高感度な有機感光体~画質形成への湿度影響を最小限に~

開発の背景

高画質のカギは感光体の“安定した高感度”


感光体断面図
複合機やデジタル印刷システムでは、静電気の原理を用いた「電子写真方式」といわれる方式で画像を形成しており、そのプロセスにおいて重要な役割を担っているのが感光体です。
感光体は、一般的にはアルミの筒の上に、「下引き層」「電荷発生層」「電荷輸送層」の3層を積層しており、光を当てると電荷が発生する性質を持っています。
電子写真方式の印刷プロセスでは、まず感光体表面をマイナスに「帯電」させておきます。 次にトナーを付けたい部分(色が付く所)に光を当てます。これを「露光」といいます。感光体では、光の当たった部分の「電荷発生層」にプラスとマイナスの電荷が発生し、マイナスの電荷は下引き層からアルミ基体へ、プラスの電荷は電荷輸送層を通って感光体表面へと移動します。この表面へと移動したプラスの電荷は、既に帯電させておいたマイナス電荷を打ち消します。こうして、感光体表面にマイナスの電荷がある所と無いところが生じ、「静電潜像」と呼ばれる目に見えない静電気の画像が形成されます。
トナーは、感光体表面のマイナス電荷の無い部分に付着します。これを紙に転写し、熱を加えて「溶融定着」すると印刷が完了するのです。

電子写真のプロセス

感光体の電荷発生層に使われる「電荷発生材料(CGM:Charge Generation Material)」の感度安定性は、印刷時の画質を決定づけます。コニカミノルタは、このCGM開発において1989年には当時業界でも画期的なチタニルフタロシアニンのY型結晶を開発するなど、長年にわたり世界の感光体開発をリードしてきました。
近年、デジタル印刷システムが商業印刷にも広く用いられるようになり、オフセット印刷並みの高い画質が求められるようになりました。従来の感光体では、湿度の変動が感度特性に影響しましたが、これによって起こる微妙な画質の変化すらも許されない安定した高画質が、今は必要とされているのです。

課題

  • 湿度変化の影響がない、より高感度なCGMを開発する

コニカミノルタの技術

湿度に左右されない新材料

従来のCGMは結晶構造の中に吸着水を含んでおり、この水分子が光量子効率を高めています。そのため、湿度の変動で吸着水が増減し、感度が微妙に変化するという特性がありました。 この湿度依存性を改善するために、水分子の代わりに有機分子を組み込んだCGM分子構造を設計し、湿度が感度に影響しない新たなCGM材料を開発しました。


従来のCGMの分子構造


新CGMの分子構造


感度の湿度依存症

このCGMを電荷発生層に使用することで、環境の影響を受けず、従来以上に高感度で安定した感度特性の感光体が完成しました。

成果

  • 湿度に影響されない高い画像品質を実現

技術ポイント

ポイント1:有機合成化学

新しい機能や高い性能をあわせ持つ材料は、市販されていないばかりか世界で誰も作ったことが無い場合がほとんどです。このような新規材料を製品に使うには、目的の機能を持つ化合物を自社開発できることが強みとなります。
コニカミノルタは、1940年の国産初のカラー写真フィルムの発売以来、フィルムの感光材料や添加材料の研究開発を通して、有機合成を得意としてきました。有機合成には、様々な試薬の特性や扱い方といった基礎化学、危険物取り扱いの知識や、合成反応に関する知識とノウハウが必要です。 そればかりではなく、目的の「新規化合物」だけを分離するクロマトグラフィー などの分離分析技術や、最終的に出来たものが確かに目的の「新規化合物」であるのかを確認するためのNMR、IR、UV、X線結晶構造解析などの構造解析技術なども必要です。
さらに、「新規化合物」を製品に搭載するためには工場レベルで大量に合成する必要があり、実験室レベルからスケールアップした合成反応を収率良く行うためには、生産技術の研究も欠かせません。

ポイント2:均一な分散・塗布技術

高い画像品質を実現するためには、CGMを感光体ドラム上に均一に塗布する必要があります。いくら高性能のCGMでも塗りムラがあっては、画像にムラを生じてしまうからです。
そのためには、塗布液内でCGMをサブミクロンレベルで均一に分散させることと、塗布液をドラム表面に同じ厚さで塗布する生産技術が重要です。コニカミノルタの感光体ドラムは生産子会社によって自社生産されており、高い生産技術でこれらをコントロールしています。

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