content

プレミオ通信

フォト・プレミオ 2011 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
プレミオ通信 No.17 プレミオ通信 No.18 プレミオ通信 No.19 プレミオ通信 No.20

FOTO PREMIO NEWS No.17

2011年4月・6月開催のフォト・プレミオ入賞者決定!

先日、「フォト・プレミオ2011」第1期(2010年11月末締め切り)の選考会が行なわれ、4名(2011年4月2名、6月2名)が新たに選出されました。今回の受賞者の作品はどのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

佐藤弘康「Grassland -まきばの一家-」

北海道別海町の酪農一家を撮られた作品です。酪農には厳しい時代だと思いますが、それでも、みなさん幸せそうで、地に足をつけて仕事をされている状況が捉えられています。

「被写体に対してとても肯定的なものの見方をしているので、それが非常に新鮮に映りました。自分の中のファンタジーみたいなものを写真で自己実現するのではなく、目の前にある現実を肯定的に受け入れている透明感のある作品で、面白いと思います。現在の等身大の生活を見せてくれるという点でも新鮮に感じました」 「やはり等身大ということを一番に感じました。ここに生活している人たちにとっての普通に近い光景、日常生活というのが掬い取られている感じがして、それが見ていて心地よい部分でしたね」

写真を撮られた作者もここに暮らしているということで、とても幸せな時間を過ごされているんだろうなと、作品を見ていて思います。

「あとは、労働がテーマになっているというのも大事だと思うんです。普通の人間が労働をして過ごす、ごく当たり前の時間という意外に見過ごされている部分が写真のテーマとしてあって、そこに対しても作者は平静にアプローチしていて、ある種の落ち着きを感じます」


中 涼恵「WELFARE ~CHILDREN'S WELFARE HOUSE~」

なかなか撮りにくい場所だと思いますが、児童養護施設を捉えた作品です。プライバシーの関係で子どもたちの顔は出ていませんが、作者はあえて直接的な説明を避けて表現されたようです。

「確かに、直接的に撮ることができないという条件がまずあるんですけど、逆にそれを利点として撮影に活かしていると思います。はっきり見えないからこそ、社会の深度を感じさせられるというか、こういうことがあるんだなと拝見しながらいろいろ想像させられました」

作者があえて6×7判のカメラを使っているのは、やはり目の前にある光景をしっかり見て撮っておこうという気持ちの表れなのかなと思いました。

「そうですね。微妙なところまで繊細に撮っていて、見る側の感情にも触れてくるようなタイプの写真だと思います。このような場所は、かつてフォトジェニックなテーマとして、扱いやすいエピソードとして日本の写真の重要な骨格をつくってきました。しかし、そこからずいぶん時間が経って、暴露的なテーマの写真としては成立不可能になったいまの時代にこうした世界があることをどう伝えようかというとき、作者は彼らが住んでいる環境がどういう“もの”で成り立っているのか、具体的なひとつひとつをしっかりと見つめることで伝えようとしていると思います」
「プライバシーを守らなければいけないという制約の中でどんなアプローチができるのか。そのひとつの在り方を教えてくれる、いまの時代にふさわしい社会的なドキュメンタリーの指針のように思いました」


今井淳太「STRANGERS」

ルーマニアの首都、ブカレストでの滞在記をまとめられた写真です。目の前を通過した人、目の前にひろがった光景をモノクロでたいへんシャープに捉えた映像になっています。

「現実にあるブカレストの風景を、おそらく作者は自分のファンタジーに忠実に、その世界と出会ったときの自分の反応を確かめるように撮っているのではないでしょうか」
「ただ、それがひとりよがりの感傷的な写真に陥っていないのは、風景や人間に出会ったときの反応がシャープかつクリアに捉えられていて、確かな眼差しを感じさせるからだと思います。スナップの基本に忠実な、原点を感じさせるタイプの写真ですよね」

作者がなぜブカレストを訪ねたかはわかりませんが、この作品を見ていると“(作者が)行ってよかった”と感じます。

「写真家にとって、そういう勘は大事ですよね。“何かはわからないけど、ここに行けば何かありそうだ”というのが、ピタリと合うことがやっぱり写真家の才能なんじゃないでしょうか」
「“なぜブカレストか”ということでは、昔から日本人の感性の型にヒットする部分がロシアや東欧にはあるのかもしれませんね。若い作者ですが、ロシア・東欧を日本人が理解する“伝統”に連なる現在形がここにあるのかなという感じがして、非常に興味深いなと思いました」


小松里絵「いくつかの空の下 -かわらないモノ-」

カメラからかなり距離を置いて、遠くにいる子どもの姿を周辺の情景や空気といっしょに撮っている作品です。

「いま“子ども”というと、少子化やいじめなどがクローズアップされて政治的な課題にもなっていますけど、この子どもたちの街中でのたたずまいを見ていると、偏って子どもたちを見る目線が強まってしまったんじゃないか、ということを考えさせられますよね」

いわゆる子ども写真の典型とは違って、街中にいる動物などを気づかれない距離感でとても楽しく見つめている写真に近いのかなと思いました。

「確かに、動物の生態を観察するかのような眼差しをすごく感じます。それは本当は大事なことで、抽象的な子どもは部屋の中でテレビゲームをやっていたりするんでしょうけど、実際に“子どもはどこにいるか”というと、現在、それを正当に見せてくれるのはこういった眼差しを持った写真なんじゃないでしょうか」
「それが“かわらないモノ”と作者が言っていることですよね。不易流行は必ずあって、現在の子どもは20年前の子どもとはずいぶん違うと思いますが、ただ、変わらず屋外で遊んだり、ちょっと危ないところに登るのが好きだったりすることは確かで、そこに共感を持った作者が、その動きを楽しんで見ているというところがあると思います」


入賞者のご紹介へ戻る

ページトップへ戻る