DYNAVISION-LED
コラム
LEDと液晶の違いを徹底比較!
用途別選び方完全ガイド【後編】
前編では、LEDディスプレイと液晶ディスプレイの基本構造と性能比較について解説しました。後編では、LEDディスプレイが特に活用されるシーンと、あなたの用途に最適なディスプレイの選び方について、初心者の方にもわかりやすく詳しく見ていきましょう。
LEDディスプレイが選ばれるシーンとは?
用途別の最適ディスプレイ選び
用途に応じた最適なディスプレイ選びのポイントを、専門用語解説を交えながらわかりやすく解説します
【まず結論:あなたに最適なのはどちら?】
液晶ディスプレイがおすすめの用途
- PC作業・オフィスワーク
- クリエイティブ作業(写真・動画編集、デザイン)
- ゲーミング
- 映画・動画鑑賞(家庭用)
LEDディスプレイがおすすめの用途
- デジタルサイネージ・屋外広告
- イベント・展示会・ステージ演出
- プラネタリウム・没入型体験施設
- シミュレーター(フライト・ドライビング訓練)
- コントロールルーム・監視センター
選び方の基本:
一般的な用途(PC作業、ゲーム、家での映画鑑賞)→ 液晶ディスプレイが値段と性能のバランスが良い
特殊な用途(店舗の宣伝、イベント、体験施設、屋外広告)→ LEDディスプレイの特長が活かされる
それでは、各用途について詳しく見ていきましょう。
01PC作業・オフィスワーク
パソコンでの資料作成、表計算、メール確認など、長時間のデスクワークに使用する場合
理由
- 値段が手頃で、長時間使っても目が疲れにくい
- 文字がくっきり表示され、どの角度から見ても見やすい
選ぶ時のポイント
- ブルーライトカット機能の有無:目に有害な青い光を減らして長時間作業でも疲れにくくする機能
- フリッカーフリー機能の有無:画面のちらつきを抑えて目の疲れや頭痛を軽減する機能
- 高さ調整機能の有無:自分の目線に合わせて画面の高さを変えて首や肩の負担を軽減する機能
02クリエイティブ作業(写真・動画編集、デザイン)
写真の現像・加工、動画編集、グラフィックデザインなど、色の正確性が重要な作業
(IPS方式、広色域対応)
理由
- 色を正確に表示でき、どの角度から見ても色が変わらない
- 値段と性能のバランスが良い
選ぶ時のポイント
- 色の再現範囲の広さ:画面で見た色と実際に印刷した色がほぼ同じになること。製品の仕様表に「色域カバー率」という項目があり、パーセンテージが高いほど正確です。
選び方:「sRGB 99%以上」または「広色域対応」と書かれた製品を選べばOK - 色のズレの少なさ:表示される色が本来の色からどれだけズレているかを示す数値。製品の仕様表に「色精度」や「ΔE(デルタイー)」という項目があり、数値が小さいほど正確です
選び方:「ΔE < 3」以下と書かれた製品なら実用的。「ΔE < 2」ならプロレベルの高精度 - キャリブレーション機能の有無:定期的に色を正確に調整して品質を維持できる機能(ハードウェアキャリブレーション対応が望ましい)
03ゲーミング
FPSやアクションゲームなど、素早い反応と滑らかな映像が求められるゲームプレイ
(TN方式またはゲーミングIPS)
理由
- 素早い画面の切り替えができ、ゲームで有利
- 値段も比較的手頃
選ぶ時のポイント
-
液晶の種類の選び方:
TN方式:画面の切り替えが最も速く、競技レベルのゲームに最適。ただし斜めから見ると色が変わりやすい
ゲーミングIPS:画面の切り替えが速く、色も綺麗に見える万能タイプ。価格は少し高めだが、ゲームも動画鑑賞も楽しみたい人におすすめ - 応答速度の速さ:素早い動きでも残像が出にくく正確な操作ができる(1ms以下が理想、5ms以下でも十分)
- 高リフレッシュレート対応:滑らかな映像でゲーム酔いを防ぎ、敵を素早く捉えられる(144Hz以上推奨、240Hzならさらに快適)
- G-SyncやFreeSync対応の有無:グラフィックボード(GPU)とディスプレイが連携して、画面のカクつきやちらつきを防ぐ技術。滑らかなゲーム体験ができます
選び方:NVIDIA製グラフィックボードなら「G-Sync対応」、AMD製なら「FreeSync対応」と書かれた製品を選ぶ。どちらか一方に対応していればOK
※リフレッシュレート = 1 秒間に画面が更新される回数。高いほど滑らかな映像
04映画・動画鑑賞
家庭での映画鑑賞や動画配信サービスの視聴など、映像美と没入感を重視する場合
(予算に応じて)
理由
- 明暗の差(コントラスト)が大きく、黒い部分がしっかり黒く見える
- 映画の世界に入り込むような体験ができる
選ぶ時のポイント
- 高コントラスト比の実現:暗いシーンの細部まで見えて映画の世界に没入できる(3000:1以上が理想、VA方式なら5000:1以上も可能)
- HDR対応の有無:明暗の表現幅が広がり映像に迫力と立体感が生まれる(HDR10対応以上、Dolby Vision対応ならさらに良い)
- 色域の広さ:鮮やかで自然な色表現で製作者の意図した映像を楽しめる。製品の仕様表に「色域カバー率」や「DCI-P3(デジタルシネマ規格)」という項目があります
選び方:「DCI-P3 90%以上」または「広色域対応」と書かれた製品なら、映画館に近い豊かな色彩で視聴できます
