content

潮田展子写真展


作者の撮影ノートより

撮影の前に

ダンプス村は、ポカラから車で山道を2時間ほど揺られて辿りつく、アンナプルナサウスの麓の村です。この村の素朴な佇まいに惹かれて、旅を重ねるようになりました。村人とも次第に顔見知りになり、お茶や、食事に呼ばれるようになりました。まるで故郷へ帰ってきたような心地よさを覚えます。どうしてこんなにもこの村に惹かれるのでしょう。答えは簡単に見つからない。その答えを探すように、またダンプス村へ向かうことになります。最初に訪れて、カメラを向けた乳飲み子は、もう小学校へ通うようになりました。この村の普段着の生活、佇まいを旅人の目線ではなく、生活者の目線で切り取りたいと思っていますが、結果はいつもその思いをうらぎります。

最も印象に残ったこと

私がダンプス村へ行くと、ギャネダヤ小学校の校長先生をはじめ、先生方や父母会会長さんが生徒を引率して宿へ尋ねて来てくれます。私だけではなく、友人から託された僅かの寄付を学校へしているからです。子どもたちは、マリーゴールドの花輪を私の首にかけてくれます。花輪がたくさんかけられると首がしなる程で、まるで女酋長のようになります。マリーゴールドの花は、ヒンドゥの神様に捧げる聖なる花です。この寄付で、学校に初めてトイレが3つ、水道タンクが1つ出来ました。ある時思いたって、こちらから学校を訪問しました。子どもたちの足で30分だというのに、なんと片道2時間半もかかりました。橋のない川は、浅いところを石伝いに渡渉しました。学校には、電気がありません。晴れていてもうす暗い教室ですが、近々電気がつくようです。

作品エピソード

最初に、ダンプス村へ行った時のことです。臙脂のビロード服を着て、首飾りを掛けた、おしゃれなおばあさんに写真を撮らせてもらいました。彼女は険しい顔で、カメラを睨みました。「スイート」といって、手を伸ばすので飴を渡しました。翌年、彼女に写真を渡すと、「自分が死んでも、この写真を見て、子どもや孫たちが思い出してくれる」と涙をこぼしました。それからは、毎年このおばあさんを撮っています。ある年には、「息子がいい写真だと言って、持っていってしまったからもう一枚貰いたい」と言いました。写真を撮って翌年持って行くと、何人かの老人が亡くなっています。村人との一期一会を繰り返し、素顔な写真が撮れたらよいと思います。

作者の製作現場からトップに戻る


アクセス

アクセス
〒160-0022
東京都新宿区新宿3-26-11
新宿高野ビル4F
JR新宿東口、地下鉄丸の内線「新宿駅」A7出口から徒歩1分(フルーツの新宿高野4F)

ページトップへ戻る