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亀山哲郎 写真展


作者の撮影ノートより

新たな試み

今回の展示作品は、すでに様々な印刷媒体で発表されたものが大半ですが、未発表のものも含め新たに暗室作業を見直し、色調、トーン、印画紙を再考し、現在の自分に合致したイメージを追い求めました。
再考を強く促してくれた大きな要因として、今回使用した印画紙との出会いがありました。アナログ時代から印画紙選びには極めて慎重でしたが、デジタル時代となり、なかなか意にかなう印画紙が見つけられず、試行錯誤を繰り返してきました。印画紙とは色域や濃度域の再現能力ばかりではなく、その質感や手触り、そして特有の風合いといった数字では表せぬ主観的な要素も多く含まれます。
気に入った印画紙を十全に使いこなすためには、プリンタとの相性をも含め、印画紙のICCプロファイルを自作せざるを得ませんでした。オリジナルプリントにこそ、作者の意志が最も色濃く反映されると考えているからです。

最も印象に残ったこと

1987~2004年の間に十余度ソビエト・ロシアを訪問。延べ日数約400日の滞在で、印象に残ったことを数え上げれば枚挙にいとまがありません。その間の様々な出来事は拙写真集や拙エッセイ集で述べてきましたが、やはり禁断の地ソロフキ島(ソロヴェツキー諸島)に外国のカメラマンとして初めて足を踏み入れることができたことです。
二十数年間抱き続けてきた、この地を訪れたいとの思いが新生ロシアになり、やっと実現できたことです。ソビエト時代、負の遺産として隠蔽され続けてきた虐殺の地ソロフキは、人類の類い稀な宗教的遺産として1992年に世界遺産登録されましたが、スターリンはこの傑出した中世の宗教施設を強制収容所の第一号として組織的に稼働させたのです。
壮大で美しい聖地ソロフキ・クレムリン(城砦という意)とそこで行われた人智を超越した残虐非道な所行との甚だしい相克を如何にして自分のものとして受け入れるかに戸惑いを禁じ得ませんでした。

今後の作品制作について

大上段に振りかざすようなものは何もないのですが、大切にしていきたいものは「日々の発見」です。身の周りにある美しいものの発見、と置き換えてもいいでしょう。そのような被写体に対峙し、年相応のたたずまいを表現することが写真の妙味であり、また醍醐味であるとも考えています。
そのためには何ものにも囚われぬ自由な心を保ち、精神を解放しなければと自分に言い聞かせています。
A.アダムスの言葉を借りれば、「ネガは楽譜であり、プリントは演奏」に従い、良い写真に良いプリントを心がけ、今後の作品作りに臨んでいきたいと考えています。

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