森井勇介 写真展「Tinku」

展示概要

作者コメント

ボリビアでは、インカ時代の大地の女神とされる“Pachamama(パチャママ)”を信仰する“Tinku(ティンク)“という祭がある。ティンクでは、豊穣を祈願し大地に血を捧げる。そのために彼らは、踊り、殴り合い、血を流し、祈る。踊りのリズムを大地に響かせ、戦い、血を流し「パチャママ」と叫ぶ。流れる血が少ないと不作になると信じられている。祭りの期間中は至る所で殴り合いが行われ、死者が出ることもある。近代文明が浸透していく現在、先住民族の習慣や様式はどんどん変化し失われつつある。独自の文化が色濃く残っている地域はとても希少である。私は、今を生きる先住民族の誇り高い姿を記録し、彼らの多様な姿とその魅力を伝えていきたいと思っている。

作者プロフィール

森井勇介(もりい・ゆうすけ)

1982年静岡県生まれ。亜細亜大学国際関係学部卒業。その後エスモードジャポン東京校にてファッションデザインを学び、ファッションデザイナーとしてキャリアを積む。2012年より、民族衣装を探し求めラテンアメリカを旅する。583日の旅を終え帰国。現在、フリーランスの写真家、バッグデザイナーとして活動。また、INDIGENOUS GALLERY(インディジナス ギャラリー)を立ち上げ、中南米の先住民族をテーマにしたプロジェクトを進行中。

個展:2014年 アンデスの先住民族 富士フォトギャラリー調布
受賞:2015年 第16回上野彦馬賞九州産業大学フォトコンテスト入選

展示作品

モノクロプリント A3、A3ノビ 約35点

作者の制作現場

作者の撮影ノートより

新たな試み

先住民族の魅力を伝えたいと思い”Tinku”では、伝統的な祭りに焦点を当て、彼らの躍動感や生活感の中から、ナチュラルな姿が見えるように構成をしました。きらびやかな衣装や、エキセントリックな祭りの姿が印象的ですが、生活に馴染んだ土着の文化だからこそ感じるアイデンティティと、飾らない姿からにじみ出る感情に、歴史を受け継いできた魅力があると感じました。その独自の姿を特別な存在としてではなく、文化の違う身近な存在と感じてもらえるように表現をしました。

最も印象に残ったこと

二人の男性がなんの前触れもなく殴り合った時は、自分の目を疑い、体が竦んでしまいました。自分の常識にはない状況でした。殴り合いは素手で行われ、骨と骨がぶつかり合う鈍い音が聞こえてきます。次から次へと殴り合いは行われ、その周りで「パチャママ」と神様の名前が叫ばれ、これが神聖な行為であることを少しずつ理解していきました。踊りのリズムで大地は地鳴りし、殴り合いは歓喜となり、五感が揺さぶられて”Tinku”という渦に飲み込まれていく異様な感覚に陥りました。ここで体験した全てのことに圧倒され、彼らの信仰する姿に、強いカルチャーショックを受けました。

今後の作品制作について

私は、先住民族の気品や誇りを表現していきたいと思っています。近代文明が浸透し、便利な世の中になり、先住民族の価値観や習慣は、どんどん変化しています。彼らは豊かさを求め、伝統的な習慣から近代的な生活へ変わろうとしています。しかし、歴史を積み重ねて受け継がれてきた独自の文化は貴重です。アイデンティティにプライドを持っている姿は魅力的で価値のあるものだと私は思っています。伝統を受け継ぐ人々が豊かになれるようその魅力を作品で表現していきたいと思っています。

同時開催

運営終了のお知らせ

当館は2017年1月23日を以って運営を終了しました。長い間ご愛顧いただき、本当にありがとうございました。

ページトップへ戻る