




2回目の開催となる『ソーシャルデザインアワード』は、クリエイターの力を活かして「社会をより良いものにするアート・デザイン・プロジェクト」を募集するコンペティションです。
前身の 『コニカミノルタエコ&アートアワード』からリニューアルし、エコよりもさらに広い視点や着想から生まれたプロダクトのプロトタイプ、アート作品、WEBやアプリ、またはそれらを内包する実施 計画、事業・企画全体までを含めた、幅広い内容を募集しました。
雑誌「Pen」協力のもとアイデア・実現性・アウトプットのクオリティ、活動内容の意義や波及力などを含め、多角的かつ総合的な視点で 評価、審査を行い、入選作品を決定し展示いたします。
次世代を担うクリエイターによる、社会に対する問題提起と、その解決に向けたアイデアあふれる作品が集う数少ない機会をお見逃しなく。お客様の投票で決定される“オーディエンス賞”への参加もお待ちしています。
コニカミノルタは今後も意欲あふれるクリエイターに作品発表の機会を提供するとともに、その活動を支援してまいります。
募金協力で投票。あなたが選ぶオーディエンス賞 |
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会場でオーディエンス賞の投票ができます。 参加の方には(100円から)募金のご協力をお願いしております。 「日本野鳥の会」の募金箱を設置し、タンチョウ保護活動に役立てられます。 |
グランプリ、準グランプリ、審査員特別賞、協賛社特別賞などの受賞作品が、6月5日(日)のグランプリ発表会にて決定しました!
私は2005年よりビッグイシューの協力を得、路上生活者に声をかけ参加者を募り「新人Hソケリッサ!」という名称において、路上生活者及び路上生活経験者とともにダンスを踊っています。(H=human、homeless、hope等/ソケリッサ!=それいけ、前進等のイメージ、造語)
私は原始時代の頃の体に興味があります。日が昇って鳥の声が聴こえて目が覚める。お腹が空いたら食べ物を探す。夜になると静けさに怖くなる・・
世の中が発展して便利になって行くにつれ、人の体は「生きるということ」に向き合う機会をなくしているように感じます。路上生活状況の体は少なくとも現在の社会に埋もれる私より原始の感覚に近いのではないかと感じます。又、生きることに向き合わざる得ない路上生活経験の体から生まれる肉体表現は、身体の重要性を失いつつある現代社会にとって必要な景色が見えると感じています。
「生きるということ」に向き合う路上の身体記憶を生かしたこの芸術活動は、人間のあるべき姿への復興へとつながり、参加メンバーの自己肯定および社会参加意識の回復、および社会的弱者のモチベーションの獲得へとつながり、踊る側、観る側双方にとって幅広い可能性を大きく持つ展開になると感じています。
アオキ裕キ
ダンサー・振付家/一般社団法人アオキカク代表。
2001年 NY留学時にテロと遭遇。帰国後、自身の根底を追求。
2005年 ビッグイシューの協力とともに路上生活経験者を集め、「新人Hソケリッサ!」を開始。
今を生きる身体を追求している。
この度は光栄な賞をいただき心より嬉しく思います。
参加メンバーの生み出したものが、価値あるものとしてこのような評価を得たことはとても意味のある事だと感じています。アート、デザインは、商品であれ、プロジェクトであれ、強度が必要です。その強度とは人が「生きている姿」だと私は捉えています。呼吸をし、汗をかき、匂いを感じ、耳を澄ませ、感情が見えるような・・「生きている姿」とはそんなかたまりではないかと感じます。そんな強度と出会った時に私は魂の躍動に包まれ心が動きます。不安に囲まれ、制約の増え続ける世の中においては、身体はますます閉鎖的になります。強度を持ったアートやデザインから漂う自由さ、大胆さは人にとってとても必要なものとなるはずです。今回は生み出したアートやプロジェクトを信頼しつづけることの大切さを改めて感じました。きっとその先に社会へ向け新たな価値が根付く強度を持ったアートデザインが生まれるように思います。私の活動はまだまだ脆弱ではありますが、今回の評価を自信とし足取り強く前進したいと思います。アートを信頼し、自身や他人を信頼できることが常となり、行く末は心身豊かな制約のない世の中へと変わって行く。私はソーシャルデザインとはそのような深度ある広がりを持つと捉え、この評価の重みとして捉えなくてはならないと感じています。
