• 2024.01.09(2024.04.09 更新)

    「IT導入補助金」で投資対効果を最大化!
    採択されるために必要なポイントを担当者が解説

    「IT導入補助金」で投資対効果を最大化!採択されるために必要なポイントを担当者が解説のキービジュアル
    「IT導入補助金」とは、対象となる中小企業・小規模事業者が業務効率化・DXを目的に導入したITの投資費用の一部を支援する公的な制度です。コニカミノルタジャパンは、提携する全国各地の販売店とともに、IT導入支援事業者(コンソーシアム)としてお客様をサポートしてきました。
    「どんな企業がどんなIT導入で申請しているの?」、「申請って難しそうだけど、具体的な手順は?」などなど、日頃多くのお客様からいただく疑問を解決すべく、コニカミノルタジャパンの担当者にインタビューしました!

INDEX

「IT導入補助金」とは?

――今回はDXソリューション事業部 ITS事業推進統括部 ITサービス管理部 佐藤達夫さんと高瀬博史さんにお話を伺います。まずは自己紹介と、現在の業務内容について教えてください。

佐藤さん「私は1990年に入社し、約15年間営業職を経験しました。その後、商品企画部門などを経て現在はDXソリューション事業部に所属し、お客様の生産性向上や経営革新のための補助金関連の営業支援と社内マーケティングを担当しております。」

高瀬さん「私は2009年に新卒で入社しました。首都圏の大手企業向け営業職からキャリアをスタートし、その後は神奈川県の中小企業向け営業職、首都圏の小規模事業者向けのインサイドセールスを経て、佐藤さんと同じく現業務に従事しています。IT導入補助金に関しては2017年の制度開始時から今まで、専任担当者として携わっています。」

コニカミノルタジャパン 佐藤さん、高瀬さん
写真左から佐藤達夫さん、高瀬博史さん

――お二人とも営業職を経験されているんですね。IT導入補助金の制度開始時から担当ということは色々なお話を伺えそうで頼もしいです。まずは簡単にIT導入補助金について教えてください。

佐藤さん「IT導入補助金は、経済産業省 中小企業庁が管轄している補助金制度です。中小企業・小規模事業者等の業務効率化や収益力向上などの経営課題を解決するような IT導入を支援する補助金です。」

高瀬さん「IT導入補助金にはいくつかの申請形態があり、主なものは通常枠とインボイス枠の2種類になりますが、いずれもIT導入予定の企業が単独で申請することはできません。事務局に登録された『IT導入支援事業者』とパートナーシップを組んで申請する必要があります。」

――そうすると、中小企業や小規模事業者の方々は、どのIT導入支援事業者とパートナーを組むかを考えなくてはいけないのですね。

高瀬さん「そうです。普段お付き合いのある事業者から IT関連商品を購入している場合、その取引で IT導入補助金を適用できるとは限らないので注意が必要です。また、導入するソフトウェアやサービスも、『ITツール』として事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものに限られます。

――IT導入支援事業者側にも色々な手続きや制約があるために、お二人のような専任の担当者が必要なのですね。

ITにまつわる企業の悩みとは?各種業界に立ちはだかる壁

――これまで様々な中小企業の方にお話を伺うなかで、どのようなことを感じていますか?

佐藤さん「そうですね。多くの企業経営者様が積極的な IT活用に興味は持ちつつも、予算を捻出できないというお悩みをお持ちだということです。」

――中小企業を対象にして2021年に行われた「中小企業の IT導入・活用状況に関する調査 [2021年1月調査](商工中金)」では、約6割の企業で IT活用が進んでいるようですが、残り4割の企業の話でしょうか。

高瀬さん「そうとは限りません。一般に IT活用は、光回線、パソコン、タブレット等の基礎的な ITの導入だけの場合も含まれるようです。令和3年度に総務省がまとめた『我が国におけるデジタル化の取組状況』によると、中小企業の約7割はDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでおらず、今後も予定無しということでした。」

我が国におけるデジタル化の取組状況のグラフ

――なるほど。DXは IT導入とはまた別なのですね。具体的にどう違うのでしょうか?

