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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2011 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
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FOTO PREMIO NEWS No.18

2011年7月・8月開催のフォト・プレミオ入賞者決定!

先日、「フォト・プレミオ2011」第2期(2011年2月末締め切り)の選考会が行なわれ、4名(2011年7月2名、8月2名)が新たに選出されました。今回の受賞者の作品はどのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

牛垣 嶺「Ceaseless traffic」

カメラ自体が動いているような、とてもリズミカルな印象の写真です。

「リアリティがある写真ですね。作者の目は一貫して、反応できるものだけを選んで撮っている気がします。いつも目に飛び込んできて、自分がそれに対して現実感を呼び覚まされるようなシーンをきちんと撮っていますね」

それに、とても親しげな視線ですよね。自分の周りにある世界、自分のいる社会を優しく見ている気がします。

「絶え間ない“動き”のようなものを、事前にいくつか用意したパターンに当てはめたりせず、そのままの形で捉えているようです。別の街から別の要素を引き出して、自分の心情に絡めて説明しようとするのではなく、その街が“いま、こうあるんだ”と肯定的に受けとめて、それをきちんと表現にしていると思います。だから、見ていて風通しがいいと感じました。街はしっかり動いているということが伝わってくる写真になっていて、そこを何か別のものに変えてしまおうとしていないところが新鮮でした」
「街を素直に見つめていて、しかも心地良さが連続していますね」


横井健治「バザールへ行こうよ」

新疆ウイグル自治区のウルムチで撮られた写真です。長く滞在されたせいか、ここに住んでいる方々を丁寧に温かく撮っていますね。また、空気が乾いてドライなはずなのに、柔らかい印象を受けるのが不思議です。

「マーケットにどういう人たちが集まってきて、どうなるのかを事前によくわかっているように思えて、地に足がついた安定感がある写真になっていますよね。人々やマーケットがこうなっていることを紹介したい気持ちがよく伝わってくる写真だと思いました。民族が混交しているところですが、そんな特徴もしっかり押さえられていますよね」

1枚1枚がとても丁寧に撮られているので、こちらが勝手にドラマを感じてしまいます。日常的なドラマだと思いますが、そこが見ていて楽しいと思いました。

「ツーリストの目では全くないですよね。作者がバザールをずっと撮っているうちに、バザールを通して自分のネイティブな文化とは違ったものに触れているんだろうなという、そういう臨場感も強く感じました」
「スナップなのにスナップじゃない、仕込んで撮ったような落ち着いた撮り方になっていますよね。実際そうではないでしょうが、そんな感じさえ受ける映像になっていると思いました」


中内美帆「Senegambia Dining」

セネガルという西アフリカの国で撮られた、食事の風景を切り取った作品です。

「事件や事故、貧困など、巨大なテーマとともに伝わってくる情報に比べて、アフリカの現在の日常生活はとても伝わりにくい部分じゃないかなと思います。この作品は、食事というテーマを設けることによって、いろんなことを教えてくれる写真になっています。食事に限定することで、現在のアフリカに対して私たちがアプローチする道筋をひとつしっかりと付けてくれた優れたドキュメントになっていると思います」

外国の様子を伝えるニュースはたくさんありますが、異なった生活慣習を見せてくれるようなものは、なかなかマスメディアにはないですよね。

「セネガルの市民がどんな食習慣なのか、よくわからない点はたくさんあるんですけども、人間関係や社会の価値観がこうやってできあがっている文化なんだなということを教えられる、とても参考になる写真だと思いましたね」
「写真の大きな力が出ていると思います。この作品内容を仮にビデオで見せられたとすると、かなり時間がかかって関心が薄れてしまうかもしれません。しかし、写真であれば、たった1枚の中にいろんな読み取りができます。それが写真の大きな魅力で、この作品にもそれを感じます」


ラミンが姪と昼食を共にする。
「こっちに来て一緒に食べようよ。」


道端で出会った女学生の家に招かれる。
「私は喜んでもらうのが好きなだけ。」


野口博行「静止する川」

多摩川の下流域で、満潮時だけに見られる川のリフレクションをうまく使って、私たちが肉眼では気づかないような世界を写真で表現してくれました。

「リフレクションというのは、歴史的にも見慣れた風景というか、たくさんの題材になっているものですよね。それでも見飽きることがないのは、現実の中にリフレクションのような幻影をも含めたものを、総じて“現実”なのではないかと、いつも感じているからじゃないでしょうか」

コンセプトは昔からあるものだとしても、この映像処理の省略した美しさは、素晴らしいと思います。

「撮られた場所が、都会からちょっと離れた郊外の水辺であることがとても大事で、ふとしたきっかけで視線が開放される場所が、こういう水辺じゃないかなと思うんです。その場所で映像的かつ単純な現象を見つけたときに、その面白さに引き寄せられて撮ったという成り立ちがとてもスムーズだと思いました」
「映像原理的な面白さに加え、社会的なコンテクスト、現代社会の特性が読み解けるような、写真にしかできない仕事になっているんじゃないでしょうか。2010年代のリフレクションの描き方が、この中にはあると思います」

真夏に車で走っていると“逃げ水”が見えますが、それを見たときの面白さをこの多摩川下流域の建物群からも感じます。静かでしかも心弾む美しい映像だと思いますね。


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