ありがとうございました。
安藤 貴之 氏(Pen編集長)
「ソーシャル」という言葉がかつてない響きを持ち始めた。同じく「デザイン」という言葉もそうだ。
従来の意味合いよりも大きな広がりと深さを内包する。
今回のグランプリ作品をはじめ受賞作のすべてが、まさに「ソーシャルデザイン」の現在形を指し示し、常識を超えたクリエイティビティを発信しているのだ。
廣田尚子 氏(プロダクトデザイナー)
ダイナミズムに満ちたしくみによって参加する人に生まれるエネルギーの高さは、応募作品の中で群を抜いた存在感でした。プロジェクトの参加者だけでなく、社会に響く価値観の新しさと影響力の強さを高く評価しました。
路上生活者の「路上の身体性」を活かし舞台を制作することで、アートと社会の多様性を示唆した作品。一つの価値観や一定の幸福尺度に社会をみるのではなく、様々な人々が多様な可能性を持って生きる社会を標榜しており、その舞台は「投げ銭」制で世に評価を問うという、完成度に対する厳しさも潔い作品でした。
山崎 亮 氏(studio-L代表、コミュニティデザイナー)
10年間の活動において、さまざまな苦難を乗り越えてきたことと推察する。社会的な課題を解決しようとする取り組みは、一朝一夕に成果が出るわけではない。長い時間がかかる。その間には、無視されたり、足を引っ張られたり、疑われたりする。それでも、正しいと信じたことを美しく展開する精神力が求められる。このプロジェクトからは、その精神力の強さが感じられる。今後のさらなる展開に期待したい。
お金の代わりに自分のとくいなことを運用するとくいの銀行を開設し、運営するプロジェクト。作家(深澤)自身が頭取に就任し、2016年時点で、茨城県取手市井野本店、山口市ななつぼし商店街支店、札幌市札幌支店 since1869 を開業。
自分のとくいなことを銀行に預ける(ちょとくする)と他の人が預けた「とくい」を引き出すことができ、その仲介を銀行員が行っていく。個々人の特性と関係性から導く公共をテーマに、とくいを預けた人と引き出した人が軸になってできる場をつくり続けている。これまで合計で 2500 件以上のとくいを預かっており、200 件ほどの引き出しイベントを行ってきた。 また支店ごとの特色もあり、銀行を開くことでその地域の課題を浮き彫りにしていく活動を同時進行してきた。都市の規模が大きくなるにつれ、どうしても個から公共が遠のいてしまう現状を見つめなおす点、銀行を開業していく場所ごとに地域についての捉えなおしも行っていく点で、簡易なシステムと柔軟なインストールの手法で展開していく。
深澤 孝史
1984年 山梨県生まれ。美術家。
2011年 「取手アートプロジェクト」にて《とくいの銀行》開業。
2015年 第6回大地の芸術祭にて《越後妻有民俗泊物館》を制作。
様々な場において活動進行型の作品を制作。
J-WAVE賞とダブル受賞ということで大変光栄に思います。とくいの銀行はアートプロジェクトとしてはじめたことですので、めぐりめぐってアートとして評価されたことは本当に嬉しく思っております。
後進国の人々は、私達が想像できないような危険な生活環境で暮らしています。
私達が持っているアイデアで彼等の生活を改善する事がソーシャルデザインと捉え、サンプル国として選んだ東ティモール民主共和国でリサーチ活動を行い、プロダクトのプロトタイプを2つ制作しました。
プロトタイプ1は、現地調達できる素材を使った歯ブラシ。
一般的な毛先がダメになったら捨てるタイプの歯ブラシでは買い替えが必要になってしまい、その都度購入ができないため、歯を磨く事自体が習慣化されていません。それによって多くの人が歯を失ったり病気を患っている問題に着目しました。
