SONIMAGE P3レクチャー
小林只先生
弘前大学医学部附属病院

レクチャー動画

弘前大学医学部付属病院の総合診療部でご活躍されている小林只先生に、ポケットエコー「SONIMAGE P3(ソニマージュ ピースリー)」を使用した、エコーの画像の見方、プロープの当て方などを、わかりやすく解説していただきました。ポケットエコーによる体液管理を看護の現場で行うことで、現場で判断できる事項が増え、患者様側、看護側両方の負担が軽減されることが期待できます。

ポケットエコーで実践!一歩先の看護ケア

従来の検査室のエコーとは役割が違う

機器の進歩が私達の生活を変えています。
具体的に言いますと、パソコン、コンピュータがイメージしやすいでしょう。デスクトップ、そしてノートパソコン、そして皆様ポケット・鞄の中には今は携帯電話。スマートフォンが入っていると思います。これらは使い方が違います。ちょっとした調べ物をする場合に、わざわざ家のデスクトップに帰ってじゃなきゃできないという方はすくないと思います。きっと手元でチョッチョッチョっと調べて終わり。
そういう風になっていませんでしょうか。
実は同じコンピュータという機械でもデスクトップ・ノートパソコン、そしてスマートフォン。皆様適宜使い分けているはずなんです。

実は大きい場所にある、そして自分で一人持っているというような進歩はエコーにも起きています。検査室にある大きい機械、そして外来にあるようなノートパソコンタイプ。

今はポケットエコーです。

検査室でやる高級な処理・高度な処理というものそれはそれで大事なんですが、「ちょっとだけ確認する」こういったことを現場でできる。これがポケットエコーの存在意義です。
従来の検査室のエコーとは役割が違う。これを是非押さえてください。

「体液管理」に焦点を絞った説明

具体的に言いますと、さまざまな例に使えるのですが今回は「体液管理」という所に焦点を絞ってご説明致します。
さて、体液管理。いわゆる脱水・心不全ということをイメージした場合、どの場所を見たいでしょうか?
きっと喉が渇いているかという問診であったり、足がむくんでいるという診察だったり、そしてエコーで見る場合実は9割がた心臓、そしてみぞおちにある大きい静脈、下大静脈と言います。IVCとよく現場では言われています。
ここを見る事が多いと言いますが、意外と難しいです。当てる技術として。

しかし看護師さんが現場で使うちょっと判断に使うとい意味で割り切って実施するのであれば、膀胱で8割方済むと私は考えております。
では、膀胱を実際にどう当てるかというと、細かく「35ccある」とか「45cc」とか「百何十何ミリ」とかそういった細かいのは必要ありません。全くないか、ちょっとあるか、それなりにあるか、パンパンか、その4段階ぐらいが分かれば十分です。そしてそれぞれの変化「ある」のか「ない」のかに加えて増えたかどうか。これを判断をすることで現場では非常に役に立ちます。
エコーの見え方はシンプルです。
液体は黒。そして空気と骨は白。まずはそれだけ覚えてください。今回は膀胱を例にとっていますので、液体は黒。当てたら真ん中に黒いものがある。そしたらそれは膀胱。
それだけ覚えてください。

具体的な症例

具体的な症例のご説明を致します。
おしっこが近いという症状は「恥ずかしい」という思いもあり、なかなか相談できずにいます。しかし仕事への影響・通勤への影響、そして夜の睡眠への影響。
実はADLに直結していることがとても多いです。
例えば、ご高齢の場合はおしっこが近いから夜十分に眠れない、もしくはフラフラして倒れて骨折するんじゃないか…実際、「骨折してしまった」そういう話はめずらしくありません。そういった時に、じゃぁどういう風に対応できるか、ここでエコーが役に立つのです。
では実際に当て方をご説明致します。

プローブの持ち方

プローブの持ち方です。
プローブとは超音波の機械の先端のモノを言います。これを患者さんにあてて、画像を出すっという事になります。この持ち方ですが、実はコツがあります。指の親指含めた3、4本、もしくは2,3本でプローブを掴みます。そして体に当てるわけですが、ポイントは指をしっかりと患者さんの体に当てます。そして支えるということになります。
よく間違う持ち方としましては、上から掴む。これだとやっぱり安定しません。フラフラしてしまいます。もしくはグー握り。これもフラフラします。時に器用な方は頑張ってひねってこんな持ち方をする方もいますが、これもやはり安定しません。
オススメの持ち方は、始めに申したように指2,3本ないし、3,4本でまず掴みます。そして小指側、もしくは手の横を患者さんの体につける。そうして安定させて下さい。
以上です。

