スペシャルインタビュー - JETvarnish 3D Evolution
日本を代表するアートディレクター北川一成氏の作品展「GRAPH 展」。
北川氏の頭の中を解剖するというユニークなコンセプトで開催されたこの展示会で、コニカミノルタとのコラボ企画、インクジェットスポットUV ニスコーター「JETvarnish 3D」で出力した作品が展示されました。大判ポスターいっぱいに広がるエンボス効果と各種の箔加工を駆使したハイグレードな3D デザインは、デザイナーだけでなく、ビジネス、印刷加工など幅広い業種の来場者にも大反響。この作品と「JETvarnish 3D」の持つポテンシャルについて、北川氏にインタビューしました。
JETvarnish 3D シリーズ スペシャルインタビュー
アーティストとして、経営者として、実感する「JETvarnish 3D」のポテンシャル
壁一面に展示された「JETvarnish 3D」で出力したコラボレーション作品
北川一成氏とコニカミノルタがアート作品でコラボレーション
東京銀座クリエイションギャラリーG8 で開催された「GRAPH 展」。日本を代表するアートディレクターとして活躍を続ける北川一成氏/(GRAPH)の作品展示会です。内容は、北川氏のデザインの現場から、制作されたデザイン作品の数々、創造の源泉となる書棚の公開、さらには展示物がそのまま購入できるマルシェなど、バラエティーあふれるものになっています。
その展示会の奥まった場所に、紙面いっぱいに金箔、銀箔、レインボー箔など各種箔加工を施した大判ポスターが展示されました。ひときわ目を引くこの作品は、北川氏のデザインしたロゴを「JETvarnish 3D」を使って加工出力したコニカミノルタとのコラボレーションアートです。
「以前から、こんな加工をしてみたかったのです。ただ『JETvarnish 3D』に出会うまでは、とても実現できないと思っていました。だからコラボレーションが決まったとき、すぐにこの作品のアイデアに結びついたんですよ」と北川氏。
始まりは「JETvarnish 3D」との衝撃的な出会い
「ちょっと変わった印刷技術ができるマシンがあるから見てみませんか、と知人に誘われたのがそもそものきっかけです」。
もとより期待していたわけではなく、とにかく見るだけ見てみるかとコニカミノルタのショールームに出かけると、その可能性の大きさにびっくり。「私の予想を遥かに超えた魅力的なマシンでした」。
それは、デジタル印刷で、簡単に立体的なニスコーティングや箔加工を実現するこれまでにないツールでした。その性能はもちろん、北川氏がまず驚いたのは、インクや溶剤の臭いがほとんどなかったこと。「溶剤の臭いは皆さん気になさるので、一般的な作品に使うのは現実的ではないと思っていました。そこが抑えられているのが僕には大きかった」。さらにその対応サイズの大きさも魅力的でした。「ポスターとか、ラグジュアリー商品の高級なブランドイメージを出す作品にすごくいいと思ったんですよ」。
アーティストとして、革新的な表現とクオリティーを実感
こうしてコラボレーションはスタートし、企業ブランドのロゴをモチーフに、画面いっぱいに金箔、銀箔などの各種箔加工を施したポスターが出来上がりました。エンボス効果と箔加工が合体し、これまでにない凹凸のある加工が実現しました。「立体的で繊細なテクスチャーのある彫刻的な表現が実現できたと思います」。
仕上がりについても、「これまでデジタルはオフセットに比べるとクオリティーが落ちると言われていましたが、私自身はむしろこちらのほうが高級感があるなと感じています」。インパクトとハイグレード感を兼ね備えた出来栄えに、「まさにいいとこどりですね」とおっしゃいます。
デジタルだから版が不要で、1枚から出力が可能。アナログだと本番の版をつくるのに何日もかかることも。しかし「JETvarnish 3D」ならすぐに作れて、デザインの制限もほとんどありません。「まさにプリンター感覚。3 日間、コニカミノルタさんのショールームに通って、箔を替え、アレンジを変え、いくつものバリエーションを作成しました」。
デジタルならではのオンデマンド性と、ニスコーティング、箔加工が生む革新的なデザイン。北川氏は、デザインツールとしての「JETvarnish 3D」に、アーティストとして確かな未来を感じました。
ビジネスの視点から見ても、大きな可能性を持ったツール
作品展が開かれたのは、10 月24 日から11 月22 日の約1カ月間。この会場では、通常一つのイベントで平均約4,000人の来場者があるそうですが、「GRAPH 展」はその数字をオープン1 週間で達成。デザイナーはもちろん、印刷関係者も数多く来場しました。「印刷ビジネスに携わる人たちは、箔加工の美しさ、そしてサイズを見てまず驚きます。それから、かかったコストの安さを聞くともっと驚きますね」と北川氏。
「もしアナログでこのサイズの箔加工をやろうとしたら、版代だけでも莫大なコストがかかってしまいます」。しかし「JETvarnish 3D」なら、版代がかからないため大幅にコストを削減でき、デザインのカスタマイズも自由にできます。
さらにエンボス、箔加工が生み出すデザインのプレミアム感は、見る人の目を引き、記憶に残り、感性に訴える可能性を持っています。それは、北川氏が目指す“ 捨てられない印刷物”にも結びつきます。
アーティストであり、印刷会社の経営者でもある北川氏は、これらの点からビジネスツールとしての「JETvarnish 3D」を高く評価します。「このポスターのブランド“ MUNI TA L P(ムニタルプ)” は、ゴルフのラグジュアリーブランドであり、必然的にエンドユーザーはクオリティーに対し厳しい目を持っています。高い付加価値を低コストかつ高品質で提供することで、企業のブランド価値を効率よく高めることが可能です」。
人の心に響くコミュニケーションデザインを追い続ける北川一成氏に、「JETvarnish3D」が生み出す、美しくプレミアム感のあるデザインと、マーケットにもたらすポテンシャルについてお話を伺いました。
プロフィール
北川 一成(きたがわ いっせい)
1965 年兵庫県生まれ。1987 年筑波大学卒業。GR APH 代表取締役。アートディレクター。2001 年、世界最高峰のデザイン組織、AGI( 国際グラフィック連盟)の会員に選出。2004 年、フランス国立図書館に“ 近年の印刷とデザインの優れた本” として多数の作品が永久保存される。
2008 年現代アーティストとして「FRIEZE ART FAIR」出品。2016 年、ブランディングを担当した「変なホテル」が「初めてロボットがスタッフとして働いたホテル」としてギネス世界記録に認定される。“ 捨てられない印刷物” を目指す技術の追求と、経営者とデザイナー双方の視点に立った“ 経営資源としてのデザインの在り方” の提案により、幅広いクリエイティブを手掛ける。
出演にテレビ東京『カンブリア宮殿』、NHK『ビジネス新伝説 ルソンの壷』ほか。著作に『変わる価値』(ボーンデジタル)、関連書籍に『ブランドは根性』(日経BP 社)がある。
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