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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2012 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
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FOTO PREMIO NEWS No.24

2013年2月・3月開催のフォト・プレミオ入賞者決定!

先日、「フォト・プレミオ2012」第4期(2012年8月末締め切り)の選考会が行なわれ、4名が新たに選出されました。今回の受賞者の作品はどのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

横島清二「Delhi」

ワイドレンズを使って、インドのデリーの街角をスナップした作品です。私たちがいままで見たことのない“インド写真”になっているんじゃないでしょうか。

「インドはこういう場所だ、というようにイメージを押しつけてこないところがいいですよね。インドやアジア固有の雰囲気を写そうと思っているんじゃなく、何か面白いものを探し出そうとしている茶目っ気のような部分があって、それが写真にいきいきとした感じをもたらしていると思いました」

「インドの下町のリアルな空気を、演出し過ぎない軽やかなスナップワークで撮っていて、この場所に歩いて入っていくような感覚が味わえる写真です。また、ちょっとした面白さを混ぜながら撮ることで、シリアスになり過ぎない街歩きの楽しさも伝わってきて、とても好感が持てる作品だと思いました」

インドというと哲学者みたいな人ばかりが出てくる印象ですけど(笑)、ここにはあまり登場していませんね。

「日常生活の表情があって、これがきっと庶民のリアルな姿だと思います。写真の色が何もいじっていないストレートなカラーだということも、すごくリアルに感じられる要因じゃないでしょうか」

「それから、視点が低いですよね。見下ろすという視点ではなく、カメラの位置を意図的に下げているように思います。それが相手に対する“思いやり”のような気持ちとして画面に表れているような気がします」


松岡正豊「街を泳ぐ」

とても印象的なタイトルですが、作者がカメラを持って街の中をまさに“泳ぐ”ように撮影した作品です。

「体当たりで街の中に入っていって、かき分けながら撮っているような肉体的な写真で、ストリートスナップの一番力強い部分を感じさせる写真だと思います。また、東京をかなり広範囲に撮っていて、いろんな街の断片によって現在の東京の姿が浮かび上がってくるようにも感じられました」

「いわゆる“現代人”の考え方の基本に、希薄になってしまった他者との関係を、濃密な関係に取り戻していきたいという理想があると思うんですが、こうした街中のスナップショットは、そんな理想への枯渇感が表現されているが故にいつも必要とされて、人々の興味を常に引きつけているんじゃないでしょうか」

撮影者本人の焦燥感みたいなものも表現されているような気がします。

「都会の大きな街の中には、他者を認めないというか、肩も触れないように歩いている人々がたくさんいて、それをそのまま見せられている感覚があるから、いわゆる“楽しい写真”ではないですよね。先述のインド=デリーの写真が、出会った人ともう少し話がしたいという気持ちで撮られているのに対して、こちらは撮った瞬間に頭を軽く下げて去っていくような、まったく逆の方向性を感じます。ともに両極にある“いま”の私たちの世界が表現されているんじゃないでしょうか」


小林千裕「Scene of London」

通常のカメラに比べ、トイカメラの“写らない”ところを逆にうまく使って撮影した作品です。加えて、言葉がとても面白いというのがこの作品の魅力になっています。

「ふつうのカメラがきれいに写るようになり過ぎているから、トイカメラだとふつうに撮ったつもりでも全然違って写っていたりして、意外な面白さを発見することができますよね。つまり、精密なカメラが捉えている世界に対する反発、反作用として生まれてきたという部分がトイカメラにはあって、それを上手に使っていると思います」

「撮ったものが意外性をもたらしてくれるということは、写真の面白さとしてずっとあったと思うんですが、デジタルになってからはそのズレがなくなってきていると思うんです。そういう状況の中で、この写真はとても巧みに“ズレ”の楽しさを表現していますよね」

こういう写真を撮るには相当な頭脳明晰さを必要としますが、それをサラッと見せるすごく洒落たセンスがあると思いました。

「そうですね。ポップなタッチで一見すると軽く撮ってまとめているように見えるんですが、この写真と言葉の組み合わせはものすごく考え抜かれていると思います。しかも、考え抜かれたことを感じさせないような絶妙な言葉をさらりと合わせていて、画面の面白さと言葉の面白さの相乗効果で、すごい力を発揮していると思いました」

「色味に関しても、現実そのものじゃないトイカメラ独特の色によって生々しさが消えているんじゃないでしょうか。その夢の世界のような不思議な色合いが、画面の面白さと相まっていい効果を生んでいるんだと思います」


會田 園「Outland -祝島-」

最近いろいろと話題になっている祝島ですが、作者の視点はそういう問題とは別に、ここにある人々の暮らしや風土を大事に見ていこうというものだと思います。

「いまや有名になった島ですが、そのことは作者がこの土地へ行ってみようとするきっかけでしかなかったと思います。話題の部分への関心というよりも、どこかへ行ってみたいという動機があって、それを話題がいざなってくれたんじゃないでしょうか」

「大きな問題を抱えた場所ではあるんですが、作者はその問題を告発するとか前面に出すというのではなく、ごく日常の生活や島の風土に入り込んでいって、それをとても美しく捉えていますよね。ただ、そんな中にもときどき断片的に、どうにもならない大きな問題が写り込んでいる部分もあって、そこも感じさせる両面の要素が込められた写真だと思いました」

完全に問題を表に出してはいませんが、そこが水面下に含まれていることで、この美しい風景が立ち上がってくるんだと思います。

「自然の風景の中に散見されるものの、その部分だけが典型的に見えてこないところに、かえって問題の大きさ、深さを感じました」

「問題を感じてもらう方法として、さまざまな切り口があると思うんですが、作者はとても静かな語り口でこの大きく深い問題を感じさせる映像を作り上げたと思います。そこがこの作品の大きな魅力になっていると思います」


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