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松本徳彦写真展


作者の撮影ノートより

舞台写真へ

来日する海外の舞台芸術家を撮り始めたのが1955年。スパニッシュからパントマイムのマルセル・マルソー。ボリショイバレイ団からパリオペラまで、マーゴ・フォンティーン、マイヤ・プリセッカヤ、ジョルク・ドン。また、モダンダンスのマーサ・グラハム、アルビン・エイリー、モスクワ芸術座、シエークスピア劇団、ドイツオペラなど、数多くの名だたる世界の舞台芸術家を撮ってきた。そして日生劇場、劇団四季では専属として、25年間撮影を続けてきた。なかでも、水谷八重子さんや越路吹雪さんとはいずれも長い付き合いをし、舞台から私生活までを撮影。その集大成として、写真集でまとめた。

越路さんの魅力

越路さんは、日生劇場という豪華な劇場に相応しいスターである。幕が上がりスポット・ライトが当たると、イヴ・サンローランやニナ・リッチの華麗な衣装をまとった姿が浮かび上がる。そのひときわ輝くその姿に、客席からどよめきがおこる。まさにこの劇場の華といえる存在であった。そして、舞台では歌うというより物語を聞かせるというように、歌の中の人物になりきっていた。そんな歌い方のできる歌手はいない。私は常に歌詞を聴きながらその物語性、演劇的要素を理解し撮影した。越路さんの喜怒哀楽そのすべての表情が溢れでる瞬間であった。
プライベートな場面ではチャーミングそのもの。愛犬と戯れる、雪は好きとはしゃぐ。パリでのお買い物も凄いが、「この毛皮のコート気に入ったわ、街で撮ってよ。」と浮き浮きした表情が印象に残っている。

撮る苦労と喜び

宣伝用の写真はゲネプロで撮ることが多いが、迫真の演者を撮るには公演中しかない。緞帳の隙間や照明用の小窓から撮ることになるが、消音ケースを使ってもシャッター音が気になる。いい表情は意外と音の低いときに多いだけに苦労する。モノクロはともかく、カラーフィルムの感光度の低さはこたえる。2倍増感してもISO500が限界だ。望遠レンズで30分の1秒は辛い。せめて60分の1秒でないと動的な瞬間は撮れない。
私の舞台写真は演じている人物を撮っている。どんな場面かというより、演者がどう演じているかの瞬間を撮るようにしている。それには台詞や歌詞を聴き、理解しなくてはならない。そのため説明的要素は少なくなり、ややアップ気味の写真が多くなる。
デジタルカメラの登場で暗い舞台も撮り易くなった。カメラの進歩に感謝はしているが、それに見合った内容の写真はまだ少ない。私のデジタルによる作品は、これからであると感じている。

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