ひかり豆辞典

調光・調色できる光源計測について

近年、LEDを用いたシーリングライトなど、光量や色調を調整できる照明光源が増えてきました。
これらの照明光源ではPWM(Pulse Width Modulation,パルス幅変調)制御を採用されることがあります。PWM制御は正確な調光・調色を実現することができ、光量を調整しても色見が変化しないなどの利点があります。
一方、PWM制御された光(以下、PWM光)は高い周波数で点滅を繰り返しており、このためPWM光の照度を測定する場合には注意を要します。ここでは、PWM光の照度を正しく測定するための注意点についてご説明していきます。

市販されているLED照明光源の特性

次図は、LEDランプを光源とする市販の照明光源の発光波形の実測例を示しています。
図が示すように、LED光源は高い周波数で変動を繰り返していることが判ります。この実測例では変動周期は1000Hzでした。
目には感じられない高い周波数で光量が変動していることは、蛍光灯など従来光源にも見られることですが、LED光源の発光波形は点灯状態と消灯状態を繰り返していて光量変動がとても大きいこと、更には消灯期間が長いという点で特徴的といえます。

消灯レベル

照度測定における誤差の発生例

前述のようなPWM光を照度計で測定すると、測定誤差が生じる場合があることが判りました。
ここでは、PWM光測定実験の結果をもとに、発生する誤差についてご説明します。

調光_調色できる光源の計測

右図のように、光源からの距離を変えながら照度を測定する実験を行いました。
この場合、光源に近づくほど明るくなり、照度値が大きくなることが期待されます。
実験では、2種類の照度計(T-10、T-10A)を用いて測定をしました。


実験結果を示したものが以下のグラフになります。

消灯レベル

【測定光源】  PWM調光を採用したLED照明光源
【試験照度計】 弊社照度計T-10、及びT-10A

1000(lx)以上の測定結果に注目すると、照度計T-10が正しい値よりも小さな測定結果を示したことが判ります。
一方、T-10Aは正しい測定結果を示していることが判ります。

誤差の出方はPWM光の波形(周波数やDuty比)、光の強さ、光源と照度計の距離、また照度計の回路特性などに依存します。上記グラフに提示する結果は、実施した実験による誤差の一例であり、測定条件によって発生する照度値は異なります。

正しい測定を行うには

PWM光の照度を正確に測定するためには、T-10Aを用いる必要があります。

従来型の照度計T-10は、発光量が変動しない定常光、あるいは変動光であっても変動量がPWM光のように大きくない照明光の測定に適した測定器です。このため大きく点滅を繰り返すPWM光を測定した場合、特定条件において指示値が小さくなってしまう誤差を生じます。
2012年に発売しましたT-10Aは、PWM制御により点滅している光を受光しても正しい動作をするよう、設計を改良しました。T-10Aを用いれば、安心してPWM光を測定することが可能です。

照明光源の測定用途に向けた汎用的な照度計は数多く市販されています。上記実験結果には、T-10とT-10Aの結果のみを提示していますが、市販されている他の照度計においても同様の誤差が生じる場合があることが確認されました。LEDという新しい照明光源の採用が増えてきた現在、PWM光測定に対応した照度計を用いる必要性が高まっています。

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