(一般的に狭い)
消費電力 表示内容によって変動(黒表示で省エネ) 比較的安定(常時バックライト点灯)
寿命 長い(10万時間以上) 中程度(3〜5万時間程度)
価格帯 高価 手頃

画質面での優位性

この比較から分かるように、画質や表現力を重視するなら圧倒的にLEDディスプレイに分があります。
特に、高性能LEDディスプレイでは、驚異的な明るさ(最大600cd/m²)と広色域(sRGB比155%)を実現し、従来のプロジェクター方式では表現が難しかった鮮やかな色彩表現が可能となっています。

価格‧メンテナンス‧設置性での違い

実⽤⾯での⽐較も重要なポイントです。以下の比較表は主な違いを示しています。

価格‧メンテナンス‧設置性での違い
項目 LEDディスプレイ 液晶ディスプレイ
初期コスト ⾼価(数⼗万円〜数億円) 安価(数万円〜)
消費電⼒ 表⽰内容で変動(⽩表⽰で⾼い) ⽐較的低い(⼀定)
寿命 10万時間以上 3〜5万時間程度
メンテナンス頻度 ⻑期使⽤では部分交換が必要な場合も 基本的にメンテナンスフリー
設置⾃由度 曲⾯‧球体など⾃由形状、サイズ可変 平⾯のみ、規格サイズ
屋外使⽤ 可能(⾼輝度‧防⽔タイプ) 基本的に不可(専⽤品を除く)
重量 サイズによるが⽐較的重い 軽量(数kg〜)

特に注⽬すべきは、「設置⾃由度」の違いです。液晶ディスプレイは基本的に平⾯のみですが、⾃発光型LEDディスプレイは曲⾯や球体など、様々な形状に対応できます。これにより、プラネタリウムの球⾯ドームや曲⾯施設など、従来の表⽰装置では実現できなかった形状での映像表現を可能にしています。

まとめ

LEDディスプレイと液晶ディスプレイには、それぞれ以下のような特性があります:

液晶ディスプレイの主な特徴

  • バックライト⽅式で価格が⼿頃
  • 平⾯限定だが解像度は⾼い
  • ⼀般家庭やオフィス⽤途に適している

LEDディスプレイの主な特徴

  • ⾃発光型で⾼コントラスト‧⾼輝度‧広⾊域を実現
  • 形状の⾃由度が⾼く、曲⾯や球体などの特殊形状も可能
  • 主に業務⽤途、特に⼤空間での没⼊型映像体験に優位性がある

次回の後編では、LEDディスプレイが特に活用されるシーンと、あなたの用途に最適なディスプレイの選び方について詳しく解説します。