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石川琢也写真展


作者の撮影ノートより

新たな試み

撮影の舞台となった奄美・沖縄の島々は、これまで何度も短期の旅行で訪れていました。そのような旅のスタイルから一歩踏み込んで、より長く滞在する中で何が見えてくるのかを知りたい。そして、南方の風土に惹かれ続ける理由をより濃厚に感じたいと思い、比較的長期の旅に臨みました。それを写真に捉えるためには「見ること」そのものに重点を置いた方が良いと思い、カメラ機材は準広角レンズ1つのシンプルな構成にし、眼差しを記録する感覚での撮影行為を大切にしました。旅の初期の段階では、自分でしか撮れない写真を撮ろう、いわゆる南の島のイメージの写真は避けよう、という意識を抱えながら撮影に臨んでいました。しかし旅が進行して行く中で、島々の風土の強さ、そしてそこに住む人々の存在に触れるにつれて、頭で考えたりルールを決めて撮影するのではなく、素直に自分の心に反応した被写体を撮るように変わっていきました。

最も印象に残った事

写真の内容ではなく旅行為自体の印象として、奄美諸島から八重山諸島までの島々を連続して南下して行く過程で、島の風土、暮らしを営む人々の様子、民俗性が徐々に変容して行く在り様が強く心に残っています。都会的で均一的な暮らしが当たり前になった日本の中で、風土に根ざした暮らしや景観が島ごとに個性を保って残っていることに、安堵感のようなものを感じました。この印象は以前までの旅でも断片的に感じていたことですが、連続した移動を続けた中で、強固で持続したエネルギーとなって姿を現したことに静かな興奮を覚えました。この旅から帰りすぐさま異なる地への旅に出発したため、写真のコンタクトを見ることが出来たのは3ヶ月後の2009年の初めでした。そこで初めて約2000カットの写真を一度に目にしたとき、旅の最中に感じた静かな興奮が冷めること無く再生されたことにも驚きました。

今後の作品制作について

南下行の旅の中で出会い、もっと深く知りたいと感じたテーマや特定の人物について、スポットをあてて撮影に取り組みたいと考えています。また、奄美・沖縄とは別の舞台での写真行為にも取り組みたい。僕にとっての写真の魅力の一つは、言葉では説明しにくいとしても惹き付けられる何かを捉えることができることです。その何かを限定するのは難しいのですが、生と死であったり、写真や音楽をはじめ様々なものが実体の不確かで希薄なデジタルデータに替わっていく時代の中で、より一層魅力が際立つような確かな存在に特に惹かれます。撮影の際には邪魔な意識はできるだけ排除して心に反応したものを撮影し、撮影後は1つ1つの写真を確認し、何故この被写体に惹かれたのか?撮ったのか?を考える一連の行為を繰り返して行きたい。それによって、写真でしか表現出来ないものを追求していけたらと考えています。

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