時代が変われば、求められるITエンジニアの能力も変わる

2022.3.25

コニカミノルタ情報システムには、人財育成施策の中に「T型/Π(パイ)型の人財育成」の方針があります。一つの領域の技術力や業務知識力に長けている(I型イメージ)だけでなく、その領域の周辺についても知識を持って幅広く仕事ができる(T型イメージ)、また、一つの領域を極めつつ、他の領域についても極め、多くの場面でさらに幅広く仕事ができる(Π型イメージ)人財を増やしていくことを目的としています。

今回は、コニカミノルタ情報システムの前身の会社の時から新卒入社で勤め上げてきた システム開発・サービス本部 長(インタビュー当時はビジネスIT推進本部長)である山本のインタビューを通じて、今の時代に求められるITエンジニア像を考えていきます。ぜひご覧ください。

(Interviewer&Writer:Keisuke Dojo)

システム開発・サービス本部  本部長
山本 勝巳(Katsumi Yamamoto)

コニカミノルタ情報システムの前身の会社に新卒で入社。システム開発・保守、インフラ構築・運用など複数の部門を経験し、幅広い技術を積む。その後、エンジニアからマネジメントにも携わり、2021年4月より、コニカミノルタのITビジネスを支援する「ビジネスIT推進本部」を統括(インタビュー当時)。2022年6月より、コニカミノルタグループへR&DソリューションやSAPシステム、クラウド、ITインフラ等の企画・構築から運⽤・保守までを提供している「システム開発・サービス本部」の本部長に就任。

目まぐるしく変化する外部環境に、ITエンジニアも柔軟に対応していくことが求められる時代

– 新型コロナウイルスによって外部環境が大きく変化したことで、ITエンジニアを取り巻く働き方や価値提供のあり方も変わってきたように感じます。ITエンジニアに求められるものは、どのように変化しているとお考えでしょうか?

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、私たちの生活は大きく変化しました。しかし、誰も疑問を持つことがなかった前提や当たり前だったことに目を向けるという意味では、良いきっかけになったのではないでしょうか。

例えば、以前はそもそも「リモートで働くってどうなの?」というのが大勢の方のイメージだったと思いますし、ITエンジニアもオンサイト前提でITの取組みを考えていたと思います。それが、世界的にもリモートワークが推進され、クラウドなどの新しい技術を活用して、自宅や外出先などどこからでも普段通りに仕事ができるようにするにはどうすれば良いかを考えなければならなくなりました。

これは大きな発想の変化であり、求められるITスキルもこれまでと違ってくるところもあります。世の中に普及してきた利便性の高いツールや仕組みを活用して、いかに効率良く仕事ができるか。世の中の変化に合わせて、臨機応変にIT技術をコーディネートしていく。私たちITエンジニアには、そのような変化に対応できる”柔軟性”が必要になってきたと思います。

そのため、ITエンジニアとして一つの領域のIT技術を追求していくことも必要ですが、幅広い知識・技術を身に着けていくことも必要になってきています。


ITエンジニアとしての”こだわり”は、ユーザーのために

– なるほど。時代やユーザーの要請に合わせて、自らのあり方も変化させていかないといけませんね。とは言え、変わることや変えることには勇気も必要だと思います。どういった心構えが大切でしょうか?

そうですね。ITエンジニアとして、自身の”こだわり”を持つことは良いことだと思います。むしろ、持っていて欲しいことです。ですが、そのこだわりの使い方が大切です。自分の守備範囲を守り、ここだけしかやりたくないということではなく、こだわれる能力があるんだからその使い方を変えていけばいいだけなんですよね。

経験は活かすものであり、とらわれるものにしてはもったいない。世の中の変化、ITの進化など、時代の流れを把握していくことですね。そういう流れが分かっていると、自分の過去の経験にとらわれるのではなく、その時代に合わせて自身を変化させていくというような柔軟性を持てるはずです。

変化に追従していけると、ITエンジニアとしても時代に取り残されないはずです。もしかしたら、「自分が持っているスキルが明日には陳腐化するかもしれない」「私たち自身も常にアップデートしていかないと、時代に求められるものが提供できずに無価値になるかもしれない」くらいの危機感を持っていた方が良いのかもしれませんね。

– 経験の活かし方が大切だと言うことですね。

そうですね。加えて、向き合う方向を意識することも大切です。独りよがりになるのではなく、ユーザーに向き合うことです。自分にとってどうなのかも大切ですが、それよりも、ユーザーに向き合い、ITという手段を使っていかにして価値を提供できるか、抱えている課題をどうすれば解決できるかという考え方に変えていかないといけません。

一昔前であれば、IT技術を使うのが目的となった提案もあったのですが、今はもっとユーザーに寄り添った提案に変えていかないといけません。そのためにも、ユーザーの業務についても理解し、ユーザーが気づいていない課題解決も含めた提案を考えていくことが必要となります。ITはあくまで手段であり、目的ではありません。私たちITエンジニアが、こだわりを持って目を向けるものは、ユーザーが本当に何をしたいのかという目的であるべきです。

そういった寄り添った提案ができれば、ユーザーは本当に喜んでくれるわけですから、私たちのやりがいも大きくなります。やりがいが大きくなれば、もっとユーザーに喜んでもらうために私たちも成長することができますよね。理想的な循環です。


若手のうちは、広く浅くでも幅広い分野に触れることでITエンジニアとしてのキャリアが開けてくる

– 20代など、若手のうちに心掛けておくことはありますか?