佐藤さん「DXの定義を分かりやすくいうと、ITを活用して自社内の業務を抜本的に変え、お客様に提供するサービスの量や質、様態を大きく変えて進化することです。上記の7割の企業というのは、IT未導入もしくは ITを導入しても業務内容や商品・サービスの提供内容が以前とあまり変わっていないということになります。」

高瀬さん「自社業務やビジネスを変革させられる程の IT導入にはそれなりの投資が必要ですが、多くの企業ではその予算をなかなか確保できません。例えば回線使用料やPCの買い替え、ウイルス対策など、必要に迫られている “守りの IT” への予算割り振りだけでどうにかつないでいるという状況かと思われます。」

佐藤さん「ただ最近は、“攻めの IT” への投資についても必要に迫られている状況が多く見受けられるようになってきました。例えば2023年10月に開始されたインボイス制度は、適格請求書発行事業者の登録だけは済ませたものの、請求書の電子化などには未対応の事業者も多く、小売・卸売業では今後の確定申告等に膨大な事務作業が発生すると予想されます。
また、運輸業や建設業では、働き方改革関連法適合の猶予期間が2024年4月に終了し、労務時間管理は早急に対応が必要な課題となっています。介護についても2024年に法改正がありBCP対策が必須になりますので、それらの法対応のために業務を変えることが必達要件となり、その手段として ITの活用が不可避となっている状況です。」

――いまや中小企業や小規模事業者にとっても、本格的な ITの活用は必須になりつつあるという状況ですね。

解説!IT導入補助金活用のメリット

――そのような企業では IT導入補助金を活用していきたいと思うでしょうが、実際にどのくらい、資金援助をしてもらえるのでしょうか?

高瀬さん「はい。コニカミノルタジャパンで数多く支援しているのは「通常枠」と「インボイス枠」です。それぞれ、こちらの表のようになっています。」

通常枠とインボイス枠の表

――枠や機能要件によって、最大補助額、補助率や申請に必要な条件が違っていますね。ただ、ちょっとイメージするのが難しいです。

高瀬さん「これはあくまで補助金を交付する側から見たときの条件表です。IT導入されるお客様の予算の視点で整理すると、例えば累進性を持っているインボイス枠については、下記のグラフのようになります。」

「インボイス枠」お客様の実質負担額のイメージ図
インボイス枠 ITツール導入費に対するお客様の実質負担額

――これは分かりやすいです。例えば会計と受発注の2機能に対応したITツールの場合、500万円以上のものでも、実質負担は150万円ちょっとで済んでしまうということですね。

高瀬さん「はい。IT投資負担額については、『導入予定だったITへの出費が安く済む』というコスト削減の観点よりも、『限られた自社予算の中で導入できるITの選択肢が増える』と考えた方が良いでしょう。
例えば運輸事業者の場合、自社予算で導入できるのが会計・給与・就業ソフトまでだとします。それだけでもいくらか業務負担は減りますが、補助金の活用でそれらと連携する運輸業向けの運行管理システムを一緒に導入できれば、業務改善効果が上がり受注業務の効率化によって売上拡大を狙いやすくなります。」

――「同じ予算で解決できる課題範囲が広がる」というのは、コストを抑えるという観点とは全然違いますね。まさに投資対効果の最大化を狙う考え方です。

高瀬さん「そう考えると獲得する補助金額というのは補助金活用の “効果” のなかではほんの一部に過ぎません。これはどのお客様にも言えることです。むしろITを導入することでその後どれだけ自社に余裕が生まれ、事業活動をどれだけ改善して収益力を向上できるか、ということが真の効果であり、それを第一に考えていただきたいと思います。」

コニカミノルタジャパン 高瀬さん

――まさにデジタルトランスフォーメーションへの第一歩を踏み出すチャンスの獲得こそがメリットですね。

佐藤さん「またお客様からは、銀行からの資金調達がしやすくなったという話をお伺いします。公的な IT導入補助金が交付されるようなしっかりした事業計画ができているので、銀行が見ても有力な融資先となっています。事業計画作成の目的が補助金の獲得であったとしても、それが中長期にわたって自社にプラスの効果をもたらすものになり、デメリットはまるで無いというところがポイントではないでしょうか。」

高瀬さん「多くの中小企業は、改めて事業計画を描く過程で、何を強みにしてどこを伸ばしていくのかが明確になります。それは資金調達に限らず、社員やパートナー企業を集めるためも効果的です。」

――確かに、どこにも提出することが求められていなかったら、事業計画をなかなか自発的に立てられていない企業も多いと思います。

高瀬さん「いまは書面にまとまっていなくても、長く事業をされているお客様は事業計画を立てるための素材を多くお持ちです。それらをパズルのように嵌めていって、一枚の完成図にすることを目指します。『受注サイクルのスピードを上げる』『Webを活用して売上を伸ばす』など、成長のシナリオと数字との整合性も必要です。」

