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パラリンピック報道写真展


作者の撮影ノートより

新たな試み

初めて手にする、ラッパのような大きなレンズ。普段はアジアで子どもたちを撮影している私にとって、スポーツの国際舞台は初めて足を踏み入れる世界。ずっしりと重いレンズを抱えて、競技場の熱い戦いに視線を注ぐ。選手の動きはとにかく早い。最初はその動きを追うことで、精いっぱいでした。それでも日を追うごとに、考えるようになりました。この選手が、一番かっこよく見える光はどこだろう。どんなときに、素敵な表情をしてくれるのだろう。機材は変わっても、撮るときの心構えは変わらないことに気付きました。

最も印象に残ったこと

「いい写真」って、何だろう。その答えをパラリンピックの舞台で、得た気がします。私が最も多く足を運んでいたのは卓球、その中でもヨルダンという国から来た、車椅子の女子選手たち。イスラム圏から来た女性たちが、世界の舞台のトップクラスで戦う姿には、惹かれるものがありました。団体戦準決勝で負け、肩を落とした次の日、彼女たちは接戦の末銅メダルを獲得。私もカメラをのぞきながら、目頭が熱くなりました。メダルセレモニーの後、彼女たちに写真を渡しに行くと、試合に勝ったときと同じくらいの輝いた笑顔で、ずっとそれを眺めてくれました。「いい写真」とは、そこに写っているその人が、心から喜んでくれるような瞬間をとらえたものかもしれません。

今後の作品制作について

写真にできることは、何でしょうか。北京で過ごした15日間で、光の使い方など、技術的な面で得るものがあったことはもちろんです。しかしそれ以上に、写真を撮る「人」として、大切なことを学ばせてもらいました。パラリンピックは、私が日本で思い描いていたものとは、随分違っていました。単に「障害者スポーツ」としてくくられがちのこの大会ですが、私たちが目の当たりにしたのは立派なアスリートたちの、限界への挑戦でした。だからこそ彼らのむき出しの感情を真摯に受け止め、写真に封じ込めて持ち帰りたいと思ったのです。この写真展は、来て下さる皆さんが素敵なアスリートたちに出会うチャンスです。写真は世界への「のぞき窓」になります。その「のぞき窓」を作れるのは、実際に現地に足を運んだ人間だけです。これからも、私が出会うたくさんの人たちを、写真でつなげていきたいと思います。

文責:安田菜津紀

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