テレワーク実施事例紹介と成功させるためのポイントの解説

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テレワーク実施事例紹介と成功させるためのポイントの解説

働き方改革や東京オリンピック・パラリンピックとの関連で、以前から推奨されていたテレワーク。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、テレワークへの取り組みを余儀なくされる企業が多く見られます。その一方で、テレワークの実施に遅れが出る企業や、開始してはみたものの、順調に進んでいないという企業の声も聞こえます。
企業運営において確実な効果を上げるためには、テレワークをどのように考えていけば良いのでしょうか。テレワークの概要からメリット、導入事例を見ながら、成功させるためのポイントを解説します。

INDEX

テレワークの概要

最初に、テレワークのことばの意味と、国内の現状について理解しておきましょう。

tele プラス work

日本テレワーク協会によると、テレワークとは「tele=離れた所」と「work=働く」をあわせた造語です。

よく似たことばに、リモートワークがあります。どちらも、一般的にはほぼ同じ意味で使用されていますが、基本的に社内で働き、たまに社外でも働くスタイルをテレワーク、完全に社外で働くスタイルをリモートワークと使い分ける場合もあります。総務省では、テレワークについて「ICTを利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義しています。

企業型と自営型

一般的にテレワークという場合には、従業員がインターネット環境を通じて自社のデータにアクセスし、業務に従事する働き方を指します。

企業に属する社員が会社以外の場所でテレワークとして業務にあたる企業型のほかに、業務の効率化やコスト削減のためにクラウドソーシングを介して業務を発注し、それを請け負う自営型をテレワークに含めることもあります。

テレワーク実施の現状

ここ数年間、国ではテレワークを推奨してきており、新型コロナウイルス感染症の拡大は、様子見していた多くの企業がテレワーク実施に乗り出すきっかけとなりました。

株式会社パーソル総合研究所が実施した正社員のテレワーク状況調査では、3月上旬の実施率が13.2%だったのが4月中旬時点では27.9%に上昇しています。東京圏に限ると、5月時点で41.1%と高い数値に達しました。

緊急事態宣言が出された直後は特に首都圏を中心に実施率が高まりましたが、緊急事態宣言解除後にはやや低下も見られます。その背景には、突然の新型コロナウイルス拡大により、十分な準備をする間もなくテレワーク実施を余儀なくされた企業が多かったことが伺われます。

今後の企業運営を考えた際に、どのような事態にあっても柔軟に対応するには、引き続きテレワークが必要であるという意見が大きくなっています。また、テレワークを実際に行ってみて、これまでとは違う企業のあり方に、可能性を見出した企業も少なくないようです。

テレワークが注目される背景

テレワークが注目される背景

テレワークが注目される背景について、さらに詳しく見ていきましょう。

多様性を求めた働き方改革の推進

テレワークは時間と場所を選ばずに仕事ができる働き方のため、限られた人的資源の有効活用が可能です。通勤時間の軽減により、ワークライフバランスが実現できるでしょう。フルタイムで働くことが難しい状況にある人材に対しても、雇用および就業機会の提供へとつなげることができます。

企業運営存続への危機

現在の企業運営は、かつてないほどのリスクを抱えています。労働人口の減少による人材不足は社会的問題となり、人材流出による人手不足は企業運営にかかわる深刻な課題です。また、近年頻発する自然災害やサイバーテロなどの不測の事態が生じても企業運営を存続させるためには、BCP(事業継続計画)の立案が欠かせません。さらに、生産性向上のために業務効率化が重視されるなか、従来の運営方法では改善が難しい場合があります。テレワークは、企業の抱えるこうしたリスクへの対策のカギになることが期待されているのです。

IT環境の整備・技術の進歩

テレワークがこれまで以上に注目される背景にあるのが、ITインフラの普及です。

総務省では、2019年9月末の調査でインターネット利用者の割合は9割に迫ると発表しています。高速固定通信利用世帯は2018年9月の時点で約7割とのことです。

自宅やそのほかの社外のスペースで、業務を円滑に進められる環境が整ってきたことが、テレワークを強力に後押ししています。また、通信網の発達とともに、オンライン会議システムが進化しており、遠隔地間の意思疎通への違和感が軽減されたことも、テレワーク導入のハードルを下げる要素となっています。

テレワークの効果とメリット

テレワークの効果とメリット

テレワーク導入は企業にとって、具体的にはどのような効果をもたらすのか、メリットを見ていきましょう。

生産性の向上

テレワークでは、無駄な打ち合わせも、作業を中断させるような要素も少ないため、業務への集中力が確保されます。また、疲労の原因となる通勤がなくなり、心身ともに良好な状態を保ちやすくなることでしょう。これらの条件の相乗効果により、生産性の向上が期待できます。

安定的な人材確保

従来の雇用条件下ではライフステージの変化によって、働き続けることができなくなる従業員もいます。テレワーク導入後は、介護や子育てによって離職しなければならない従業員が減り、安定的な長期雇用が実現される可能性が高まります。また、プライベートを充実させたいという従業員側の意志を尊重できることも、離職抑止へ効果的に働くでしょう。さらに、遠隔地まで雇用の可能性が拡大するため、多様な人的資源の活用による恒常的な人材確保が実現するでしょう。

