プレミオ通信

No.40

2017年1月開催のフォト・プレミオ入賞者決定!

先日、「フォト・プレミオ2016」第4期(2016年8月末締め切り)の選考会が行なわれ、2名が新たに選出されました。今回の受賞者の作品はどのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

小野悠介

小野悠介「島の環」

ここで取り上げられている島とは、伊豆諸島の“利島(としま)”です。島の住人ではない作者に対して、人々がきちんと向き合ってくれているところが見えてきて、なんとも気持ちのいい映像になっていると思います。

「島やローカルなエリアを訪ねて写真を撮るという行為は、ほとんどの写真家が体験していることだと思いますが、そういう写真の多くの例とは違った新鮮さを感じました」

「小さな島がまた少し注目されているのは、やはり、人間の生活の基本的な構造といえるようなものがよく見える場所としてリアリティがあるんだと思います。とてもシンプルで基本的な生活にあこがれる気持ちはみんな持っていますよね。この作品はそういうことへの共感を呼び覚ましてくれます」

住民でも撮れない、単なる旅行者でも撮れない世界がここにはありますね。写真家の存在意義がここに出ていると思います。

「よい意味での、この作者ならではの“軽さ”も見られます。それがこの写真の大きな魅力です。けれどしばらく見ているうちに、もう1回、2回と同じ場所へ行って、もうちょっと深いところが表現されてもいいんじゃないかと思いました。“深いところ”というのはなかなか言葉では言い尽くせないところなんですが、これからも何回か訪ねて行って、ご自身の写真的な成長とともに、また違った“利島”を見せてもらいたいという期待感がわいてきますね」

「やはり何度も行くことによって発見することがある。それが“深いところ”をもたらす内容なのでしょう」

ただ、最初に行ったときの写真を超える写真って、案外むずかしいというのはあります。これが、旅の写真を撮る人にとってのひとつの課題ですよね。

「そうですね。最初に訪ねたときは日常とは違ったものとして見えるんですが、決して特殊なものではないから、二度目に見ると普通に見えてきて、面白いと感じなくなるという“ジレンマ”があります。しかし、その超えたところにこそ新しい発見という、説得力に富んだものが表されてくる可能性もあるのだと思います」

門田紘佳

門田紘佳「1″44」

この写真の内容を誰かに言葉で伝えるのはとてもむずかしい。でも一つ一つにとても引き込まれる作品だと思います。

「これもある意味ではトラベローグと言ってもいいんじゃないでしょうか。旅行していて、そして、作者が動き回っている。ただ、ものの見方が利島を撮影された小野さんとは大きく違っていて、沈静しているんですよね」

「演劇的と言っていいのかもしれません。あえて分類するならそういうことになるような気もするんです。つまり、風景もただの風景ではなく、ストリートスナップも単なるそれではなくて、ひとつひとつがバラバラなピースを集めて組み立てていくことで、現実をそのまま複写しているものとは違う、あるフィクションの世界を見せることになっているのだと思います」

それが、演劇的な構築物を作り上げているような印象になるということですね。

「意味を辿っていこうとすると難解に思えてくるんですが、実際はそうではなくて、作者の伝えようとしているのはもうちょっとエモーショナルなものなのかなと思います。人が生きていて感じる重さとか、耐えがたさとか、実態がつかめないシリアスでネガティブなものではあるけれど誰もが通らなければならないものに対する感情を、とても強く感じさせる内容になっています」

「自分のものの見方を、沈ませて沈ませて撮っているんじゃないかと思います。有名なイタリアのバロック期を代表する画家のカラヴァッジョの絵、あの写実によって象徴性をもたらす画家の絵ですが、それをふと思い起こしますね。つまりは写真の多義性につながる話ですが、それはさまざまな表現を生み出すことのできる方法だということでもあって、写真のおもしろさをあらためて感じさせてくれる作品でもあると思いました」

こういうものが写真になるんだと自信を持って撮っているように思えます。そこに利島の旅との違いがありますね

「ひとつの写真表現の典型、それは演劇的ということにも通じるんですが、自己陶酔的な側面も感じさせられます。利島を撮影された作者の写真は、自分よりも目に見えるものの方が面白いかもしれない、というのが基本的にあって行く旅だと思うんです。それに比べてこの作者の写真は、自分の表現にとりこむための旅をしている、つまり旅が方法になっているところがありますよね」 「展示作のシャッター速度を合算すると2秒に満たない。そんなタイトルにも作者の意気込みを感じるおもしろい作品でした」

フォト・プレミオは、今回をもちまして終了させていただきます。
これまでご応募いただきました多くの若手写真家の皆様に感謝申し上げますとともに、今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
また、長らくご愛顧いただきました皆様、関わってくださったすべての皆様に心よりお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

運営終了のお知らせ

当館は2017年1月23日を以って運営を終了しました。長い間ご愛顧いただき、本当にありがとうございました。

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