膀胱部分のエコーの当て方のコツ

膀胱部分のエコーの当て方のコツです。
まず第一に、恥骨を必ず指1本で触ってください。そしてその触った骨のすぐ上にまっすぐプローブを押し付けて当てます。この恥骨を触ってプローブをまっすぐ当てるということが大きなポイントです。
そして、プローブをまっすぐ当てるというのは、きちんとまっすぐ。どういうことかといいますと、決して倒したりずらしたり、縦方向・横方向含めてずらしたり、そして回したり、こういったことをせずにきちんと恥骨の真上にまっすぐ当てるっていうことがポイントになります。もう一つ、恥骨の真上という事ですがどれぐらい真上かと言いますと、恥骨を実際触りましてその指に沿わせる形で当てる。これぐらいの際になります。恥骨の上と言っても、こんな上だったりもしくは恥骨の上だったりだと見えません。
まとめます。恥骨をまず触ります。指一本。そして、その真上にまっすぐプローブを当てる。
以上になります。

具体的な当て方

具体的な当て方を説明致します。
恥骨を触りまして、そのすぐ上にプローブをまっすぐ当てます。この時点で画面の中に黒い丸いものが見えればそれが膀胱ですが、今回は見えません。その場合、膀胱が十分に膨らんでいないという事になります。
膀胱は恥骨の後ろ、奥の方にあります。そのため、奥の方を除くように傾けていきます。今画面の方には黒い丸が上に一つ、下に小さいのが一つありますが、上が膀胱で、下が前立腺になります。女性には前立腺はありません。ご注意ください。
この傾け方の注意点をお話します。
まっすぐ当ててその後傾ける場合に、決してひねりながらやったり、傾けながらやったり、そういうことをせずに、ちゃんとその場で倒してください。
もしくはそのままずらす。そうすると恥骨の上に当たってしまった場合は超音波は中に入りませんので見えません。恥骨を必ずはずしてまっすぐ当てる。そしてそのままきれいに傾けていく。
このようにして確認下さい。

恥骨の裏をエコーで調べる

膀胱の容量が少し多い時当て方は先ほどの少ない例と一緒です。
恥骨を触ってそのすぐ上にプローブをまっすぐ当てます。この場合もやはり膀胱に相当する黒い丸が見えません。傾けていくと見えます。少ない量に比べると大きく見える。これはやはり膀胱が大きくて尿がいっぱい溜まっていると言う風に考えられます。

膀胱に溜まった尿量を調べる

膀胱が少し大きい時、当て方は同じようにまず恥骨を触ります。
そしてその真上にまっすぐプローブを当てます。この時点で黒い丸が見えます。これは膀胱です。この時点で膀胱が見えるということは大きい、だいぶ尿が溜まっているということです。そうなりますと、今度はどれくらい尿が溜まっているか、膀胱が大きいかということを確認する必要があります。その際は、プローブを上にスライドするか、回して縦で見るかこの二つのやり方があります。
初学者達にオススメなのはこの縦の向きです。まっすぐプローブを横にあてて見えます。この時点で見えたら縦に回します。この際も傾けたり、ひねったりせずに丁度体に対してまっすぐ当てます。そしてプローブをずらしていきまして、どこまで膀胱があるかっていう大きさを確認して下さい。

尿が溜まっている時、尿閉の時

尿がとても溜まっている時、もしくは尿閉の時です。
同じように恥骨をまずを触ります。そしてそのすぐ上にまっすぐ横向きにプローブを当てます。この時点で膀胱が大きくあるのが見えます。そうしましたら次は膀胱がどこまで大きいのかを確認します。プローブを90度回して縦にして、おへそ側の方にずらしていきます。尿閉であれば大体恥骨とへそ、真ん中からもしくは下側3分の1ぐらいまで膨らんでいることが多いです。もしくは画面上で言いますと、膀胱の全体がパーンと張っているようなイメージが写ります。もし尿閉でなければパンと張っていないでもっとたわんでいるようなイメージになります。

尿閉で無い時の膀胱の見え方

尿閉でない場合にどのように膀胱が見えるかですが、当て方は同じように恥骨の上、そして90度回して、高さがどこまであるか。この場合高さはおへそと恥骨の間、下4分の1、5分の1そういう低い位置にやはり膀胱のてっぺんが来ています。また、画像の見え方としましては膀胱が外にパーンと張っているのではなく、中にたわんでいるような画像になっております。

モデルと実際の患者さんとの違い

今回はモデルを使ったエコーの当て方をご説明していますが、実際の患者さんと少し違う場所があります。
それは肌の柔らかさです。
実際の患者さんはとてもおなかが柔らかく、押すとグーーっと簡単に凹みます。このモデルは少し硬めですので、その点を意識しながら当ててください。恥骨を触って、すぐ上にプローブを当てます。
実際の患者さんの場合、膀胱と肌の間に腸が入ってきていることが多いですので、なかなか膀胱がすっきり見えません。そのためしっかりとグーッと押し込みます。もちろん患者さんが痛くない範囲です。そして押し込んだ状態で恥骨の裏を除くようにプローブを傾けていきます。
これがコツです。

