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展示スケジュール
2013年8月の展示
髙塚陽一 写真展「川の記憶 ~ヒロシマ 今も忘れない~」
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髙塚陽一 写真展「川の記憶 ~ヒロシマ 今も忘れない~」

展示内容の詳細


作者の撮影ノートより

新たな試み

今のひろしまの姿から68年前のあの日へと、写真によって結びつけようという試みは、これで3度目となった(2005年「光と影の軌跡 60年目のひろしま」、2009年「過ぎ去りゆく時 ひろしま」)。いずれも、「記憶の風化」を問題提起しつつ、今のひろしまをありのままに切り撮った。わたしの思いは、あの惨劇を「忘れてはならない」「風化させてはならない」ことに集中した。しかし今回の作品は、結果的に真逆なアプローチとなった。
ひろしまを撮影し、ひろしまに住む人々とふれあう中で感じたことは、彼らがヒロシマを、まるで絶えることのない川の流れのように、自然な形で覚え続けているということであった。ヒロシマを忘れることなどあり得ないという自然体の姿がそこにあった。市内の様々な場所に、花や水が絶え間なくひっそりと供えられ、常に祈る人々の姿があった。ならばその彼らの姿を『何か』によって映し出せはしないだろうかと、今回の試みが始まった。

最も印象に残ったこと

広島市内を流れる川をすべて歩き尽くして感じたことは、その川がひとつの島を常に指さしているかのように感じられたことだ。その島は「似島」。被爆した人々が舟で運ばれ、終焉を迎えた島である。ゆっくり流れる川、舟もたぶん、その流れと同じように、ゆっくりと「似島」に向かったことだろう。舟に乗せられ島へと運ばれようとしている人々の心の内は…。
広島市内を流れる川は、一本の川(太田川)から分かれて海へと注ぐ。その分岐点から海までは、徒歩でも一日で往復できるほどの距離である。下流に近づき、海の香りを感じる時、必ず見えてくるのが「安芸小富士」と呼ばれる「似島」である。撮影に疲れた体と心に、その優雅な姿は心地よい癒しを与えてくれた。
あの日運ばれていった一万を超える人々が見た「安芸小富士」は、今わたしが見ているそれと同じ姿であったであろうか。
しばらくして「似島」に「千人塚」が建つ。

今後の作品製作について

わたしは、ヒロシマを生涯の課題として定め、いくつかのテーマを撮り続けている。そのひとつが「70年目のひろしま」である。「60年目」を撮影している際、ある老女が、「70年目はないからね」とつぶやいていた。戦争とは、自然災害と異なり、人の手による業である。それゆえに戦争は、人がその惨事から学び、記憶し、再び繰り返さないことを誓い、その思いを継承していく限り、二度と起こりえないはずである。しかし人は、決してその誓いを永続的に保とうとはしない。風化させてしまう。老女の「70年目はない」とは彼女の生命のことだけではない。まさに「その誓い」までもがなくなってしまうのではないだろうか。わたしには、そのような意味が込められているように感じられた。だからこそ、たとえ「被爆体験者」がいつの日かいなくなったとしても、わたし自身の限りがくるまで、80、90年目…と、「風化」と戦い続けていこうと願っている。

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(最終日は15:00まで)
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