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柴田のりよし写真展


作者の撮影ノートより

撮影の前に

元々がバックパッカーなので撮影旅行のプロセスそのものが(事務的な雑用も含めて)楽しいです。成田空港の出発ロビーでは毎回、「やっとまた旅立てる!」とワクワクします。情報は事前に中国語サイトも含めネットで調べます。通訳もネット掲示板で募集したりします。一回の撮影は二週間くらいで、帰国後雑誌に持ち込んだり、写真展の審査に応募したりと作業は続きます。撮影は、実際にヒドい目にあったり、大変なことの方が多いのですが、トラブルを楽しむくらいの気持ちでやってます。

最も印象に残ったこと

北京に前門大通りという何百年も続く老舗が並ぶ通りがありました。東京で言えば浅草のような、なんとも情緒のあるいい町だったのですが、昨年訪れた時には大規模な再開発が始まっていて驚きました。五輪を口実に取り壊しも加速しています。土地所有権がない中国ですから、保証金に満足できない場合でも泣く泣く郊外の移転せざるを得ない場合が多い様です。しかし、最近は地元政府を相手に訴訟を起こす人もいて、意識の変化が見られます。ある老舗のオーナーは移転に反対し、建築所有権を豪州国籍の娘に移しました。豪州人の所有物ということで豪州国旗を掲げ、北京市政府と戦っていました。

作品エピソード

チベット、中国などをずっと撮っています。地方には特に多くの問題が山積していますが、農村部の当局者は地元の影の部分を公表されたくないのか、外部の人間に対して極度に防御的でした。一方、現地の困難な目に会っている人たちは、地元で見放され、孤立した存在ですが、外部からの訪問者を大変歓迎してくれます。まだまだ知らない話、知らされるべき話がたくさんある様に思います。

新たな試み

今回の写真展は会場が広いので、ボードで仕切って幾つかの章立てで展示します。中国は成長著しく中産階級もどんどん増えていて、それなりに生活をエンジョイしています。それと同時に「弱勢群体」と呼ばれる社会的弱者も非常に多い超格差社会で、どちらも中国の現実です。両方の人たちをごった煮的に展示しますが、これが私の眼に映った「五輪前の北京」ということです。見に来てくれた方々が、どういった反応を示すか興味深いです。

今後の作品制作について

社会主義市場経済を標榜する中国は矛盾に満ちた社会です。僕が撮影する対象は、中国語で「老百姓(=庶民)」です。自分も日本の老百姓なので、お互い仲良くやりたいと思います。中国と言うと人口が13億で、一つの省で人口が1億人もいたりしますので、なにかというと「中国人は…」とマスの視点で捉えられることが多いのですが、基本的に一人一人の人間の考え方はどこの国の人も大して変わらないというのが僕の信条です。国や体制など大きなレベルではいろいろ思うところもありますが、老百姓の視点でこれからも撮り続けようと思います。

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