※HDR = より明るい明る さとより深い暗さを表現できる技術
05デジタルサイネージ・屋外広告
駅や商店街の電子看板、店舗の屋外宣伝など、屋外での情報発信に使用する場合
理由
- 高い輝度(明るさ)により、直射日光下でも文字や映像がはっきり見える
- 雨や風に強い耐候性を持ち、屋外に設置しても故障しにくい
- 遠くからでも内容がよく見え、 24時間連続で使える
選ぶ時のポイント
- 輝度(明るさ)の高さ:直射日光に負けない明るさで昼間でも内容がはっきり見える(5000cd/m²以上が屋外使用の目安)
- IP保護等級の高さ:雨や砂ぼこりから機器を守り故障リスクを大幅に軽減(IP65以上が屋外設置の基準)
- 遠距離視認性の良さ:遠くの通行人にも情報を届けて広告効果を最大化(ピクセルピッチ10mm以下推奨)
※IP保護等級 = 水やほこりに対する保護レベルを表す国際基準
06イベント・展示会・ステージ演出
コンサート会場の大型スクリーン、展示会のブース演出、舞台背景など、人を魅了する映像演出
理由
- 明暗の差(コントラスト)が大きく、色鮮やかな映像で観客を魅了
- 会場の強い照明に負けない明るさで、どこからでも映像がくっきり見える
- 平面だけでなく、曲がった形や特殊な形にも対応でき、創造的な演出が可能
選ぶ時のポイント
- 輝度(明るさ)の十分さ:会場の強い照明に負けず観客全員に映像を届けられる(3000cd/m²以上が会場使用の目安)
- 色域の広さ:鮮やかで印象的な映像で観客の心を掴み記憶に残る演出ができる(sRGB比120%以上が望ましい)
- 形状のカスタマイズ性の高さ:独創的なデザインで他では見られない唯一無二の演出が可能(曲面・円形・特殊形状への対応力)
07プラネタリウム・没入型体験施設
天体観測施設、VR体験施設、科学館など、360度の映像で包み込む体験型施設
理由
- 球体状(ドーム型)のスクリーンを実現
- 従来のプロジェクター(映写機)では表現できなかった、明暗差の大きい鮮やかな映像
選ぶ時のポイント
- 形状対応力の高さ:ドーム全体を映像で包み込み圧倒的な没入感を実現(半径10m以上の大型ドーム対応可能か)
- シームレスな表示品質:継ぎ目のない一体感のある映像で現実感を演出(パネル間隙1mm以下が理想)
- 視野角の広さ:どの席からも美しい映像を楽しめて顧客満足度を向上(水平・垂直160度以上が望ましい)
08シミュレーター(フライト・ドライビング訓練)
パイロット訓練、自動車教習、重機操縦訓練など、実際の操縦環境を再現した訓練用途
理由
- 180度以上の広い視野で、実際の環境に近い体験を提供
- 動きの速い映像でも遅れ(遅延)なく表示
- 複数の画面をつなげて、境目のない一体感のある映像を実現
- 明るく、明暗差の大きい映像で、昼夜問わずリアルな体験
- 長時間の訓練でも安定して動作
選ぶ時のポイント
- 複数画面のシームレス接続性:実際の視界のように継ぎ目なく映像をつなげて訓練効果を向上(ベゼル幅0.5mm以下が理想)
- 応答速度の速さ:操作に対して画面が瞬時に反応し現実に近い操縦感覚を実現(1ms以下必須、0.5ms以下なら最適)
- 高輝度・高コントラストの実現:昼夜や天候の変化をリアルに再現して実践的な訓練ができる(輝度1000cd/m²以上、コントラスト比5000:1以上)
- 曲面ディスプレイ対応:人間の視野に近い映像で操縦環境を忠実に再現(180度〜270度の視野角対応)
09コントロールルーム・監視センター
工場の制御室、セキュリティ監視室、交通管制センターなど、24時間体制での監視・管理業務
理由
- 24時間連続で使っても故障しにくい高い耐久性
- 細かい文字や数値もくっきり表示し、重要な情報の見落としを防ぐ
- 複数のモニターを曲線状に配置して、作業者が見やすい環境を作れる
選ぶ時のポイント
- 耐久性の高さ:24時間連続運用でも故障せず重要な監視業務を継続できる(10万時間以上の寿命が望ましい)
- 高精細表示能力:細かな数値やグラフも鮮明に表示して重要情報の見落としを防止(4K解像度以上推奨)
- 視野角の広さ:複数の作業者が異なる角度から見ても正確な情報を確認できる(水平・垂直178度以上が理想)
結論:あなたに最適なディスプレイの選び方
LEDディスプレイと液晶ディスプレイには、それぞれ以下のような特性があります:
液晶ディスプレイの主な特徴
- バックライト⽅式で価格が⼿頃
- 平⾯限定だが解像度は⾼い
- ⼀般家庭やオフィス⽤途に適している
LEDディスプレイの主な特徴
- ⾃発光型で⾼コントラスト‧⾼輝度‧広⾊域を実現
- 形状の⾃由度が⾼く、曲⾯や球体などの特殊形状も可能
- 主に業務⽤途、特に⼤空間での没⼊型映像体験に優位性がある
選択の基準
⼀般的な⽤途(PC作業、ゲーミング、家庭での映像鑑賞)
→ 液晶ディスプレイがコストパフォーマンスに優れる
特殊⽤途(商業施設、イベント、没⼊型体験、屋外広告)
→ LEDディスプレイの優位性が発揮される
あなたの⽤途や予算に合わせて最適なディスプレイを選ぶための判断材料として、この記事が参考になれば幸いです。次回の記事では、液晶ディスプレイの種類と特性について詳しく解説します。