磯和璉子写真展「山川草木抄」

展示概要

作者コメント

留学のためニューヨークへ移住してから20年近く。仕事で帰国したとき、久しぶりに故郷の伊勢志摩へ帰り、まずは伊勢神宮へ。そこは穏やかな時間が流れる別天地のようでした。自然の神様を祀り、千年以上も毎日食事を捧げ、祈りを続けていることに感動して毎日通ううちに、この感動をアメリカの友人たちにも伝えたくなり、コンパクトデジカメを買って写真を撮り始めました。これが写真を始めたきっかけです。
伊勢神宮の感動を伝えられるような写真がすぐに撮れるはずはなく、60の手習いで無闇にシャッターを押し続けた時期を経て、今やっと、ゆっくり被写体に向き合えるようになりました。すると、ファインダー越しに見えてきたのは山や川、木や草、石や水などの生きる姿であり、その息吹でした。
「生きている」ことを実感できる日本の自然に感動して、永すぎたアメリカ住まいに終止符を打ち、日本で自然を眺め、感じたままを写し撮っています。

作者プロフィール

磯和 璉子(いそわ れんこ)

1947年
三重県生まれ
1981年
東京での会社勤務を経て、留学のため渡米
1984年
ニューヨークの映像制作会社に就職
1989年
独立し、ニューヨークを拠点にワイルドライフを中心とするドキュメンタリー番組の国際共同制作、配給に携わる。
2006年
リタイア。その後に日本で写真を撮り始め、2014年から写真家・瀬戸正人氏に師事
2015年3月
写真展「葭・蘆・葦」(新宿Place M)

展示作品

カラー 大全紙 約37点(予定)

作者の制作現場

作者の撮影ノートより

新たな試み

ヨシに惹かれて渡良瀬のヨシ原をさまよい、3月のヨシ焼きで馴染んだヨシたちが炎上する様子に心を痛めましたが4月にはもう新芽がすくすく。枯れたヨシを焼くことによって害虫を駆除し、ヨシだけでなくその足許の春植物の発芽も促すなど、ヨシ焼きの大切さを実感しました。
気に入った被写体に出会うとのめり込み、繰り返し執拗に撮り続ける私の写真生活にもヨシ焼きが必要と思い、一年かけて撮った渡良瀬ヨシ原の写真を昨年3月に写真展「葭・蘆・葦」にまとめてひと区切りとしました。新たな春は水辺のヨシをテーマに、昨年4月、近江八幡の水郷のヨシから撮影を開始しました。

最も印象に残ったこと

近江の東から北への山川草木は素晴らしく、季節の移ろいに心弾んでいるうちに冬到来。湖北の雪に備えて、天気予報に合わせて出かけても外れてばかり。諦めかけていた2月半ば、長浜のホテルで目を覚ますと窓の外には雪が!
朝食もそこそこにホテルを飛び出して北へ。途中、あまりの猛吹雪に木之本で渡岸寺へ。あの美しい十一面観音様を眺めながら吹雪のおさまるのを待つはずが、月に一度の講話日とかで、お堂は地元の人達でいっぱい。カメラを抱えて重装備をした姿はいやでも目立ち、「東京からこんな日に?!」とみなさん驚かれ、ありがとうの言葉がお堂に溢れて、心もほのぼの、タイムスリップしたような気分。
この後も猛吹雪、霰、晴間、曇天と目まぐるしく変わり、最終地の菅浦では湖面に対岸の山並みが反転して写る下位蜃気楼まで出現。雪を待ち続けたご褒美だったのでしょうか。不思議な、狐につままれたような一日でした。

今後の作品制作について

琵琶湖は海のように大きく、山々から里へ流れ落ちる水は清らかに澄み、風雪に耐えてきた大きな岩や石がまるで何かを語りかけてくるような、そんな湖東、湖北を往復しているだけで、たちまち一年が過ぎてしまいました。
今年は近江に加えて、信州の水田の撮影を始めました。気の向くままに被写体を選んできているのですが、今、それが互いに重なり合い繋がりつつあることに気づきました。そう「葦が生い茂って穀物が豊かに実る国」、豊葦原瑞穂国の原風景へと誘われているような、そんな気がしてなりません。

同時開催

運営終了のお知らせ

当館は2017年1月23日を以って運営を終了しました。長い間ご愛顧いただき、本当にありがとうございました。

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