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大丸剛史写真展


作者の撮影ノートより

新たな試み

よく、街を歩く。繁華街でもおしゃれな街でもつかみ所のない住宅でも、いろいろな街を歩きたい。何時間か歩き続けていると、不意に遠近感や現実感がなくなっていくことがある。街から現実的な役割や意味が剥がれだし、それまで見えなかった状況や細部が炙り出されるように見えはじめる。
そういった状況を写真に収めたいと断続的にさまざま試みた結果、一昨年に大判カメラを使い出した。見上げているのに正対しているように写る大判カメラ特有のアオリ効果が得られ、立ち止まってからセッティング完了までに時間がかかることで「なぜここに惹かれたのか」を考えることができるようになった。
また「箱」シリーズにおいては、遠近感や現実感から一時的に解放されるべく、地上を構成する基本的な秩序である「空」「地面」を画面から排した。

最も印象に残ったこと

三脚を使ってじっくりと見ながら撮ってきたつもりだったが、仕上がったプリントを見てから発見する街の表情やディテールは本当に多い。役割や生成過程は分からなくても、やはり人間の生活のために在るものたちなのだ。
もちろん自分の観察力のなさにがっかりもするが、同時に、常に街が見せてくれる新しい何かを知ることは喜びであるし、そういった「街の奇跡」は私を次の撮影に駆り立てるには十分だ。

今後の作品制作について

都市や人間の営みについて、もっと知りたい。写真は絵画や建築のようにゼロから作っていくのでなく、元々ある世界を受け止めるものなので、自分のアプローチから予期しないものがひっきりなしに 画面に飛び込んでくる。世界は自分より大きな存在なので、能動的にも受動的にもなれる写真は絶好の媒体だ。
私は、常にいくつかのシリーズを並行している。柔軟な発想が苦手なので、ひとつのシリーズだけを続けていると、どんどん視野の狭いものになってしまう。 いくつかのシリーズを並走させて、相互に影響を与え合っていくようなやり方が、自分には合っている。ただ、撮影を重ねる(時間が過ぎていく)ごとに、ぼろぼろと抜け落ちていくものや、通り過ぎていくものの存在を背後に感じている。振り向いたら姿は見えないが、彼らの存在を無視することはできない。

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