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竹田武史写真展


作者の撮影ノートより

新たな試み

日本の文化だといわれるものが、じつは他の国からやってきたものであったりすることは意外に多いのではないだろうか。僕は、それら日本文化のルーツを物語性のあるテーマで辿り、記録することをライフワークにしています。自国の文化のルーツを辿ることは、遠い異国の存在を身近に感じたり、思いがけない発見や感動に出会うきっかけを与えてくれるばかりでなく、それらの発見を通して物事の本質や原点にまで迫ることができ、ひいては自分自身を知ることに繋がっているとも感じています。今回のテーマ「茶馬古道」は、世界の茶の原産地といわれる中国・雲南の森で採れた茶を、馬やラバの背に積んでチベットまで運んだ古代交易の道です。長く険しいこの道を辿ることで、日常茶飯となった茶の魅力を再発見してみようというのがこの旅の試みでした。

最も印象に残ったこと

「茶馬古道」の撮影を進めるにあたって、僕は、まず、雲南の森に「茶樹王」と呼ばれる茶の古木を探すことから始めました。巨大な瀑布が流れ落ちる絶壁を這うように登り、鬱蒼と茂る密林の中を何時間も歩き続けたその先に、樹齢2700年といわれる茶の古木は聳え立っていました。樹高20mを超える大木と向き合い、その荒々しい木肌にそっと手で触れてみた時、茶樹の持つ不思議な生命力を感じずにはいられませんでした。また、「茶は薬である」という中国の古い記録にも素直に頷くことができました。古代の人々が茶の木に抱いたであろう畏敬を、僕もその時に感じたからです。

今後の作品制作について

日本の日常からは想像もつかないたくさんのことが、ルーツを辿る旅から鮮やかに浮かび上がってきます。とりわけ中国の広い国土には、はるかな昔から稲作、漁労、採集を生業とする人々が暮し、日本の原風景ともいえる世界が今もまだ残っています。かたや急速な経済発展とともに、それらの原風景がものすごい勢いで失われようとしていることも現実ですが、僕はまだあきらめていません。たとえわずかでも原風景が残されている限り、通い続けて撮影を続けるつもりです。先の時代を生きた写真家たちが示してくれる、「時代を超える記録性」を信じることで、写真家として生きる使命を感じ、勇気付けられる気がしています。

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