ブラシ部分を取り外し可能にし、交換用の毛に一般的に家畜として飼われているブタの毛を使用する事で、新たに買い替える必要がなく使い続けられる流れを考えました。
プロトタイプ2は、廃タイヤを再利用した子供用シューズ。
現地の子供達は成長に合わせた靴の買い替えができないため、素足での生活を強いられています。そのため衛生環境の悪い荒れた路面で怪我をし、重症化する事があります。
さらに捨て置かれた廃タイヤに雨水がたまる事で、ボウフラの発生源になり伝染病の広まるリスクが高まっています。
そこで廃タイヤを再利用したシューズを制作する事で2つの問題を解決できると考えました。
一枚のゴムからなるシューズにする事で、足のサイズに合わせて調整できるフレキシブルさ、運搬時のコスト削減に繋がります。
COTATSU
電機メーカーのプロダクトデザイナー2名によるデザインユニット。
新たなライフスタイルの提案を軸に、プロダクトのコンセプト立案・デザインをおこっています。
この度は、素晴らしい賞を頂けて大変光栄に思います。
私たちのプロジェクトでは、BOP層の暮らす地域で実際にリサーチ活動を行いました。
そこで感じたのは日本がいかに豊かで恵まれた環境なのかという事と、世界の知らない所では私たちが想像もできない問題が起きている事でした。
展示を見て頂く事で、私たちが現地に赴いて気づいたように"ソーシャル"の捉え方を広げるきっかけにして頂ければ幸いです。
ありがとうございました。
MATEREAL(マテリアル)とは
Mate (片方) Real(現実)
「就労支援事業所の現実に目を向けよう」という意味からできた造語。
MATEREALのコンセプト
人が助け合ったり、頼ったりする時に「手」が相手の記憶に残す「温もり」を手がかりに、障がいを持つ方々が織った手織りの生地とTシャツなど普段身につける物で「手の温もり」をデザインし表現することをコンセプトとしています。温もりは健常者や障がい者に関係なく全ての人が持ち合わせる能力です。その能力を1つのプロダクトで、しかも障がい者・健常者が力を合わせて製作し表現することで、ボーダーレスな社会を目指す為の意識の共有、情報発信の為の存在価値としてMATEREALがあります。
1STEST/竹鼻 良文
1983年 兵庫県生まれ
2006年 神戸芸術工科大学卒業
2008年 同大学院修士課程修了(花田佳明研究室)
2012年 TAKEHANAKE design studio設立
2015年 1STEST設立
デザイン・アート・建築など多種に渡る分野で活動中。35歳以下の若手建築家7組による建築の展覧会(2016)に選出され、愛知建築士会名古屋北支部建築コンクールにて古谷誠章賞・江尻憲泰賞・佳作を受賞。横浜アートコンペティション2015入選、第24回・25回紙わざ大賞入選、Art in the office CCC award入選。また大名小学校保存活用プロジェクトなどのまちづくり活動にも参加。
この度は「プロジェクト賞」という素晴らしい賞をいただきましてありがとうございます。MATEREALというプロジェクトは多くの方々に協力していただいて成立しているプロジェクトですので、この賞をいただけたことをたくさんの方々に喜んでいただけました。この賞が終着点ではなく始発点として、これからより良い社会を目指して活動していきたいと考えています。
普段顔を見られない、日本中、あるいは世界中、遠く離れたところにいる相手にこそ、時間をかけて手紙を書き、届けたい。
その手紙を送る手段として、郵便局 がある。
手紙を送る手段としてだけではなく、手紙を書くという行為、相手を想うという行為を広めていく手段としても、郵便局に可能性があるのではないだろうか。設計対象は郵便局とし、郵便に着目しパブリックスペースを充実させたその新しいあり方を提案する。
郵便局という日本全国最大にして最古のネットワークにより、誰かが誰かを想うあたたかい場が、日本中に広まってゆく。
ひとつのモデルをもとに、23331局(郵便局の数)が徐々にかわる
