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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2010 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
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FOTO PREMIO NEWS No.13

先日、「フォト・プレミオ2010」新年度第1期(2009年11月末締め切り)の選考会が行なわれ、4名(2010年4月2名、5月2名)が新たに選出されました。今回の受賞者の作品はどのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

杉野真理「うつせみの記憶」

二眼レフカメラを使って、街の光景をとても丁寧に撮っている作品です。

「見ていてすごく楽しい写真だと思いました。撮っている作者が、写真のことを丁寧に考えているし、被写体への眼差しもとても丁寧ですよね。たぶん作者本人の生き方がとても丁寧なんだろうな、と思わせる作品です」
「繰り返されている普通の日々の光景なんですけども、例えていうなら、それをルーペでのぞいているような感じがしました。全体を見る距離感と、その中の興味のあるものをルーペで部分的に見るような距離感とがいっしょになっていて、とても楽しい写真です」
「ひねった視線じゃないんですよね。笑いたくなるような、どこかひねった写真の世界がこれまでにあったとしたら、この作者の視線はちょっとそういう世界とは違うような気がします」

まっとうに生きているという感じがしますよね。

「人に真正面から向かっているんだけど、被写体になっている人を判断してないというか、好きとか嫌いとかを決めず、ただそこにいる人を誠実に見ている感じがしました」
「いい意味で、こういう写真を撮りたいという思いがないんですよね。作者の目にフィルターがかかっていないんですよ。人間を典型として見ようとしていなくて、そこがいいと思いました」


竹田武史「茶馬古道をゆく」

中国の雲南省や四川省など、有名なお茶の産地を約7ヶ月という長い時間をかけて取材された、非常にシュアな視線で捉えられた作品です。

「達者な画面を作る方だなと思いました。一点一点が写真として本当に上手いと思います」
「本来、あまり達者だとかえって嫌味なんですけども、その嫌味さが感じられないところが素晴らしいと思います」
「“文化”という言葉や考え方、概念といったものが、こういうものだということを少し考えさせられる写真でしたね。写真の中に時間が濃縮し、蓄積されている感じがして、それが画面が整って見える原因になっているんじゃないでしょうか」

あまりにも画面が整いすぎていることで、作者の個性がなくなっているという危険性はあるんじゃないでしょうか。

「その危険はあると思うんですが、ギリギリのところの表現に踏みとどまっていますよね。この(写真の状況の)中に入ってみたいとか、おいしそうだなとか、素直な感想も持ててしまう写真だと思いますし、あまりに達者すぎるとそういうことを感じさせないですから」
「フォト・プレミオでは、個性的で、いままで見たことがないような世界との付き合い方をしている写真家がたくさん登場しますが、今回のこの作者の視線は万人にアピールできる視点ということで、フォト・プレミオの中ではちょっとユニークじゃないでしょうか」


地頭所和徳「終わらない劇場」

とても面白いタイトルの作品ですが、人間を風景として捉えて、それが画面としての面白さを引き出していると思います。

「ひとりひとりの形とか、全体の構図とか、画面として本当に面白いですよね。なおかつ部分の面白さだけじゃなく、その背後にある全体像をしっかり見ているという姿勢も持っていますし」
「街の光景を切り取ったということでは、先述の杉野さんが人間の“個”を大切に捉えているのに対し、この作者は人間を“マス(集団)”として大事に見ているところが面白いんじゃないでしょうか」

無個性というか、においも感じないし、音も感じない。それは、ある部分で現状の日本の社会が見えてきているということでしょうか。

「それがいけないと思いませんが、写真はそのことを正直に語っていますよね。ご本人はそこまで考えて撮られたかどうかはわかりませんが、写真を見ているとそういうところも意識させられます」
「こういう集団を不条理なことだとか、奇異なものだとするようなフィルターがかかっていないところがいいですよね。いずれにしても、とても日本的な風景です。これを外国人が見たらどう思うんでしょうか」


國森康弘「人生最期の1%」

島根県の小島のホスピスに暮らす人々の姿を掘り下げた作品です。しみじみとした光に満ちた写真が印象的です。

「とても鋭いドキュメンタリーですね、これは」
「作者はこの重大なテーマをずっと撮り続けている方のようです。一過性のテーマではなく、正面からこの大きな問題に取り組まれてきたということです」
「戦争などを取材されてきた方だから、やはり死というものに対して感じることは非常に大きいでしょうね」
「見る人それぞれが自分の生き方や内面に思い至らせられる、そんな強さがこの写真にはありますね。写真自体が窓枠のような感じがして、私たちはそれを眺めていくうちに考えさせられてしまうというか…」

それは、誰もがこれから行く道だからなのでしょうか。

「歳をとった人を撮る場合、写真の要素として面白く撮ろうとすればいくらでも撮ることができます。しかし、歳をとった人を素材と考えて、自分の写真を上手く見せるために撮るというのには疑問を感じてしまいますが、この作品はそういったところが全く感じられないと思います」
「顔のアップなどもありましたが、できるだけ引いた写真に魅力を感じます。また、この島の環境も素晴らしいんじゃないでしょうか。都会に暮らす人とこの島に暮らす人の“場”の違いみたいなものが、私たちにまざまざと迫ってくるように思います」


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