佐藤さん「お客様の課題はお話を伺うなかで明らかになりますし、一方でお客様の得意なことや狙いは成長シナリオを描くための素材となります。そしてこれまでの事業の実績を分析すれば合理的な事業計画を作ることができます。それを作成していく過程はさほど大変なことではありません。そうやって立案した事業計画が IT導入補助金の交付対象として認められたときは、お客様ご自身はもちろん、アドバイスさせていただいた我々も達成感を味わえる瞬間です。」

コニカミノルタジャパン 佐藤さん、高瀬さん

こんな経営課題に効果を発揮!IT導入補助金の活用事例

――先ほどのお話では、「補助金 HPに公開(登録)されている」ソフトウェアやサービスが対象とのことでしたが、どのような商品があるのでしょうか?

佐藤さん「コニカミノルタジャパンでは IT導入補助金のご提案に関する特設ページで様々な商品をご紹介しています。この商品のどれかをお売りしようということではありません。もし特定の商品ありきのアプローチだったとしたら、お客様にとってしっくりくるようなIT導入にはならないでしょう。
私たちはお客様がお持ちの課題に合わせて幅広く対応していますので、例え現時点で未登録の商品でも、お客様の課題解決にフィットして条件を満たすものであれば、随時追加登録(※)をしています。」
※未登録商品の登録申請には、事務局側での審査も含め一定の期間を要します。

――特定の商品をおすすめするのではなく、お客様の課題解決が第一ということですね。具体的にはどのような対応例がありますか?

高瀬さん「一例を挙げますと、広島県の自動車貨物輸送業のお客様で、①インボイス対応、②ドライバーの労働時間把握と働き方改革、③電子帳簿保存法対応、という3つの法改正に適応するために IT導入補助金の複数枠を併願申請したことがあります。
このお客様は、トラックの手配、運転手の手配、配送料の請求等を、全く連携のない別々のシステムで運用していたため、日々の業務ではそれぞれのシステム間のデータを手動で転記するという、膨大な事務作業が発生していました。さらに複数拠点からの売上集計はFAXに頼っていたとのことで、紙を見ながらパソコン画面に数字を打ち込むという、アナログな業務が行われていました。」

――まさに、ITを導入しているのに業務負担がほとんど減っていないという、もったいない状況の典型例ですね。

高瀬さん「単に業務負担が嵩んでいるだけではありませんでした。リアルタイムでの物流原価把握が困難なので、各案件をいくらで引き受けたら適正な利益が確保されているのかが見積もれなかったようです。
それに、勤怠管理・給与計算をEXCELファイルへの手入力で管理していたため、入力ミス・計算ミスが多く、またトラックドライバーの正確な勤務時間の把握も困難で、運輸業の2024年問題の対策が取られていなかった状況でした。
当時はインボイス未対応で、取引先各所から対応を迫られていたようで、まさにトリプルパンチを受けている状況でした。」

――ちょっとお伺いしただけでも悩みの範囲が幅広く、色々な業務にメスを入れないと解決しないように思いました。

高瀬さん「このお客様の場合、業務プロセス同士で共有すべきデータが共有できていませんでした。人が読み替えや移し替えを行っていることからくる『業務効率化』の課題、あるいは受注と課税、受注量と従業員の勤務時間の関係などの全体像が “見える化” できていないことによる『事業継続性』の課題と捉えました。
そこで会計・給与・就業ソフトを導入し、全業務のデータ連携を可能にしてバックオフィス業務の自動化・効率化を進めるとともに、応研のソフトと連動する運輸事業者専用の運行管理システムもセットで導入し、課題を一気に解決することを狙いました。これにより残業時間が削減され、投資の効果が出始めました。さらには業務にゆとりが生まれて、売上拡大にもつながっています。
ほかにも、いくつかの対応事例をまとめてみましたのでご覧ください。」

■福岡県福岡市の建設業

【事業内容】
福岡市で杭工事や山留工事を主とする建設会社
【課題】
会計業務や原価管理・工事監理をPC1台で行っており、属人化している。また顧問税理士との定期打ち合わせのために外出先から帰社しなければならず、移動時間の削減が課題であった。
【解決策】
建設業専用の会計ソフトを導入することで特定の従業員に依存しない業務の遂行と、外出先や自宅からでも原価管理や工事監理を実現させ、従業員の働き方改革の促進と売上・利益の確保を目指す。
【導入商品】
建設業向け専用アプリケーション

