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古屋行男写真展


作者の撮影ノートより

撮影の前に

私が育った、本郷、根津界隈の町とそこに暮らす人が好きで、撮り続けています。武蔵野台地の東端にあたる地形は台地と低地の境界線上の町で、山の手と下町が交じり合い、実にさまざまな人たちが暮らしています。 町の大通りは高層ビルが連続壁のように建ち並んでいますが、一歩中に入ると狭い路地や歴史を感じる社寺、木造旅館、銭湯、商店街があり、昔の町並みが残っています。暮らしている人は家に住むというより、町に住んいるなあと想います。町の大通りではすれ違う人を気にも留めなかったのに、坂道や路地の町に入ると、いつのまにか出会う人や暮らしを撮っています。

最も印象に残ったこと

こんにゃくえんま商店街にある白鳥砂糖小売専門店のおばあちゃんは、竹を割ったような気質、私がカメラを持って初めて店を訪れた日、「この前何とかいう写真家が家を撮らしてくれって言うから電気を消してやったよ、何?違う?氷砂糖がほしい・・・」こうして始まったおばあちゃんとの出会い。「あんたどこの人、なに本郷、地元じゃないか、写真が撮りたいんだろ、二階でも奥でも上がって好きにしな、違う、私を撮りたい、あんた変ってんねえ」「また来たのかい、そんなに撮ると影が薄くなるよーお嫁に行くんだからやめとくれ、写真ばかり撮って食べていけんのかい、おっかあ大変だな、今度連れて来な」相手の気持ちが分かり、気持ちを率直に出す白鳥のおばあちゃんは、腰が悪化して入院中です。

作品エピソード

不忍通りにある伊藤風呂店(屋号)に立ち寄ると、四代目の宮原さんが仕事をしていて、鉋で削るサワラの白い木肌の美しさ、鋸で切り進む直線、風呂板を継ぐ鋼釘を打ち込む独特の符丁に聞き惚れたり、飽きることがありません。 そんな伊藤風呂店の娘さんが伝統を受け継ぎ、仕事を始めてから、仕事場の雰囲気が変わりました。親譲りの丁重で手抜きのない仕事はもちろん、 なによりも女性らしい美しい桶が生まれています。 大木のサワラを枯らして柾目を割り出し、受け継いだ技と道具で手間隙を惜しまず作り上げ、引き渡すときは自分の子供のように気を遣っています。 明るくて目の輝いている桶一心の五代目は、町の人に好かれ、通る人が声をかけていきます。

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アクセス

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