特に20代の若手のうちは、いろんなことを吸収できる時です。私自身も20代の時には、業務システムの開発から始まり、サーバーやネットワークなどのインフラ領域と、本当にいろんなことを経験してきました。その当時は、ただ目の前のことを対応していくだけだったかもしれませんが、今振り返ると、その時にやってきたことが活きていると実感することがあります。

ですので、若手のうちは選り好みせずにいろんな分野に触れたほうが、後々にも生きてくるのではないかと考えています。いろいろな経験をする中で自身が面白いと思えるもの、追求したいと思えるものが出てくると思うので、その時に自身の進むべき道を決めれば良いと思いますね。

ひとつの領域を極めている人財を「I型人財」と呼びますが、いろんな領域を幅広く知識を得ることで、強みを発揮できる線も1本だけではなく、2本、3本と増えてくるはずです。それがコニカミノルタ情報システムの人財育成施策の中でも大切にしている「T型/Π(パイ)型の人財育成」ということなんですね。今は1本が細い線でも、より理解を深めていけば太い線となり、幅広い知識を身に着ければ2本、3本と線が増えていくこととなり、ITエンジニアとしても市場価値が高まるはずです。

– 自分の強みがわからないうちに絞り込むのではなく、実際に経験して強みを発揮できるものを追求していくということですね。私も同じ考えを持っています。ITエンジニアとしてのスキルを語る時、技術面だけではなく人間性も問われることが多いですが、山本さんはどのようにお考えでしょうか?

IT技術や業務を学び、習得していくことも大切なことです。ただし、その習得したことを仕事で活用していく時には、人間性も大切な要素になってきますね。コニカミノルタ情報システムの仕事もそうですが、仕事は一人で完結するものはほとんどありません。

ユーザー、自社メンバー、外部ベンダーなど、誰かと必ず一緒に仕事をするわけであって、相手を理解しようとしない、会話が成立しないということでは、せっかく身に付けたスキルも上手く活かすことができませんよね。そういった意味でも、コミュニケーションスキルは大切です。

コニカミノルタ情報システムの仕事も、ますますユーザーと向き合うことが重要になっており、当然のようにコミュニケーション能力が求められています。また、ユーザーの抱えている課題に加えユーザーも気づいていない課題を見い出し、その課題解決に向けた解決策を考え提案できる能力も求められていますが、ユーザーのために役に立ちたいとか、何とかしてあげたいとか、強い想い・気持ちを持つことも大切だと思っています。


ITエンジニア一人ひとりのキャリアに合わせた成長機会を提供したい

– ITエンジニアとして成長する上で、コニカミノルタ情報システムの仕事・環境はどのようにお感じですか?

コニカミノルタ情報システムの担当領域は、システム開発、ITインフラ、コミュニケーションツールなど幅広く、またそれぞれが上流〜下流までの全体の仕事に関わられるので、幅広くキャリアを積んでいける環境がそろっていると言えます。

ある領域の専門SIerの場合ですと、一つの領域のスペシャリストになるのがキャリアの目標であり、他の領域に進むには転職しなければ実現しないと耳にすることも多いのですが、コニカミノルタ情報システムでは、最初は下流工程から学び、上流工程にステップアップしていく。もしくは、システム開発の仕事を身につけ、次のステップとしてITインフラの仕事を身につけることが一つの会社の中で可能です。一人ひとりのITエンジニアが、自分の目指したい姿に向けたキャリアプランを形成できる選択肢が多いのは、いろんなことにチャレンジしたい人にとっては良い環境ではないかと考えています。

また、コニカミノルタグループ全体としても、新しいIT技術を積極的に採用していくことが多く、新たに習得したIT技術を学ぶだけでなく、実践としてチャレンジできる可能性もありますので、やりがいも感じやすいのではないでしょうか。

– ありがとうございます。最後に一言、お願いします。

IT技術の発展は非常に速く、新たなIT技術が次々と生まれ移り変わっています。ITインフラの世界も、物理環境から仮想環境、そしてクラウドという目に見えていたものから見えないものに変化し、その見えない世界でもまた、新たな技術が生まれている変化の激しい時代です。

ITエンジニアとしては、発展していくIT技術の追従とともに、時代の変化とともに会社が求めること、そしてユーザーが求めること、その中での困り事から、ユーザー自身も気がついていない課題をも見い出し、身につけた技術力・スキルを存分に活かし、ユーザーが求める以上の解決策を提案できる能力が求められるようになっています。

そのような時代だからこそ、私たちコニカミノルタ情報システムのありたい姿として、【「ITの専門性と幅広い知識」を有した社員同士が「高いチーム力」を発揮し、コニカミノルタグループの課題解決にチャレンジし成長し続けている】と掲げています。

社員一人ひとりが自立/自律し、会社の方向性、役割、施策の目的を理解し、チャレンジと自己成長・相互理解を意識して行動する、社内外の関係部署とIT技術と業務知識を持ってコラボレーションしながら課題形成/解決にあたるなど、個々人のそれらの取組みが結集することにより、高いチーム力、組織の成長にもつながっていくと思っています。