コスト削減

インターネットを介してデータを共有することでペーパーレス化が促進し、用紙やインクを含む印刷コストの削減につながります。そのほか、通勤費やオフィス費用の削減が期待でき、企業の経費についての見直しの機会が得られます。

持続可能な事業運営

一極集中型の企業運営から、テレワークによる分散型へと移行できれば、災害やパンデミックへの対応が今とは異なるかたちで展開できるようになります。重要データのクラウド化は、企業の持続性という観点から危機管理の一手段ととらえられるようになるでしょう。

導入への課題はありますが、総務省が2018年に公表した調査結果では、実際にテレワークを導入した企業の約8割が「非常に効果があった」「効果があった」と回答しています。テレワークの導入を検討する価値は十分にあると考えられるでしょう。

テレワーク実施事例

テレワーク実施事例

テレワークを実際に導入し、一定の成果を確認した企業の事例を紹介します。

大手住宅メーカー

育児や介護などのため通勤が困難な従業員を対象に、テレワークを開始しました。実施にあたっては、業務の生産性向上やワークライフバランスの実現を要件とし、かたちばかりのものとならないように取り組んでいます。在宅勤務、スマートデバイスを活用したモバイル勤務、サテライトオフィス勤務など数種類のスタイルがあり、あわせてWeb会議システムの活用も実施しました。

テレワーク施策の導入後には、働きやすさや身体的・精神的負担軽減を実感できたと回答した従業員が、7割以上となっています。

損害保険会社

事業内容からはテレワークは難しいと思われていますが、企画系、監査部門、システム部門といった実施可能な部門から導入をはじめました。実施にあたっては、書類の取り扱いに関するルールを徹底し、従来の業務の質を損ねないことが重視されています。

導入後、テレワークと情報保全重視の独自のイントラネットとの親和性における課題が浮きぼりになりました。現在、工夫と効果検証を重ねながら現実的な解決を模索しています。

化粧品・医薬部外品製造販売

育児、介護をする従業員の増加や通勤負担の回避など、将来的な要因を見すえ、テレワーク導入に取り組んでいます。本格導入に先立ち、モデル実証事業で予備的な検証を実施しています。各部門の従業員数名によるトライアルです。

検証を通じて、使用ツールの周知や正確なコミュニケーションに留意することで、業務効率を低下させないことが確認されました。良好な結果を受け、本格導入に向けた全体的な取り組みに着手しています。

コニカミノルタジャパンでの事例

コニカミノルタジャパンでは、オフィス移転を機に、働き方について現状調査と現場の声を集めながら働き方改革を開始しました。テレワークはその取り組みの一つとして実施しています。運用に先立ち、2014年よりICTインフラ整備やフレックス制度、保管文書ゼロ化など社内環境を整備。2017年より全社でテレワークの運用を開始しました。

2019年に関東地方に多大な被害を与えた台風15号・19号の際も、従業員それぞれが状況を判断しテレワークを活用して、つつがなく業務を継続しました。2020年3月から現在にいたるまで、新型コロナウイルス感染症対策として、全社的にテレワークを推奨しています。

この新型コロナ影響による長期のテレワークで、コニカミノルタジャパンの社員は普段通り仕事ができているのか、業務の効率や組織マネジメントの不安など、テレワークの気になる実情を大調査し資料にまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

テレワークを成功に導くポイント

テレワークを成功に導くポイント

テレワーク導入を成功させるために、留意したいポイントを確認しておきましょう。

テレワークへの社内意識の統一

緊急事態宣言後にテレワークを取りやめてしまった多くの企業では、管理側の意識が課題となります。テレワークが通常業務としてではなく、福利厚生的な扱いとなってしまっている企業もあります。テレワークは恒常的な働き方のひとつであり、企業運営にさまざまなかたちで寄与するものであるといった意識づくりが必要です。

テレワーク可能な業務の見極め

部署・業務によってはテレワークが不可能であったり、導入によって弊害が生じたりする場合もあります。どこからはじめられるのか、どのような効果が得られるのかを見極めることが重要です。

テレワークのためのインフラ整備

社内と同様の環境で業務を進めるためには、ある程度のインフラ整備が必要です。通信インフラ、セキュリティー体制、ペーパーレス化、コミュニケーションシステム、さらに従業員のタスク管理といった、テレワーク推進に向けた念入りな準備が成功のカギとなります。

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自社の課題を把握する

業種や事業内容によって、テレワークに向き合うための課題は異なります。「業務の切り分けが不明確」「顧客対応部門をどうするか」など、自社の課題をしっかりと把握する必要があります。自社の悩みや課題を早期解決するためには、外部サービスを活用する方法もあります。

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自社の未来を見通したテレワーク導入策を検討しよう

事前に十分な準備をしないままでテレワークを導入しても、継続するのは難しいでしょう。今後につながるテレワークを実施するためには、自社の事業と業務状況について確実に把握しておくことが求められます。成功事例のように、短期的・長期的な視野をもち、段階ごとの検証をふまえながら進めていく方法もあります。

テレワークのあり方は一律ではありません。まずは自社に合う方針を探し出すことが大切です。

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いいじかん設計 編集部

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