Type S があたたかい場にかわること = 日本中があたたかい場にかわってゆくこと
慌ただしい現代に送る、場とそのしくみの提案。
川合 遥香
2011年 工学院大学建築学部
2015年 工学院大学大学院 工学研究科建築学専攻
この度は審査員特別賞をいただき、ありがとうございます。文字、言葉を扱う雑誌編集長様からの賞、大変嬉しく思っております。デジタル化の急速に進む現代社会において、多様化し希薄になってゆくコミュニケーションに問題を感じたことから始まり、人と人とが相手を想い伝えるというコミュニケーションを、どのように残し、広めていくことができるのか模索した作品でした。
手紙というツールを用い、相手のことだけを考える「時間と場」をデザインした郵便局のあり方についての提案が、身近な人を想い、伝えることを考えるきっかけになってくれれば幸いです。
実現化を目指し更に発展させていきます。ありがとうございました。
京都府南丹市美山町。過疎化高齢化のすすむ中山間地であるこの地域の、宮島地区長谷(世帯数45、人口139)という集落で、私たちはこの取り組みをしています。山に囲まれたこの小さな集落で暮らすひとたちは、都市部で育った私たちから見ると、地域全体がみんなお互いのことをよく知っていて良いなあと感じました。しかし、彼らは「これといって話題のない毎日」と。このプロジェクトは、代わり映えしないここの日常に、外から来た私たちが何か新しいことを持ち込むのではなく、地域の人とのれんをつくる活動を通して、日常に埋もれた記憶を引き出し、既知を新鮮化することで話題をつくり、のれんができるまでのプロセスにおいても、できてからの暮らしにおいても、コミュニケーションの手がかりをつくる取り組みです。
ものの姿を変えて、使うこと
ものが持つ記憶や思い入れが、めぐりめぐって人の心に何かを語りかけられるのではないかという思いから、着る機会を失った着物など、そのお宅に眠る布を材料にし、のれんをつくっています。
コミュニケーションの手がかりを
私たちがデザインしたのれんを、作って渡すのではありません。そのお宅におじゃまして、そのお宅の人と一緒に考えるデザイン。そのお宅のマークをデザインし、のれんにあしらう。そのマークを含めたのれんのデザインです。
つまり、地域の人が、地域にあるものをもとに、作り出すものだということです。
南 美月/京都Xキャンプ美山
めぐりめぐるプロジェクト
大学生が長期休暇などを利用して滞在しながら地域振興の企画をする「京都Xキャンプ美山」のプロジェクトのひとつ。活動地は、かやぶきの有名な京都府南丹市美山町の宮島地区。
もののめぐりを出発点に、ものと人、人と人のめぐりをつくる。その手法は「おじゃま工房」。
お宅に「おじゃま」して会話をもとに一緒にデザインし、そのお宅のマークを描いたのれんをつくる。お宅に眠る着物などを素材にしている。2014年に立ち上げ、今年で3年目を迎える。
このたびは、廣田 尚子さんから審査員特別賞をいただき大変感謝しております。「おじゃま工房」は、何か明確な問題を解決するデザインではありませんが、地域の方々や私たちの、日常に埋もれた意識を引き出したり新しい気づきや洞察力に結びつく、次への出発点であると思います。ここで学んだことを生かし、「デザイン」というものごとの見方・考え方を、何にどう発揮すべきかしっかりと考えていきたいです。
「ONE VOTE」は20代のための選挙・政治情報アプリケーション。
選挙に行かなければいけないのは分かっているけど、政治ってなんだか難しい。
調べるのも面倒で、関心が持てない若者は多い。
そんな20代が普段からチェックしやすいアプリがあったら?
いざ選挙に行く時も、自分がどんな政党や政策に興味があるか知っておけば困らないのでは、と考えた。
デザインポイント
● アイコンやイラストで難しい言葉を削減
● 爽やかで知的なイメージのカラーリング
● 政策・マニフェストもアイコンで表示
● 自分の気になるワードから舟(政治家)を選べる
さあ、あなたが乗りたい舟(boat)はどれ?
