パルスオキシメータ知恵袋 番外編

家庭での安心利用ガイド

オキシメータではないパルスオキシメータ

酸素(飽和度)だけを見るのなら、パルスオキシメータではなくて、オキシメータという名前でいいはずです。パルスオキシメータのパルスは“脈拍”の事です。パルスオキシメータを無理やり直訳すると、脈拍&酸素飽和度測定器です。

厳密にいうと脈拍で生じる変動(脈波)

パルスオキシメータでは酸素飽和度を測定する前に、まずは脈拍の信号を測定し、脈拍数と酸素飽和度を計算します。

酸素飽和度(SpO2)の値だけではなく、脈波信号や脈拍数を見ることで体調に関する事や機器の測定状況に関しての様々な情報を得る事ができます。

普段から脈拍数を意識して使いましょう!

脈拍数の機器の測定状況に関するヒント

正しくSpO2を計算するには良質な脈波信号が取れていないといけません。良質な信号とは、
 ①必要十分な振幅信号がある
 ②リズムカルな振幅信号がある
ことです。①や②を満たさない信号の場合には、機器によっては測定できない、測定できるがでたらめな数値が出るということが起こりうります。
測定時には、そうした信号になっていないかを確認が重要です。レベルメータなどの脈波リズムや脈拍数が異常なように感じられた場合には、機器の取扱説明書を読んで、適切な対応を行ったうえで、測定しなおしてみましょう。

正常なレベルメータ

脈波信号が弱すぎるレベルメータが
殆ど上がらない

レベルメータが不規則に乱高下

脈波信号が強すぎるレベルメータが上限を
超えている

脈拍数の生体状態に関するヒント

脈拍数は体温と同様に体調のバロメータとして利用できます。

脈拍数の標準的な値は、
成人男性の心拍数では1分間に65~70拍、女性では男性よりやや高く70~80拍
小学生も、成人と比較すると、脈拍がやや早い傾向にあります。平均すると1分間に80~90拍
高齢者の場合は心肺機能の低下ということもあり1分間に60~70拍が平均と言われています。

年齢別心拍数

脈拍数は、交感神経の働きが優位になっている時に上昇します。日常では運動や入浴といった日常生活の動作や、「緊張している場面」や「興奮している状態」の時に一時的に脈拍数が上昇します。
精神的に強いストレスを感じていると、交感神経が興奮し脈拍数が早くなってしまいます。
しかし、それ以外にも体調の異常、貧血・低血圧、ホルモンバランスの乱れ、薬の副作用などでも脈拍数が上がります。
脈拍数の上がる疾患としては、不整脈・心不全などの心疾患、胃腸からの出血などが原因の貧血、慢性肺疾患、感染症、神経症、腎臓病、肝臓病など、SpO2が低下する疾患と大きく重なっています。

朝飯前のパルスオキシメータ

朝起きて、まずはパルスオキシメータで測定してみましょう。
普段の脈拍数より10%程度高ければ、少し体調がよくないかも知れません。

朝飯前のパルスオキシメータ

体温が1℃上がると、脈拍数は8~10拍上がると言われています。脈拍数が20拍高ければ、発熱している可能性があります。一方で、熱は高くないのに脈拍数が高い場合は、心臓、肺、腎臓、肝臓などで不調が生じている可能性もあります。
そんな日は無理をせず、日課の散歩をやめて休息するなど、いざっという事が起こらない予防に努めることができるかもしれません。

上がるより下がる方が怖い脈拍数

注意をしなければいけないのは、急に脈拍数が少なくなることで、その時には身体が酸欠状態にある可能性があります。脈拍数が少ないと言う事は全身に送られる血液量が少なくなるために、酷い場合には意識消失などの状態になる事があるため注意が必要です。

上がるより下がる方が怖い脈拍数

高齢者は特に脈拍リズムを注意しましょう

高齢者は心臓に持病を持っている方も多いです。
心臓がしっかり働いているかを確認する意味でも脈拍の測定は回数のみでなく、脈拍のリズムにも注意しましょう。

脈拍が一時的に早くなっていないか
遅くなったりしていないか
1拍飛んだりしていないか

正常な脈波波形

脈拍が早い脈波波形

脈拍が遅い脈波波形

脈拍が1拍飛んでいる脈波波形