小久保雅弘写真展「街の瞬き」

展示概要

作者コメント

私が暮らす茨城の街の光景は、遠い記憶のものとは明らかに変化し、どこか懐かしく、どこか寂しく感じる。街にも生があり寿命があるのだろうと、還暦の節目を前に自分の人生と重ね合わせて考えた時、自分を包み、生活を共にしてきた街との関係性について、身体とカメラを通して写しだしてみたいと思った。早速、移ろう街の風景を記録するため、生まれ育った街を歩くことにした。
街に直接触れ、その声を感じるため、日々の生の喜びと長い年月を街の光景に照らし合わせるようにひたすら歩き、太陽の光と影で普段の街の姿が何かの合図のように変化し、消えてゆく、その瞬きにシャッターを切った。
時代を共にした街の姿へのねぎらいと共に、潜在する関係性の痕跡と暮らす場所として街に残った鼓動、光景を、感じるままに撮り綴ってみた。

作者プロフィール

小久保 雅弘(こくぼ まさひろ)

1955年
茨城県生れ
2005年から
現代写真研究所にて写真を学ぶ 現在、同研究所 金瀬ゼミ在籍
2011年
個展「LIME ZONE 白いヤマで出会った光景」エプソンイメージングギャラリー・エプサイト
2013年
個展「西日射す 栃木2009-2012」コニカミノルタプラザ
2013年
写真集「西日射す とちぎ2009-2012」現代写真研究所出版局

展示作品

モノクロ A3ノビ 約40点(予定)

作者の制作現場

作者の撮影ノートより

新たな試み

郊外とか地方都市といわれる街の姿は、文化、産業などが衰退し劣化していると感じる方も少なくないと思います。今回の撮影では、私が生活を共にしてきた茨城の街と、自分との関係性の痕跡をとおして、人が暮らす場所・街について考えてみることです。撮影時には、身体の反応とカメラの知覚機能にまかせ、時代を共にした街に直接触れ、その声を聞くような感覚で撮影し、移ろう風景を淡々と撮り記録するという試みです。長年、大都市への通勤生活をしてきましたので、あらためて自分を包む地元との関係を見つめ直すことになりました。

最も印象に残ったこと

撮影のため街を歩くと、様々な出会いや発見があります。その中でも、通学路に沿って広がる廃墟になった商店街の店舗の前を、数人の小学生が楽しそうに笑顔で帰宅する姿と、ある駅前で、あまりにも人がいない光景に「なんかやばくない?」とはじまった二人の高校生の会話との出会いです。この場面には、ほほえましく、少し笑いがでてしまいそうな感じではありましたが、時代の流れに抗しがたい厳しい街と人との現状を感じました。これから子供たちが、暮らしている街をどのような関係として記憶に残していくのだろうかと思い、特に印象に残っています。

今後の作品制作について

今後も、前回の「西日射す」と今回の撮影同様に、地元や周辺の街の日常を見つめ撮り歩きたいと思っています。自分の暮らす街は、茨城、栃木、埼玉、群馬の県境にあります。そんな特性も生かせることもあるかもしれないと感じています。普段の暮らしの場から身近なものがなくなっていくという感覚は、誰もが持っているのではないのでしょうか。街に残った光景や出会った人から学び、固定観念にとらわれず感じるままに撮影し、言葉では言い表せない大事なものを問い続けていきたいと考えています。

同時開催

運営終了のお知らせ

当館は2017年1月23日を以って運営を終了しました。長い間ご愛顧いただき、本当にありがとうございました。

ページトップへ戻る