山戸 蕗
金沢美術工芸大学視覚デザイン専攻4年。
この度は審査員特別賞を頂きとても嬉しいです。「ONE VOTE」は20代にもっと政治に関心を持ってもらうために、必要だと考えたものです。その無関心が、私たちの未来を大きく変えてしまうかもしれません。
実際にあったら欲しい!という声をたくさん頂けたのも貴重でした。「社会をよりよくしたい」という思いが強まる、大変素晴らしい機会を与えて頂きありがとうございました。
いつでもどこでも胃ろう患者と家族が、一緒に食事を楽しむことができる新しい介護補助機器。
現在、胃ろう造設患者数は全国約26万人います。(2011年全日本病院協会調べ) 今、胃ろう患者へ栄養剤を注入する時のほとんどは、手で栄養剤を押し出し15分以上かけて胃に流し込んでいます。その作業は三食全てに要し、また注入中は患者の傍から離れる事ができません。そのため、胃ろう患者を看護する人の”労力”と”時間”が日常の大きな負担となっています。
この労力と時間の負担を軽減するために開発した商品がATMEALです。
ATMEALの特長は、①自動で栄養剤を巻き取ることができます。②携帯の充電器で可動するので、持ち運びが可能です。③安全装置付きなので離れていても安心です。④食卓にも馴染むよう、お弁当箱の形です。(トートバック付)
私たちは、ATMEALを使うことで日々の食事にかける労力や時間の負担を軽減し、胃ろう患者家族の食卓風景に彩りを添えることができるよう願っております。
石崎育味 umu design
プロダクトを軸にトータルデザイン(企画・商品デザイン・グラフィック・パッケージ・ウェブ)をしています。
兵庫県出身、大阪芸術大学付属大阪美術専門学校デザイン学科卒業。
イデア株式会社に勤務。2013年umu designを設立。
現在は、付加価値提案をモットーに、様々な企業と共同開発やブランドの立ち上げを行っています。
2013年
石川県デザイン展/観光理事長賞受賞
2016年
日本クラフト展/奨励賞受賞
ミラノサローネサテリテ出展
ソーシャルデザインアワード/審査委員特別賞山崎亮賞受賞
この度は審査委員特別賞(山崎亮賞)を受賞でき、一同喜びを隠しきれません。
ATMEALは親戚に胃ろう患者がいるメンバーの意見を聞きながら開発した商品です。
少子高齢化が進み、在宅介護も増えていく近い未来、今困っている人の声に耳を傾けることに、社会的な問題をひもとくヒントが隠れていると思います。
今回の受賞が、今後のチーム活動の励みとなりましたこと、一同を代表してお礼申し上げます。引き続き社会的な課題に向き合っていきたいと思います。
町工場のまち大田区。かつては9000もあった町工場は現在半分以下にまで減り、工場跡はマンションや駐車場となり、今後も後継者のいない高齢者の町工場は人知れず廃業し、まちは何事もなかったように様変わりしていきます。
この活動は、大田区北糀谷で町工場を営まれていた職人が不慮の事故で亡くなり、不在となった町工場から提供していただいた道具を一つの資源として、美術作家の酒百宏一がフロッタージュという写しとりの技法によって参加者とともに作品をつくります。
写しとった作品をつなぎ合わせることで、大田区のモノづくりの特徴である「仲間まわし」を表現します。住民と恊働して作品を制作することにより、モノづくりの魅力と大田区の魅力を再発見し、これからのまちにつなげていく活動です。
この活動では、職人が使用していた道具や部品をフロッタージュという写しとりの技法によって作品をつくります。フロッタージュは、木や石などの凹凸面に紙を置いて上から鉛筆などでこすり、図柄を紙面に写し取る描画技法です。表面を写し取ることで、カメラにはけっして写すことの出来ない、町や職人の記憶をこすり出します。小さな子供から大人までが思い思いに写しとった作品をつなぎあわせて、この秋、ひとつの大きな作品をつくります。
酒百 宏一
美術作家。東京工科大学デザイン学部准教授。
1968年 石川県生まれ。東京都大田区在住。
フロッタージュという写しとりの技法を駆使したオリジナルの技法で土地や人の営みの記憶を写し、近年は地域住民と恊働で土地の記憶をかたちにするプロジェクトを展開している。
