高耐久感光体ドラム~ストレスに強いオーバーコート層~

開発の背景

感光体ドラムの役割

複合機やデジタル印刷システムの機器内部には、光を電荷に変換する「感光体ドラム」という光沢のある筒状の部材があります。カラー機の場合、転写はトナーの色ごとに行われるので、シアン用・マゼンタ用・イエロー用・黒用の4本の感光体ドラムが搭載されています。
印刷プロセスにおいて、感光体ドラムの表面には、帯電と露光によって電位の高低差がつくられ、「静電潜像」と呼ばれる目に見えない静電気の画像が形成されます。そして、その表面の電位に応じて、静電気の力でトナーが付着します。感光体ドラムに付着したトナーは、直接あるいは中間転写ベルトなどの部材を介して紙の上に転写され、熱と圧力によって「溶融定着」されます。
最後に、転写されず感光体ドラムの表面に残ったトナーは、クリーニングブレードによって清掃されます。

求められる耐久性能「強くて長持ち」

印刷のたびに、帯電、露光、転写、クリーニングが繰り返される感光体ドラムは、クリーニング部材としてのブレードやブラシに加え、中間転写ベルトなどによる機械的ストレスを受け、やがてはその表面に摩耗、スジ(帯状)、あれ(粗れ)などが起こり、印刷物に部分的な濃さの低下やスジ状画像ノイズを生じさせます。
また、商業印刷では、既に画像などが印刷してある紙の上に、さらに印刷を重ねて行う「追い刷り」という印刷があります。このとき、紙に印刷されたインクが感光体ドラムに接触することになり、インク成分によるケミカルアタックが生じます。その他にも機内の化学的ストレスによって、感光体ドラム表面が化学的に変化し電気抵抗が低下すると、次第に画像がぼやけてきます。
このような状態になる前に感光体ドラムを交換する必要がありますが、感光体ドラムの耐久性能を高めることで、交換頻度を低くすることができます。つまり、過酷な機械的・化学的ストレスにも強く、長持ちする感光体ドラムの開発は、お客様の印刷効率を向上させるとともにサービスコストを低減させ、さらに環境負荷、特に省資源や廃棄物の削減にも有効と言えるのです。

課題

  • 感光体ドラムの表面に、“機械的ストレス”や“化学的ストレス”に対する高い耐久性をもたせる

コニカミノルタの技術

ユニバーサル硬度240N/mm2を達成

コニカミノルタは、硬く高密度なオーバーコート層を開発し、摩耗量、表面あれ(粗れ)を大幅に低減して表面状態の安定性を大きく向上させ、業界トップのユニバーサル硬度240N/mm2を達成しました。
下図は100万枚(A4)印刷後の感光体ドラム表面の写真です。従来品(左)は矢印で示す部分に削れによるスジ傷や幅広の削れ帯が認められますが、新感光体ドラム(右)は100万枚(A4)印刷後も削れ帯や削れスジのない表面を維持しています。

100万枚(A4)印刷後の表面比較-従来品(左)と新感光体ドラム(右)-

化学的ストレスにも強い

新オーバーコート層は、酸化の影響も、より受けにくくなりました。
下図は、表面を少し摩耗させた(膜削れ約1.5μm)状態での高温高湿環境試験の印刷画像の比較です。従来品では酸化の影響が膜内部の感光層に及び画像不良を発生します(左)が、新オーバーコート層は膜密度が高く耐酸化性に優れる材料を使用しているため安定した画像を維持しています(右)。
コニカミノルタは、新オーバーコート層の膜強度を活かして感光体ドラム表面のクリーニング条件を設定し、100万printにわたって高い画像品質を実現しました。

膜削れ約1.5μm/100万print(A4)調整後高温高湿環境での印刷画像比較
-従来品(左)と新オーバーコート層(右)-

成果

  • ユニバーサル硬度240N/mm2という業界トップの硬さを達成
  • 100万printにわたって高い画像安定性を実現

技術ポイント

有機無機ハイブリッド技術

無機微粒子 有機分子
有機無機ハイブリッド
コニカミノルタの感光体ドラムでは、従来、オーバーコート層にナノサイズの無機フィラーを分散することで硬度を高めていました。今回、新たにオーバーコート層の主成分として有機材料である硬化性樹脂を採用し、さらに硬化性樹脂と無機フィラーを化学結合させた有機無機ハイブリッド膜を開発し、硬度を飛躍的に向上させました。
無機 フィラーには、有機成分と反応できる表面処理を施し、有機材料である硬化性樹脂と反応させ、ハイブリッド化します。このように無機フィラーと有機材料をハイブリッド化することで、無機と有機の長所を併せ持った耐久性能を発現できます。
感光体ドラムに用いられている「電子写真有機感光体技術」は、コニカミノルタがコア技術のひとつとして長年にわたって研究開発を進めている技術であり、常に時代のニーズに応え続けています。

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