■東京都中央区の社会保険労務士

【事業内容】
人事労務に関するアドバイスやコンサルティング、社会保険の手続きや給与計算の代行
【課題】
毎月末にクライアントや取引先に発送する請求書を全て手作業しており工数を取られ、本業の社会保険労務士の業務に影響が出ている。また、個人情報を含むデータを頻繁にやりとりするため、個人情報保護・情報セキュリティーの事故防止の観点からも不安が残っていた。
【解決策】
オンラインコミュニケーションツールを活用することで、高度なセキュリティーが施された環境下で個人情報のやり取りを可能にする。業務効率化とクライアントや取引先からの信頼度向上の両立を目指す。
【導入商品】
① 請求書発行自動代行サービス
② オンラインコミュニケーションツール(クラウドサービス+ソフトウェア)

■奈良県宇陀市の社会福祉法人

【事業内容】
奈良県宇陀市にて特別養護老人施設など複数の福祉施設を運営
【課題】
日々、施設入居者・利用者の介護記録を紙で記録しているため、メモした内容をPCに打ち直すという二度手間が発生している。また、聞き間違いや見間違い、入力ミスなどのITスキルのばらつきもあり、残業時間の増加が課題となっていた。
【解決策】
タブレットを複数台導入することで介護システムを IT化し、記録を事務室のPCに戻らずその場で入力可能にした。外出先や訪問先でも利用可能な環境を構築することで、残業時間の削減と介護記録の正確性を両立。事務作業を大幅に短縮することで利用者への対応時間が増え、顧客満足度の向上を図る。
【導入商品】
介護業種向け専用アプリケーション

――色々な事例がありますね。いずれもただ「便利だから」ということではなく、特定の経営課題を解決して自社が成長していく事業展望に沿った IT導入が必須要件なのですね。

高瀬さん「対象の IT導入についてはリースではなく現金購入ということも必要条件になります。また、ITなら何でも通るのではなく、対象とする7種の業務プロセスに当てはめて審査が行われ、1種または4種の業務プロセスの改善が合理的に説明できない場合は対象になりません。詳しくは先ほどご紹介した特設ページを併せてご覧ください。」

ここまでの話をまとめると、IT導入補助金の申請には以下の条件が必要なようです。

  • ・解決すべき経営課題と、それを解決したときの改善効果の大きさを説明できること
  • ・申請対象の IT導入がその解決手段であることが、規定に従って説明できること
  • ・(ソフトウェアや装置は)レンタルやリースではなく現金購入であること

申請のために必要な手続きとは?確認しておきたい5つのステップ

――IT導入補助金が幅広い課題解決に適用できることは分かりましたが、色々と分かりにくい煩雑な手続きがあって大変なのではないでしょうか?

佐藤さん「そんなことはありません。ここに示すように、必要な手順は今からご説明する通り、とても明確です。時間軸としては、検討開始から申請までに2か月ほど見ていただければと思います。審査期間は各申請枠の締切日から1か月程となっています。」

検討開始からの審査期間イメージ

1. GビズID(gBizIDプライム)の取得
佐藤さん「GビズIDというのは、法人・個人事業主向けの共通認証システムです。申請には紙の申請用紙へ実印を捺印し、印鑑証明書と共に郵送することが必要で、最短1週間で IDが発行されます。これを取得すると、その後は様々な行政サービスのWeb手続きや申請が可能になります。」

2. Webでの必要事項への対応
佐藤さん「具体的には、『SECURITY ACTION』の自己宣言と、『みらデジ経営チェック』の2つです。前者は、事業に ITを積極活用する上で必要なセキュリティー対策のアクションを特定し、それを実行することについて、社外に向けて宣言するものです。後者は、アンケート形式の質問に回答していくことで自社の経営課題がどのようなものかを診断します。今回の IT導入補助金の活用に関わる経営課題の特定とも深く関係しています。」

3. 事業計画の立案(通常枠の場合)
佐藤さん「みらデジ経営チェックで特定された課題も参考にしつつ、いま困っていること、先ほど紹介した運輸業の事例でいえば、システムが連携していないことが問題点でした。その問題によって現在どのような不利益があり、解決した理想的な業務環境下では、事業をどのように成長させていこうと考えているか、数字で書き表す必要があります。事業計画は5年後まで時系列で立てます。」