2012年 東京・南千住の移ろう町の記憶を住民とともにかたちにする「町の記憶PROJECT 南千住10000枚の記憶」、大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレでは「みどりの部屋プロジェクト」、新潟市で「Niigata水の記憶プロジェクト」に取り組んでいる。
この度は、協賛社特別賞(IDÉE賞)をいただき、ありがとうございます。
このオオタノカケラは3年前に不慮の事故で亡くなられた町工場の息子さんが、お父様の生きた証を何かに役立ててほしいという依頼から始まりましました。職人が長年愛用した道具を多くの人がフロッタージュという手法で写しとる作業を通じて町工場の魅力や理解へとつなげ、現在に続いています。
この活動では、多くの参加者を求めています。今回IDÉE SHOPでの発表の機会を光栄にもいただいたことで今後さらに活動を広げるきっかけにしたいと思います。
お金の代わりに自分のとくいなことを運用するとくいの銀行を開設し、運営するプロジェクト。作家(深澤)自身が頭取に就任し、2016年時点で、茨城県取手市井野本店、山口市ななつぼし商店街支店、札幌市札幌支店 since1869 を開業。
自分のとくいなことを銀行に預ける(ちょとくする)と他の人が預けた「とくい」を引き出すことができ、その仲介を銀行員が行っていく。個々人の特性と関係性から導く公共をテーマに、とくいを預けた人と引き出した人が軸になってできる場をつくり続けている。これまで合計で 2500 件以上のとくいを預かっており、200 件ほどの引き出しイベントを行ってきた。 また支店ごとの特色もあり、銀行を開くことでその地域の課題を浮き彫りにしていく活動を同時進行してきた。都市の規模が大きくなるにつれ、どうしても個から公共が遠のいてしまう現状を見つめなおす点、銀行を開業していく場所ごとに地域についての捉えなおしも行っていく点で、簡易なシステムと柔軟なインストールの手法で展開していく。
深澤 孝史
1984年 山梨県生まれ。美術家。
2011年 「取手アートプロジェクト」にて《とくいの銀行》開業。
2015年 第6回大地の芸術祭にて《越後妻有民俗泊物館》を制作。
様々な場において活動進行型の作品を制作。
ラジオとリスナーの距離感は他のマスメディアにはない、身近で、即興的な感覚があり、銀行を紹介していただけるとのことでとても親和性が高そうでとてもうれしいです。ありがとうございます。
日本では、一年に10ヶ所、窯元が消失しています。
陶磁器の販売数量が年々減少する一方で、より安価な食器が世の中に普及し、その結果、やむなく廃業にいたる窯元が後を絶ちません。その中の大半を占めるのが、銘柄のほとんど知られていない小さな窯元。1970年代から30年間で、約半数以上の窯元が消失しました。私たちは、日本全国に散らばるさまざまな陶磁器の魅力を広く世の中に伝える必要を感じ、本プロジェクトを考案いたしました。
焼きコップ ~日本全国約160種の陶磁器を紙コップに~
日本全国に点在する陶磁器を、メジャーなものだけではなくマイナーなものまで、身近な紙コップで再現しました。陶磁器ならではの風合いを持たせ、コップの底には銘柄にまつわる物語や由来を記載しています。さらにそこから本プロジェクトのWEBサイトへと誘導します。
WEBサイトでは、モチーフとなった実際の陶磁器を購入することが可能です。陶磁器の特徴やこだわり、作り手の思いを伝えていきます。さらに、窯元からの求人情報やワークショップ情報などもサイト上に掲載し、生活者と生産者をつなぐプラットフォームとなっています。
本プロジェクトでは、今まで見過ごされがちであった陶磁器の魅力を身近な紙コップで再現することで多くの生活者に気付きを与え、実際に購入できる場へとつなげることによって、作り手にも買い手にも利益が生まれる仕組みをデザインしました。
清水覚/coneru
デザイナー、プランナー、マジシャン、フリーランスの社会人4名からなるデザインユニット「coneru」所属。
