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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2012 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
プレミオ通信 No.21 プレミオ通信 No.22 プレミオ通信 No.23 プレミオ通信 No.24

FOTO PREMIO NEWS No.22

2012年7月・8月開催のフォト・プレミオ入賞者決定!

先日、「フォト・プレミオ2012」第2期(2012年2月末締め切り)の選考会が行なわれ、4名が新たに選出されました。今回の受賞者の作品はどのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

上野 純「東京里山日記」

東京近郊の里山を写したカラー作品です。東京に自然が残っていることをうれしく思い、とても楽しく撮られているのが伝わってくる映像だと思います。

「そうですね。じつに楽しく撮られていて、画面全体が明るく光に満ちている感じがします。自分も東京圏に住んでいますが、東京近郊というかなり身近な場所にこれだけの自然が残っていること自体が驚きでしたね。日本の“原風景”のようなものを身近なところで見せてもらった感じがしました」

「この場所に住まれている方ならではの細かいところまで行き届いた視点があって、外から訪ねて撮った人とはちょっと違う入り方だと思いました」

「気持ちのいい写真ですが、一方で苦労して撮られているだろうなとも思いました。東京近郊にあって、“らしい”風景を探してこれだけのフレーミングをするのはたいへんだと思います」

フレーミングしたすぐ外側に自然が破壊された姿があってもおかしくないですよね。

「たいへんな時代になっている事実に気づかされる写真だとも思うんです。風景や自然の写真というのは、これまでは“癒し”の写真だったけれど、いまでは新しい形の社会的風景の写真としても読まれなければいけなくなったように思います」


さとう わたる「Hibernation」

昨年3月11日に被災されたご両親が作者の都内のマンションに引っ越して来られて、3人での生活が続いているという様子をカメラで淡々と綴った作品です。

「とてもいい作品だと思いました。というのも、マスメディアが伝えられない空間や時間を捉えていると思うんです。テレビや新聞などでは、なかば解釈を強制するようにクローズアップした空間ばかりを見せるような伝え方が多いんですが、この作品のスタンスというのはテレビや新聞では伝えられないスタンスですよね。撮っている人の固有の人格がこうした距離を保って現実を見ている、それがとてもリアリティのある映像として伝わってきます」

3人での生活はこの時点においてはまさにタイトルどおりの“冬眠”なんですよね。

「いつかは来るであろう“春”を待っている、そういう思いを込めて見てみると、伝わってくるものが深い写真になるんじゃないかなという気がします」

「離れて暮していた親子がぎこちないながらもいっしょに暮らしていく、その親子の関係がよく写っている感じがしました。それと、報道などでは伝えられることの少ない、失ってしまったものや、その中から取り戻していくものなどを淡々とした中でもしっかりと見据えている作品だと思います」


新保勇樹「LIKE JUST A DOG」

ロックバンドのライブツアーをモノクロのコントラストの強い画質で捉えた、とても印象的な写真が選ばれました。

「バンドのライブ写真というのはそのバンドのファンしか楽しめないものが多いんですけど、これはそういう写真とはまったく違って、バンドがひとつの匿名の存在として捉えられている気がします。ツアーを追っかけて行きながらもバンド以外の写真を同時進行でたくさん撮っていて、どこか引いた視線で一つの世界をきちんと捉えているところがいいと思いました」

これは写真でしか表現できないものですよね。しかもモノクロでしか表現できない世界がここにはあるような気がします。

「写真のタッチがハードで、ロックの音とか被写体とかにもマッチしていると思います」

「作者は“追っかけ”を装っているけれど、じつは“取材”のスタイルに近いと思います。目が左右によく動いて、いろんなものを見ていますよね。つまり、追っかける行為が“目的”ではなく、ひとつの“方法”になっていると思うんです」

「むしろ、このバンドを自分の作品に利用するしたたかさがあるような気がします。見せ方もとてもうまくて、このジャンルが好きという以外の人にも見応えがある写真になっていますよね」


髙濵大作「さよ子さん」

ひとりの路上生活者の方を数年にわたって撮影したという写真です。その長い交流の中から生まれてきたものが、上手に作品化されていると思います。

「寺山修司の“路上演劇”というのがありましたが、即興性が強くて、脚本が存在していないんじゃないかと思わせる、あのイメージをこの作品から感じました」

「何かを読む興味を掻き立たせるというか、そういう演劇性がこの写真の中にはあって、結果的にそれが出てきているんだと思いますね」

このアプローチは、写真の世界ではそれほど新しいものではなく、昔からある形だと思います。

「そうですね。ひとりの人間を俳優のように撮らせていただくことで自分の映像を作っていくというのは写真とは切っても切れないぐらいの手法ですが、それを作者はとても巧みに使っています。このモデルとなられた方の協力を得たという信頼関係が、この写真の大きな魅力になっているんじゃないでしょうか」

「出会った頃よりもその後の方が表情が良くなっていて、時系列で見ていくと関係が次第に深まっていくのがよくわかります。また、路上生活者ということではなく、ひとりの人間として捉えていて、人と人とのつながり、またはその逆のつながりの無さが見えてくるところがいいなと思いました」


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