安達康介写真展「Cuba Libre #2」

展示概要

作者コメント

1997年以来、私はカリブの社会主義国キューバにたびたび足を運んでいる。この独特な国家システムの中で暮らす、陽気で知的で誇り高き人々に魅了されているからだ。
約50年も国を牽引してきたフィデル・カストロが2008年に引退し、弟ラウルによる変革が進むいま、人々もそれぞれ新しい段階の自由を得ようと、したたかに、楽しそうに、そして必死に日々を生きているように見える。
今回の展示は、『Cuba Libre』の続編として、変わりゆくものと変わらぬものを強く意識した、首都ハバナとサンティアゴ・デ・クーバでの撮影記録である。

作者プロフィール

安達康介(あだち・こうすけ)

1973年京都府生まれ
中央大学国際経済学科、日本写真芸術専門学校報道写真科を卒業
出版社スタジオを経て、フリーランスフォトグラファーとして雑誌・書籍などで活動中

個展

2004年 「Cuba Libre」  ニコンサロン新宿・大阪
2007年 「洛中洛外景」 ニコンサロン新宿・大阪

グループ展

2006年、2007年、2008年 「ヤング・ポートフォリオ展」 清里フォトアートミュージアム

展示作品

カラープリント A3ノビ~A2 約45点

作者の制作現場

作者の撮影ノートより

新たな試み

今回、私はこれまでキューバを撮影してきた6×6フィルムカメラを手放し、35mmデジタルカメラのみで撮影に臨みました。構図を作りやすく、上手な写真に見えがちな正方形画面に依存し続けていては、私自身をこれ以上のレベルには持っていけないと思ったからです。しかし、その依存からの脱却は、思いのほか苦しい自分との格闘になりました。
その一方で、15年以上にわたってキューバに足を運んでいる私は、初めて訪れる観光客にとっては分からない、現地の人にとっては何とも思わない、この国の小さな変化に気付くはずだという自負があり、自分ならそれを記録できると信じて全力を注ぎました。

最も印象に残ったこと

米国による経済封鎖が続いているにもかかわらず、様々な規制緩和政策により、予想を上回るスピードで変化が始まっていたことです。
スマートフォンやタブレットを手に入れ、服装や髪型がオシャレになった若い人々。飲食店の接客レベルの向上、観光商売のためにピカピカに塗り直されたクラシックカーの激増。外国からのモノは明らかに増え、持つ人と持たない人、都市と地方の格差は広がっていました。この国を窮屈だと思い、出ていった友人知人も何人かいました。
2000年代までは、街を歩けば、「そのTシャツと靴をくれ」「宿の石鹸をとってきてくれ」と、人々があいさつ代わりに声を掛けてくるのが日常だった国が、加速度的な変化とイデオロギーの維持にどうやって折り合いをつけていくのか、これからも目が離せません。

今後の作品制作について

今後、米国の経済封鎖が完全に解かれ、グアンタナモ基地が返還され、国交が正常レベルになったとしても、革命前の米国主導の体制に戻ることもなければ、クラシックカーがこの国から姿を消すこともないでしょう。なぜなら、もはや米国にかつてのような他国への強い影響力は見られないうえに、キューバの人々の知恵と誇り、生きるためのしたたかさは、生半可なものではないからです。
キューバという国が本格的に変化するのは、おそらく2018年のラウル・カストロ引退以降と思われますが、その変化が首都ハバナだけでなく地方まで及ぶには相当の時間がかかるでしょう。最近よく耳にする「キューバへ行くなら今のうちだ」という一過性の言葉にブレることなく、これからも私なりの視点でこの国の変化を記録し、発表していきたいと思っています。

同時開催

運営終了のお知らせ

当館は2017年1月23日を以って運営を終了しました。長い間ご愛顧いただき、本当にありがとうございました。

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