プレミオ通信

No.38

2016年7月・9月開催のフォト・プレミオ入賞者決定!

先日、「フォト・プレミオ2016」第2期(2016年2月末締め切り)の選考会が行なわれ、4名が新たに選出されました。今回の受賞者の作品はどのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

中山基司

中山基司「Dear heaven」

電車の中から見えるプールを狙って撮った写真です。車窓越しなので多少ずれたり、ぼやっとしていたりしますが、それも味わいに見えてくるユニークな視点の作品です。

「季節の移り変わりや時間の推移がよく表れていて、定点観測的なんですが飽きさせない写真になっていますよね。それから、日常生活の中で必ず気になる風景があって、それを見ることで日常のルーティンから一瞬だけ抜け出すことができるような空間がとらえられています。そういう普通の生活の中にある句読点みたいな空間を、とてもうまく写しています」

一瞬でしか見ることができない対象があって、そこへの想いみたいなものがうまく伝わってくる作品ですよね。

「電車の中から作者が自分の気持ちを投影して見ているということと、その日のプールの様子からさまざまな興味を与えられるという関係が、このプールを通るたびに繰り返されていて、まさに瞬間をとらえる離れ業なんですが、その連続性に写真でなければ見えてこないものを見つけていると思いました」
「この少しぼんやりとした調子が、そういった情景の表現に効果をもたらしていますね。シャープに写ることだけが写真じゃないことを示す、とても楽しいワンショットにもなっていると思います」

岩淵弓卓

岩淵弓卓「人間の森」

インドの写真はこれまでフォト・プレミオでも多く紹介してきましたが、今回の作品はまた一味違って、目を引く映像になっていると思います。

「インドの都市を“人間の森”と見立てて、人間もダイナミックな都市空間の一部ととらえて撮った作品です。それがとてもスペクタクルで、面白い映像になっていて、人間だけにクローズアップするのではなく、細部がそれぞれ際立ちながら全体として壮大な織物みたいになっているところ、迫力があるなと思いました」
「人間をまるで動かない存在であるかのようにとらえているわけですよね。動きをわざと消している視線でインドの大都会の街路を見つめているところが、いままでの写真とちょっと違うんじゃないかなという気がします」

そうですね。人間も含め、すべてを模様や形として見ていくような、一旦突き放したところで成功していると思います。

「作者が“森”に見えたというのは、人の量ということよりも、都市全体が緻密な構造物になっているように感じたからじゃないかなと思います。都市を行き交う人間が、植生として互いに支え合い緻密に構築された“森”のように見えたのだと思います」

内倉真一郎

内倉真一郎「犬の戦士団」

犬を撮った作品ですが、通常の犬の写真とはちょっと違う、たいへん勇ましい、すこしオドロオドロしい犬の姿がここには記録されています。

「“犬は犬だ”というか、こうした動物の擬人化ということに対する反発や疑問というのが作者の中にはあると思うんです。“人間が飼いならし、家畜化してきた”という犬に対して、飼いならしきれない部分を作者が見ていて、そこに視線をむけているところが面白いと思いました」
「獣としての犬というところに共感してはいるものの、鎖につながれていたり檻に入っていたりするので、必ずしも野性がそのまま発揮されているわけではないですよね。そこばかりを強調するのではなく、あくまでも人のそばにいる犬としての犬を撮っているところがいいなと思いました」

愛玩犬から少し大型の犬まで、いろんなタイプの犬に注目していて、撮り方もいろんな視点から撮っていますね。

「人間がまったく登場しないというところもとても面白いなと思いました。犬に密着しているというか、犬そのものに迫っていて、しかも光の使い方がとても巧みなので、写真映像としてもたいへん魅力のある表現になっていると思います」

増田貴大

増田貴大「車窓の人々」

新幹線の車窓から流し撮りをしたという作品です。流し撮りということで、見せたいものだけが際立ってくるという映像的に面白い効果が発揮されています。

「ちょっと高いところから見ている視線がそうさせるのかもしれないですけど、車窓から見える人間の姿やその営みを愛おしく思って撮っているというのがいいですよね」
「撮っているときはそこまで考えず無数にシャッターを切っていると思うんです。だから、この作者の場合は、あとから選択することも写真行為になっているんでしょうね」
「人が無意識のうちにしている姿勢や仕草が一瞬止まっていて、そういうものは写真じゃないとなかなか見ることができないものだから、本当に写真らしい表現になっています。人間を撮るとなると相手の同意を得るのが一般化してきている最近ですが、この作品ではカメラをまったく意識しない人間の営みや行為がよく写っていて、そこが面白いと思いました」

コンセプトを立てて始めたことじゃなく、撮っているうちにこの面白さを発見したんじゃないかなという気がします。

「新幹線なのでローアングルは狙えず、接近した写真も撮れません。この間合いにならざるを得ないんですが、その条件をうまく生かして、よくできた写真になっていますよね」
「肉眼では決して見ることのできない世界ですね」

運営終了のお知らせ

当館は2017年1月23日を以って運営を終了しました。長い間ご愛顧いただき、本当にありがとうございました。

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