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大石芳野 写真展


作者コメント

旅をしていてもっとも嬉しいのは、人びとの屈託のない笑顔に行き会ったときです。ああ、この地を訪ねてよかったと、心から思います。旅の緊張感が和み、人びとに親近感を覚えます。その地の人びとが皆すてきに見えてきます。たとえ彼らは単に何気ない笑みを浮かべただけかもしれないとしても。
心からの笑顔というのは本当に魅力的で、吸い込まれそうにさえなるものです。そうかと思えば愛想笑いや軽蔑の笑いなどもあって、笑みはなかなか曲者(くせもの)なのかもしれませんが。
いろいろな笑みに遭遇しながらもとりわけ胸を打たれるのは、悲しみをこらえて見せる表情です。お愛想でも何かの打算があるわけでもなく、単に相手を自分の内なる闇に引きずり込んではいけないといった配慮からなのかもしれません。もしも誰もいなかったら大声で泣いているのでは・・・。そうした人たちの思いがけずこぼれてしまった涙や苦痛の色には、言葉を超えてわたしに強く迫ってくるものがあります。
それでも笑みをたたえようとする健気さに、わたしはこれまでどれほど勇気づけられ教えられてきたことでしょう。親しみを増せばその分笑みも多くなりますが、状況によっては逆に遠慮なく闇を垣間見せることもあります。それだけに笑みに胸を打たれるのです。
このごろつくづくと思うのは、笑みとは人間が生きているあかしともいえるのではないかということです。そんな思いも込めて今回は、わたしが歩んできた写真家人生のなかで、1971年から2010年にかけて出会った人びとのさまざまな笑みを約50点集めて展示することにしました。お立ち寄りいただければ幸いです。

作者略歴

大石芳野(おおいし・よしの)

東京都出身。写真家。
日本大学芸術学部写真学科を卒業後、ドキュメンタリー写真に携わって今日に至る。
戦争や内乱が残す不条理に傷つき苦悩しながらもたくましく生き続ける人びとの姿をカメラとペンで追う。
2001年に写真集「ベトナム凛と」で土門拳賞、長年の活動に2007年エイボン女性大賞、同年紫綬褒章などを受けた。写真集に「パプア人 いま石器時代に生きる」「ワニの民メラネシア芸術の人びと」「沖縄に生きる」「夜と霧は今」「カンボジア苦界転生」「HIROSHIMA 半世紀の肖像」「コソボ破壊の果てに」「アフガニスタン戦禍を生きぬく」「コソボ絶望の淵から明日へ」「子ども戦世のなかで」「〈不発弾〉と生きる 祈りを織るラオス」など。2011年3月に「それでも笑みを」を出版予定。

展示作品

カラープリント 全紙~全倍 約50点


アクセス

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