4. 必要なフォームを記入
佐藤さん「コニカミノルタジャパンが IT導入支援事業者として、『申請マイページ』の招待をお送りします。このページのログインにはGビズIDが必要です。お客様には交付申請に必要となる情報入力や書類添付を行っていただくことになります。導入する ITツール情報と事業計画値はここで入力します。」

5. 申請~補助金交付
佐藤さん「最終確認後、申請に対する宣誓を行い、事務局へ提出します。審査後、事務局から『交付決定』を受けた時点で ITツールの発注が可能になります。その後、発注・契約、納品、支払い等の証憑を『事業実績報告』として提出すると、補助金が交付されます。導入後も一定期間内に『事業実施効果報告』の提出が必要ですが、一連の流れは我々がサポートしますのでご安心ください。」

コニカミノルタジャパン 佐藤さん

――解説ありがとうございます。手続きに必要な事柄が流れに沿って明確になりました。ところで IT導入補助金には申請期限があると思いますが、いつ申請できるのでしょうか?

高瀬さん「申請期限は定期的に設けられ、通常枠は毎月末、インボイス枠は月の中旬と月末に申請期限が設定されます。締め切り日が近付くとその次の申請枠が新たに公開されるので、落ち着いて先ほどご紹介した手順で進めていただければと思います。」

意外な落とし穴?採択率を上げるポイントとは

――ところで、そうはいっても全ての申請が通る訳ではないのですよね。不採択となるケースは、どのような状況なのでしょうか?

高瀬さん「そうですね。例えば申請の過程で、採択されにくい回答と採択されやすい回答のポイントが掴めてきました。私は IT導入補助金発足当初から7年間担当していて採択率は年々上がってきており、今では80~90%を保っています。事務局に適正な交付対象であると認定され採択される申請の仕方というのは、Webで調べてもなかなか情報は取れません。私たちもかつてはウェビナーを聴講し、あるいはお客様とともに悩み場数を踏んで、徐々にノウハウとスキルを獲得してきました。」

――なるほど。そうなると、簡単には公開できないノウハウというわけですね。コラムをお読みの方に何か少しだけでもアドバイスは無いでしょうか。

高瀬さん「不採択のケースについて今ご紹介できることと言えば…意外に思われるかも知れませんが、お客様ご自身が企業情報を正確に把握しておらず、取り寄せた謄本と申請書の企業情報が異なっていてNGというケースも何件か経験したことがあります。」

佐藤さん「そうですね。自社の創業年とか、資本金などの情報はいま一度ご確認いただいてから申請いただくことをおすすめします。」

まとめ

ここまでのお二人の話をまとめると、以下となります。

  • ・申請に必要な作業は煩雑ではなく、1つずつ順番に対応していきましょう。まずはgBizIDプライムの取得申請から
  • ・申請に必要な事業計画の作成は補助金獲得だけではなく、銀行からの融資を受けやすくなるなど中長期に亘って様々なメリットがある
  • ・IT導入補助金の趣旨を理解し、計画的で着実な対応が大切。特に自社情報はよく確認してから申請を

――最後にお二人から、読者の皆さまにメッセージをお願いします。

高瀬さん「ITの知識に明るくない企業にとっては、補助金対象商品のなかで自社にとってベストなのはどれなのか、どこの支援事業者に頼むべきかで迷っておられると思いますが、そもそも事業計画がクリアに描かれていない企業では明確に取り組むべき中長期課題も特定できていないことがあります。解決手段の選定の前に、第三者が見ても明確なくらい課題の特定ができているかどうか、見直していただくことが先決です。
もちろん、特定の IT商品についての補助金活用のフェーズもご相談をお受けします。しかしまずは自社でどのような成長シナリオが適切なのかをご検討いただき、その過程で我々がご支援する機会があり得るのでしたら、かなり早い段階からでもお声をかけていただければと思います。」

佐藤さん「私たちはリモートでのお打ち合わせも対応していますので、日本全国どこのお客様でもお話をお伺いします。例えば全国各地の営業所に在籍する営業員との商談に同席することもありますし、直接お客様と1対1でご相談をお受けすることもあります。『本当に気軽に相談できた!』『相談して良かった!』と思っていただけるように私たちも知恵を絞りますので、お気軽にご相談ください。」

――佐藤さん、高瀬さん、本日はありがとうございました。

いいじかん設計 編集部

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