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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2013 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
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FOTO PREMIO NEWS No.25

2013年4月・6月開催のフォト・プレミオ入賞者決定!

先日、「フォト・プレミオ2013」第1期(2012年11月末締め切り)の選考会が行なわれ、4名が新たに選出されました。今回の受賞者の作品はどのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

高橋智史「トンレサップ -湖上の命-」

カンボジアの水上生活をしている人々を捉えたカラー作品です。その暮らしの中に作者が入っていって撮っていることが実感させられる映像です。

「一見するとそれほど目新しい感じではないんですが、じっくり見ていくと、エキゾチシズムではなく、現在進行形のまさに私たちが生活している時間軸の中にこうした生活空間があるということを認識させられますね。そういう現実感覚を強く感じます」

「作者の目が、特異なものを探しているのではなく、普通の時間をきちんと見ようとしていて、新鮮な印象を持ちました」

水上ですけど、本当に“地に足をつけて”撮っている、それが写真から伝わってきますね。

「パッと行って撮った写真ではなく、現地にベースを置いている人ならではの深いところまでの入り込み方がわかる作品です。かけてきた年月が写真に力量として表れていると思います」

「臨終の場に立ち会うところまで信頼されていますよね。さらに、赤ちゃんの誕生のシーンもあって、それらがすばらしい対比となり、生と死が繰り返される輪廻のような世界がドラマを生んでいると思います」

「写真としては、伝統的な報道写真の視点によるオーソドックスなものなんですが、しっかりとしたカメラワークだと思います。そして何より写真的な新しさというのではなく、視線の誠実さにも好感が持てました」


瀬頭順平「西海岸」

西海岸というとカリフォルニアを連想してしまいますが、作者のいう「西海岸」は大阪の西にあるビーチのことで、そこで撮影した作品です。

「大阪の西海岸とウエストコーストの掛け合わせというのも関西らしいエスプリが利いていて、いいですよね。大阪近くならではの海岸という、とても面白い鉱脈を見つけて、そこに通い詰めて深く入り込んで撮っていると思います。本当に人々のいきいきとした姿を捉えていますよね」

「パッと見るといい感じのビーチなんですが、駅だったり、背景の工業地帯だったり、いかにも都会近くの海岸だなという、そのシチュエーションもとてもいいと思います」

笑えるような写真ばかりでなく、人の仕草だったり機微だったり、そういう部分を逃さないで撮っていますよね。

「最初は、出合い頭に無造作にたくさん撮りためたような印象でしたが、二度三度と見ているうちに、とても上手に構成されているんだなと感心しました。被写体との距離感を保っているので、あまり風俗的な感じになっていませんね。頭の中にきちんと全体像があって、かなり作為的に考えて撮られているんじゃないでしょうか」

「作者のコミュニケーション力とどこか冷静に見ている部分との両方が、いいバランスで写真に表れていますね」

「そうですね。この場所特有の“ノリ”みたいなものが確かにあって、それが表現されているとも思うんですが、ただそれだけじゃなくて、入っていながらも一歩どこか冷静に見てしっかりと撮られていると思います」


街道健太「Achromatic」

フォト・プレミオではこれまでもモノクロで“街”を捉えた写真を紹介してきましたが、この作品に関しては、またひとつ違う世界が展開されているように思います。

「独自の美意識というか、グラフィカルなセンスを感じますね。街を歩いていて断片を撮ったスナップショットが多いんですが、その中にはあまり見たことがない新鮮なアングルや構成があって、一枚一枚の写真が目にとても鮮やかなインパクトを残してくれました。そういうものを切り取る能力にとても長けた人なんだなと思います」

行けば見えてくる光景を捉えた写真がある一方で、この作品は、行っても作者にしか見えてこない世界を捉えているのではないでしょうか。

「確かに、何も気づかずに通り過ぎてしまいそうな光景ですよね。“いつも目に入っていながら見えなかった世界”というんでしょうか、作者はその中から何かを見出して切り取る能力に優れていると思います」

「あらためて“街”というものが創造力を生みだす宝庫だなと感じられる、とても能動的なスナップですよね。そういう姿勢で撮ると、街にはまだまだ掘り返さなければいけないものがたくさんあるなという感じがして、スナップの楽しさや可能性をあらためて想像させられました」

「それと、一見するとありそうな写真なんですが、よく見てみると似たものがありませんよね。そんなところからも、何かすごく新しい感じがしました」


久保圭一「あるべきようわ」

とても面白いタイトルの作品ですね。作者が和歌山県の那智勝浦に住んで撮られたという写真です。

「最近は全国どこへ行っても風景が均質化されているとか、子どももみんな同じ顔になったとか言われていて、現実にもそう感じることが多いんですけど、この写真を見ているとそんなことはまだまだないような気がします」

「ステレオタイプの風景として、ともすればこの小さな漁村に対しても見ることができると思うんですが、そう見えないのは、作者が些細な違和感というか差異をきちんと発見しているからでしょうね。風景の中にある差異を探し出す目がとても細やかで優れているなと思いました」

この場所自体とても魅力的ですよね。日本の地方の本来の姿というか、均質化している中にあってこの独自な感じは奇跡的だとも思います。

「過疎化をはじめ、地方が抱えるさまざまな問題がここにもあると思うんですが、写真からはそうした暗さではなく幸福な感じが伝わってきます」

「作者のカメラワークが魅力的で、人の絶妙な入り方だったり、ちょっとしたユーモラスな視点だったり、これだけの枚数で見ていながら飽きさせない軽妙さがあります」

「ただ称賛しているんじゃなく、ちょっと一捻りあるというか、独特の“エスプリ”みたいな視線もこの中にはありますよね。ドアノーだったりカルティエ=ブレッソンだったり、ヨーロッパの古典的な写真家の、人に向けた優しい目にもちょっと似ているような気がしました」


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