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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2010 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
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FOTO PREMIO NEWS No.15

先日、「フォト・プレミオ2010」第3期(2010年5月末締め切り)の選考会が行なわれ、4名(10月2名、11月2名)が新たに選出されました。今回の受賞者の作品はどのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

佐野剛成「なぜなら風はその路上で停滞したゆえに」

たいへん雰囲気のある映像を作品としてまとめられたと思います。

「撮っている人がいったい何を探しているんだろう、ということを考えさせられる写真ですね」
「多くの写真の場合、“こういう状況もあるだろうな”と納得させられる光景が写真になっているものですが、この作品は、撮影したその場に作者が立っていたとしてもこういう光景は見えていないんじゃないかと思うんです。それは私たちが発見した光景であって、その光景を見て何を考えるかは見る人が勝手に想像してほしい、と作者は投げかけているんだと思います。自分から何かを主張するのではなく、“こういう光と影と色がありました”ということを作者が楽しんでいるんじゃないでしょうか」

また、この方は言葉の使い方が面白いですね。ちょっと入りにくい文法を使っていたりしますが、それ故にどうしても気になってしまうのかもしれません。

「パッと見たときには特別な写真には思えないんですが、もう一度見返すとアレッ!と引っかかってくる作品ですね」
「そうですね。最初はその良さがわからないんですが、本当に何回も見ていくと味わいが出てくる写真だと思いました」


武田充弘「The Rhythm of Ganga」

ガンジス川上流のヒマラヤからベンガル湾の河口に至るまでを取材された写真です。インドを撮った作品はこれまでも数多く紹介してきましたが、また、ちょっと違ったインドがここにはあるような気がしますが、

「いわゆるインドをテーマにした作品には、“インド”という違う文化の世界が前提としてあるんですけど、この作品はそこに惹かれながら撮っていないと思うんです。もっと身近な自分の日常生活と一体化して撮っているから、見ていて押し付けがましくないですよね」
「エキゾチックなものを探し求めたインドの写真を見過ぎた目には、新鮮に映りますね。高いところから見下すような撮り方をせず、自分の日常的な感覚でそこに暮らす人たちの生活をきちんと同じ目線で追っていると思います」

目線が高くも低くもなく、レベル目線というか被写体に寄り添う感覚がありますね。

「その土地のことをきちんと勉強してから取材し、長い時間をかけてこだわって撮っているというのがわかりますよね」
「一部のドキュメンタリー写真にありがちな、どんどん前に出ていってクローズアップでエキゾチックなシーンを強調するような撮り方とはまったく違いますよね。もっと引いて、土地の人々の生活をリスペクトしながら撮っていると思います」


村山謙二「国境の街」

中国とその周辺のロシア、モンゴル、ベトナム、ラオス、カザフスタン、ネパールを巡って、まさに“国境の街”を撮った作品です。

「とても丁寧に取材されていると同時に、あざとくないくらいに画面構成がとてもうまい方だなと思いました。画面の隅々の見せ方などにすごくセンスを感じますね」
「若い写真家ですが、とても落ち着いた撮り方だと思います。フィルムカメラを使っているということも影響しているんでしょうか」
「着想がいいと思いました。“国境”という言葉に牽引されて撮っていると思います。国境という言葉にはもちろん地理的な意味もあるけど、もっといろんな隠れた言葉の意味を想像させますよね」

写真を撮るときに、ここに応募される多くの方が自分の思いで作品をまとめてこられます。ときに難解なコンセプトもあったりしますが、この作者のようにとてもストレートな切り口を見つけるというのは容易なことなんでしょうか。

「わかりやすいけれども、そんなに簡単なテーマではないですよね。それをとても丁寧に、時間をかけて取材しているから、たぶん撮っている量も他の人に比べて桁外れに多いと思います。その中から選んでいるので、深みのある作品が残っているんじゃないでしょうか」


古谷紀子「ハバナ・スターズ」

モノクロームで、たいへんきれいにプリントされた写真です。この作品も本人がファインダーの中をよく見つめて撮っていることがすぐにわかるような写真だと思います。

「今回の作品の中で、もっとも“異郷感”が感じられて、とても楽しく拝見できました」
「外国で撮影された作品が今回も多く応募されてきましたが、やはり外国で撮ると、笑っている人のポートレート的な写真がけっこう多いんですが、この作品にはそういう写真があまりありません」

旅行者の写真には見えませんよね。

「そこが面白いですね。また、小気味いいくらいにシャープなモノクロームの表現(プリント処理)が大きな魅力になっているんじゃないでしょうか」
「旅行の写真というのは“異郷”を写しているようでいて、結局は“自分”を撮っていることが多いんです。この作品の場合は、あまり旅行者の写真じゃないということがかえって“異郷”を感じさせて、異郷の世界に接しているように感じさせてくれているんだと思います」
「さらに、人間観察の力が素晴らしいと思いました。本人がまったく消えているというか、それくらい相手の世界にスーッと入ることができて、この方のスタイルや作品の味わいをつくっていますよね」


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