エコーの見え方のコツ

実は簡単にできます。もちろんアナタにもすぐできます。エコーの見え方だけ簡単に復習します。膀胱は液体、おしっこは液体だから黒。それだけです。
では、実際にどういった画像が見えたらどのように判断したらいいのでしょうか。
おしっこの回数が夜多い、エコーを当てました。残尿、つまりちょっとでもおしっこが溜まっているのか。50CC、100CC、150CCいろいろあります。そういった場合と、全然溜まっていない。これは50CC未満、もしくは100CC未満でもいいんじゃないか、残尿なしと言っていいんじゃないか、という風に最近一部で言われていますが、要するに、溜まっているのかいないのか、それだけです。
医師の場合、この場合薬剤調整という手段を考えます。しかし現場の看護師さんはどのように判断したらよいか。
実は寝る前にトイレに誘導する「おじいちゃんおしっこ溜まってますからトイレにいきましょうね」「ワシはトイレなんて行きたくない!!」と言われたとしても、「ほら、エコーで見て溜まってるんですよ」「そっか…じゃぁ行くか」というように、患者さんとのコミュニケーションを取りながら適切にトイレに誘導できるということが強みでございます。
寝る前のおしっこ、夜間の点灯、そして骨折を減らすためにもとても大事なところですね。

エコーを当てるだけで簡単に判断できます

次の症例です。
膀胱で詰まったということを聞いたら何を想像しますか?
バルーンが詰まった、そして前立腺肥大なのかな…どうなのかな…という思いもあれば、もしかしておしっこがでません。単純に脱水かもしれません。この二つを鑑別することは現場でとても重要です。
原因検索の為に念のために受診してくださいという例もあれば、とりあえずバルーンを交換・もしくは導尿してみて下さいと医師から看護師にお願いがあるかもしれません。
けれども実際にはそれぞれに負担にかかって徒労に終わってしまう事も多いです。
現場で適宜それを鑑別することがエコーでできます。
じゃぁ実際にあててみます。そうするとこのような画面がでました。それぞれ判断が違います。

左上の画像であれば、「ああ、これは尿閉だったんだ。そしたら導尿お願い致します。導尿してください。」それで現場で問題が解決するはずです。 一方でおしっこ出ないという状況にも関わらず、左下のような画像。全然膀胱は大きくない、おしっこもないという風になれば、これはもちろん脱水を考えるわけです。そして原因検索の為に、受診を勧めたり、適宜検査を受けたり勧めたりと言う風に動きが変わってくることになります。
おしっこがでません。いっぱいたまっていれば、その現場で処置。脱水を疑えば、原因検索。
このようにエコーを当てるだけで簡単に判断できます。

ポケットエコーは地域で医療を行うための道具の一つ

次の症例です。 「点滴いつまでやるのでしょうか?」こういった質問をさまざまな場面で患者さん、もしくは患者さんの家族からされることは多いと思います。特に脱水の点滴の場合、「いつまでできるか?」「おしっこがでたらもういいじゃないのですか?」という対応をすることが多いです。しかし、いつおしっこがでるかはわかりません。そしてベッドはうまっています。外来で患者さんはなかなか帰れません。往診・訪問看護行った先でも、いつまでここに滞在したらいいのか、実は皆様の働き方・動き方というものと患者さんの負担さまざまに影響する例でございます。
これも実はエコーを当ててしまうと、結構役に立ちます。
具体的には膀胱の中にちょっとしたおしっこが無かった。それが点滴をしたり、もしくはインスリンでも構いません。そして時間が立ったら増えた。明に大きくなった。つまりしっかりとおしっこが出ている。脱水はそれなりに解消した、という風に判断できます。これだけで点滴の調整から時間のメドから様々な判断に応用できます。
まとめます。ポケットエコーはあくまで地域で医療を行うための道具の一つです。
どう使うかは皆さん次第です。

ポケットエコーを使って多くの方々がハッピーになるように

地域の現場ではいろんなコスト、身体的や精神的な社会資源、医療費さまざまなものが絡み合って最適化されるように現場は動いています。一言「病院を受診してください」と安易に行ってしまいがちですが、患者さんにとって病院に来るということは、とても大変です。車はだれが準備するんだ、誰が運転するんだ、子供は休みとれるのか、そういった中で、現場で判断できることがふえるに越したことはありません。
ポケットエコーという道具を使って適切に安全に現場の判断出来る事項を増やして、そして多くの方々がハッピーになるように是非お役立て下さい。

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