船橋市立医療センター様の導入事例

検査画像が翌日には届く「連携BOXサービス」活用でよりシームレスな地域連携を実現

船橋市立医療センター
  • 名称:船橋市立医療センター
  • 所在地:千葉県船橋市金杉
  • 病床数:449床

千葉県は、2012年12月末時点での人口10万人に対する医師数が172.7人と、全国平均の226.5人を大きく下回る医師不足が深刻な県だ。ワースト1位の埼玉県(148.2人)、2位の茨城県(167.0人)に次ぐ、ワースト3位(全国第45位)となっている。

さらに県内では、千葉市を中心とした地域や、安房など県南部の地域に医師が集中し、地域格差が生じている。千葉県内保健医療圏別の人口10万人に対する医師数をみると、2010年10月時点では山武長生夷隅保健医療圏が104.4人、次いで君津保健医療圏が133.7人と、県内でも医師数が低い地域になっている。今回伺った船橋市立医療センターは、千葉県内の医師数がワースト3位である東葛南部保健医療圏の中核病院だ。

救命救急センター(千葉県三次救急医療機関)であり、災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院などにも指定されている同センターは、2010年3月に地域医療支援病院としても承認を受けた。医師数の少ない医療圏住民のセーフティーネットを形成すべく、地域の医療機関との密接な連携に取り組んでいる。

連携医との情報共有、高度医療機器の開放地域医療支援病院としてのさまざまな取り組み

医療センターは、医療や地域連携に関する研修会や勉強会を開催したり、月1回発行する連携広報誌やメーリングリストを用いて、同センターが登録する「連携医」と情報共有を図っている。

また、連携医は同センターが所有するCTやMRIなどの高度医療機器の使用予約をすることができる。そのため、高度医療機器を使用する検査だけは同センターで行うようにすれば、前後の治療は主治医を変えることなく、患者の自宅近くの連携医が継続して行うことができる。

この高度医療機器の使用をよりスムーズに行うため、2013年1月に導入されたツールが、コニカミノルタ社の「infomity連携BOXサービス(以後連携BOX)」だ。

連携BOXの特徴は、(1)画像データだけでなく、PDFやExcel、PowerPointなどの文書データも扱えること、(2)厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン4.1版」や経済産業省の「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」、総務省の「ASP-SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」など、複数のガイドラインに準拠した、セキュリティ面が担保された環境で利用するサービスであること、(3)利用施設のシステム環境に依存せず、インターネット環境があれば簡単に利用が開始できること、の3点がある。

船橋市立医療センター 地域医療連携室の後藤健一氏
船橋市立医療センター
地域医療連携室の後藤健一氏
「infomity連携BOXサービス」運用のイメージ図
「infomity連携BOXサービス」運用のイメージ図

連携BOXの具体的な活用方法としては、連携医が同センターに検査を依頼した患者の検査データ共有が挙げられる。同センターはコニカミノルタ社のサーバー上に、検査画像や文書データなどを、セキュリティー保護された専用回線を用いてアップロードする。その後、専門のビューワーを用意した連携医が閲覧できる状態にすると、検査を依頼した連携医と同センターが検査データを共有できる。主に、同センターが連携医から予約を受けた患者の検査結果を共有するために使用しているという。同センター地域医療連携室の後藤健一氏は、「放射線科の検査結果を郵送で送る場合、これまで2~3日かかっていたが、翌日には結果が見られるようになったため好評だ」と語る。

ITとの親和性などは個人によって異なるため、連携医全員が連携BOXを使用しているわけではないというが、現在のところ、連携医が利用する年間検査予約件数(1,500件程度)の1割近くは、連携BOXで結果を送っているという。導入から約1年。後藤氏は「今後は、脳卒中の連携パスシートや、癌の画像診断結果のやりとりなどに広げていける可能性はある」と手応えを感じている。

infomity連携BOXサービスを操作する船橋市立医療センター地域医療連携室の山村和子氏
infomity連携BOXサービスを操作する船橋市立医療センター地域医療連携室の山村和子氏

同センターは、2012年に3カ年の中期経営計画を策定し、実施してきた。基本方針として、(1)安定的な経営の確保(2)地域医療における連携強化(3)診療機能の充実(4)サービスの向上と市民の理解 (5) 教育・研究等の充実の5点を挙げて、さまざまな改革が行われている。

「診療機能の充実」の項目には、「IT化の推進」がある。実は、連携BOX導入のきっかけは、放射線科の医師から要望があがったことにある。この導入も、改革の1つとなった。

インターネット経由の検査画像データ共有で時間短縮と省スペース化に貢献

同センターの取り組みを、連携医はどのようにみているのだろうか。

  • 名称:きのしたクリニック
  • 所在地:千葉県船橋市前貝塚町

同センターの連携医である、きのしたクリニック院長の木下孔明氏は、同センターからの逆紹介例なども増えており、順調な連携関係を構築できているという。「大動脈瘤といった心臓の手術を終えた患者が戻ってきて、いつもは近医で経過を診たり薬をもらったりし、半年に1回だけセンターに行く、というようなことはよくある」(木下氏)。

同クリニックでは、胃カメラやCT画像の撮影などを同センターに依頼する際に、連携BOXを使用している。CT画像の撮影に限っても、週に1~2回ほど依頼するという。木下氏が連携BOXを利用する上で最大のメリットとして感じているのは、やはり検査結果を迅速に知ることができる点だ。木下氏は、「画像を撮影してからフィルムに焼き付け、読影が終わるまで待ち、終わったら宅急便でクリニックに送る、という手順を踏んでいると、2週間ほどかかってしまう。それが撮影後すぐにどこでも読影でき、クリニックへはインターネット経由ですぐに送れるようになったことで迅速化した」と言う。

さらに木下氏は、「CT画像などは枚数も多く、フィルムを保管するスペースも問題になりがちだったため、データ化されることはありがたい」とデータ化のメリットについても述べた。

木下氏は、千葉大学が中心となって2013年7月に運用を開始した千葉県医療機関ITネットと関連させるなど、今後ITを活用した地域連携はより積極的に行っていくべきだろう、と語った。

※取材当時の内容です。

きのしたクリニック 院長の木下孔明氏
きのしたクリニック
院長の木下孔明氏

このページを共有する