コンペティションへの自主制作や企業に向けた自主提案にて、練りに練ったアイデアの提案を行っています。
2015年 TOKYO MIDTOWN AWARD 2015 準グランプリ受賞
「浮世絵プチプチ」
我々のアイデアはまだ構想段階で、他の受賞者の方々と比べると、まだソーシャルデザインの卵の状態でした。
今回オーディエンス賞として評価頂けたことを糧に、まずは商品化、そして行く行くは立派なソーシャルデザインプロジェクトとして、育てていきたいと思います。
ソーシャルデザインアワードとなって2回目、年齢制限をなくした今回の応募作品は、プレゼンシートのクオリティもさることながら、視点の確かさが際立ちました。人々のコミュニケーションを深めたり、そのきっかけになるようなデザインやクリエイションが、展示会場にあふれる予感がします。楽しみです。
今回は未発表と年齢による枠を取り払ったことから、実践的で本格的なソーシャルデザインといえる質の高い応募が集まっています。しくみにアイデアを与えて人の心が温かくなるコトを計画する。ソーシャルデザインは、まだあまり知られていない分野ですが、それを理解するのに十分な内容が、今回の最終結果で発表されると期待しています。
ソーシャルデザインにおいては、理性と感性のバランスが重要になります。つまり、「正しい」と「美しい」を統合することが肝要なのです。今回の応募案を拝見して、その両者を統合させようとする努力の数々に感動しました。こうした努力がより多くの人達に共感され、社会が少しずつ良い方向へ向かうことに期待したいと思います。
今回はリサーチや研究に基づいた社会的視点を持ったプロジェクトの提案が増え、審査がますます有意義でした。「カタチ」を美的に造形するだけでなく、コンセプトと作品の在り方が社会と密接に関わりあった作品が数多く見られ、アワードが成熟してきていると感じました。
氏名・グループ・団体 | 作品タイトル |
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相澤 和広 | 自分でつくる「小さな情報発信基地」 |
一般社団法人アオキカク/アオキ裕キ | 新人Hソケリッサ! |
淺草 智紀 | Compost green house |
石垣 純一 | KILITZ |
石崎 育味 MISHOW | ATMEAL |
大川 洋平 | 半径6kmのみんなが、飼い主になる。 迷子犬発見アプリFINDOG |
大西那月 | エコ育絵本・アートゴミ袋 |
川合 遥香 | 手紙のすゝめ -郵便局におけるパブリックスペースのあり方についての提案- |
曳野 真帆 | ART FOR IT |
酒百 宏一 | オオタノカケラ |
上久保菅原山根/清水覚 | 『焼きコップ』陶磁器文化振興プロジェクト |
鈴木 雄大 | RE-tect |
氏名・グループ・団体 | 作品タイトル |
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竹腰 美夏 | metacast |
1STEST / 竹鼻 良文 | MATEREAL ~障がい者の方々が制作した生地が社会問題を解決するプロダクト~ |
戸田 護 | Thundercloud Project |
野々 海 | おとなりねんが |
ヒョン ダイン | LughBo (ルーボー) |
深澤 孝史 | とくいの銀行 取手-山口-札幌 |
松田 兼一郎 | te to te box |
京都Xキャンプ美山/南 美月 | おじゃま工房 |
COTATSU/南出 由裕 | BOP LIFESTYLE IMPROVEMENT PROJECT |
Socio-Economic Design Studio/本山 拓人 | HOLIDAY PASSPORT |
山戸 蕗 | ONE VOTE 20代のための政治・選挙情報アプリ |
和田 沙樹 | いのちのび食便 |
当館は2017年1月23日を以って運営を終了しました。長い間ご愛顧いただき、本当にありがとうございました。