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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2009 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
プレミオ通信 No.9 プレミオ通信 No.10 プレミオ通信 No.11 プレミオ通信 No.12

FOTO PREMIO NEWS No.11

先日、「フォト・プレミオ2009」第3期締め切り分(2009年5月末)の選考会が行なわれ、4名(10月2名、11月2名)の方が新たに選出されました。今回の受賞者の作品は、どのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにまとめてご紹介します。

山内 浩「聖河の周辺」

ヒンドゥー教の聖地であるインドのバラナシで撮られた写真です。いままでにもここで撮影した写真は数多く発表されていますが、今回の作品には新しい切り口があるように思えますが、

「生活により近い、普通の人をとらえているところが、切り口として新鮮ですね。そこでの光景を異色のものとしてとらえるのではなく、普通の生活を撮っているジャーナリスティックな写真だと思いました。そして、画面構成やシャッターチャンス、色などが、かなり完成されていて、技術的にもレベルの高い作品だと思います」
「こういう写真はモノクロで見慣れているせいか、カラーで、しかもわりと相手に近寄って撮っているという写真なので新鮮に感じました」

ずっとアジアを巡って撮られている方だからでしょうか、その場所へスッと溶け込んで撮ることができるんでしょうね。

「異邦人の目であるのは間違いないから、こうした写真を見るときにはいつも、この地域・風土の“生活のどのような部分が写っているんだろう”というのが気になります」
「生活が写っているということで言えば、作品の中のひとつに石けんで顔を洗っている人のシーンがありましたが、こういう場所を撮影した写真としては、とても面白いものだと思いました。そんなところからも新しい切り口を提示した作品と言えるのではないでしょうか」


堀内陽子「ありふれた時間」

モノクロ写真で構成された作品ですが、とても濃密な時間が流れているように思います。

「東京とその近郊のふだんの晴れた日を切り取った写真で、絵になる要素はそれほどないのに、それでも一枚一枚がきちんと写真として成立しているところが見事です。ごく自然な形で良い部分と毒のある部分とが少しずつ含まれているというか、平和なんだけど平和じゃない日本の状況みたいなものが感じられますよね」
「同じ場所に住んでいる私たちにしか理解できない写真かもしれないですね。こういう時間を撮影する写真というのは、写真のメインストリームのひとつなんじゃないでしょうか。自分たちの現実が鏡に映っているような感覚を見る人に感じさせる写真ですから、些細な時間を発見して撮ったこういう作品は、見る側にとっても見るという行為が貴重な時間になると思うんです」

作者は、まさに“ありふれた時間”にドラマや物語を常に発見することができるんでしょうね。

「さまざまなタイプの写真家がいる中で、ジャーナリストの視点に立った写真家もいれば、この方のように、それと対峙する“フォトグラファー的”な作風の写真家もいます。こういう作品は、時代の記憶として長く残っていくんだろうと思います」


中嶋太一「龍の流れし夜」

高架の線路を夜景でとらえた作品です。モノレールなどの線路が、ビルの谷間をぬって走っているシーンが収められています。

「大都会の夜景の作品というのは応募も多く、たくさん拝見していますが、この作品は線路のくねった軌跡や構造物の流れを、“龍”になぞらえているところが面白いですね。線路を龍になぞらえて、そこに気持ちを寄せていくと、とても面白く見られる写真です。また一方で、あらゆるものがどんどん人の心から離れていく時代と言われていますけど、この作品を見ていると、本当に人工的なものとかヴァーチャルな感覚というものがますます進行しているんだなということを思い知らされます」

じっくりと見ていると、写真でつくった童話の挿絵のような感じもしますが、

「どこか官能的なところがありますよね。写真家というのは、そういう物に対する執着というか、“フェティシズム”の要素を持っているものだと思います」
「あらためて見ると、私たちはこういうところに住んでいるんだなという気がしました。本来であればあまり人間が住みたくないような環境の中に、実際は住んでいるんだなということを浮き彫りにさせる写真ですよね」


上野雅之「砂漠の人」

インド西部の小さな村に、作者が滞在して撮影した写真です。

「さきほどのバラナシを撮った写真がジャーナリストのものだとしたら、こちらはドキュメンタリーの作品だと思いました。時間をかけて、その場所にいっしょに住んで、そこの人々の中に入って撮っていくという、オーソドックスなドキュメンタリー写真の手法で撮られています。しかし、画面のつくり方はそれほどオーソドックスではなく、俯瞰するような部分があったりして、この作者もまた技術的にレベルが高いと思います」
「とても“目”が細やかですよね。パッと見て、印象だけで終わってしまうような写真ではなくて、画面の中で見る人の目を隅々まで動かせてしまうような、そういう細やかさがあるから見ていて楽しいんだと思います」

ここに写っている土地は、自然が厳しく生活もたいへんだと思うんですが、そういう部分が前面に出てこないですよね。

「ジャーナリスティックな視点で描かれていないからだと思います。そうではなくて、“大地の恵み”をこの厳しい環境の中でも感じ取っている人たちが、平和に静かに暮らしているということを描きたかったんじゃないでしょうか。この作品からはそういう印象を受けます」
「特殊を超えた普遍というか、そういうものを見ようとする視点ですよね。ロバート・フラハティの記録映画や、ウォーカー・エヴァンスをはじめとした1930年代のFSAプロジェクトの写真と共通するものを感じました」


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