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プレミオ通信

フォト・プレミオ 2008 入賞者

第1期展示入賞者
(11月末締切)
第2期展示入賞者
(2月末締切)
第3期展示入賞者
(5月末締切)
第4期展示入賞者
(8月末締切)
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FOTO PREMIO NEWS No.8

先日、「フォト・プレミオ2008」第4期締め切り分(2008年8月末)の選考会が行なわれ、6名(2009年1月~3月・各2名)の方が新たに選出されました。今回の受賞者の皆さんは、どのような点が評価されたのか、また、選考委員が作品を選んだポイントなど、選考会でのコメントをそれぞれの作品ごとにご紹介します。

岩本浩典「WARNING!!」

とても工夫をこらして表現された面白い作品ですが。

「技法としては本当にレトロなものだと思います。このレトロな技法が、内容とうまくマッチしてインパクトのある映像になっているんじゃないでしょうか」

古くて新しい写真と言えるのでしょうか。

「作者が使っているフォトモンタージュというのは、写真が生まれて最初に出現してきた技法の一つですね。もちろん当時は、この作品のような形で重ねたりはしていませんが」
「写真が始まったころからソラリゼーションなどの技法もよく知られていたわけですが、モダニズムの作家たちがのちに再発見して活用したということもありました。こうした原初的な技法は何かのきっかけがあるたびに復活、つまり新しい価値として生まれ変わって登場してくるようですね。そのきっかけの思いをこの作者がさらに突き詰めていってほしいと思います」


織田健太郎「confrontations」

走っている電車の窓から、踏み切りで電車が通り過ぎるのを待つ人々の姿をとらえたスナップショットです。

「結果がわからないまま、偶然にすべてを賭けて撮っていますね。カメラに表現をすべて託している。まさに写真の原点とも言えるし、それをうまく表現に結びつけていると思います。待っている人のそれぞれの表情から“こんな顔して私たちは踏み切りに立っているのかな”とも思わせられて、そういう面白さがしっかり伝わってきますね」
「偶然に委ねて撮影するというやり方は、自分ひとりの意志の世界よりももっと広いものが網にかかってくる可能性があり、写真が他のメディアにはない広い表現領域を取り込めるひとつの希望だと思います。スナップショットがなかなか成立しにくい中で、人間を撮ることがこういうやり方でも持続しているということが、面白いし望ましいことだと思いました」

むずかしいからか、若い方々はスナップショットを撮らなくなっている傾向にありますが、この作者は果敢に挑戦して新鮮な映像に仕上げていますね。

「電車の窓からしか見えない、街を歩いていても見えない世界ですよね。その面白さ、日常私たちが目にしている瞬間的に通り過ぎてしまうものを止めて見せてくれていると思います」


カモ マサユキ「America, Americans」

大判カメラにカラーネガフィルムを詰めて、バスでアメリカ大陸を2ヶ月間にわたって撮影旅行したという作品です。

「写真の中をズーッと歩かされるような面白さがありますよね。スキャナーの光軸の動きのような感覚で写真の中を歩かされるというような、とても面白い経験をさせてもらいました」
「アメリカは、まず“広さ”とか“遠さ”といった対象との距離感が、日本のような緻密な空間とは質の違う土地だと思うんですけども、そういう土地が持っている広がりとか遠さみたいな感覚が、おそらくここには描かれているんだろうと思いました。また、いい意味でポストカード的な良さがあって、遠景を写したポストカードが連続していくような感覚を見ていて感じました」

写真を見つめていくうちに、自分たちがその中にもうひとつ何か発見できるような楽しさがあるんですね。

「他のものと違って、こういう大きなカメラでは1枚を撮るということに神経を研ぎ澄まして集中することになるんだと思います。そういう写真の撮り方、スタンスのあり方の面白さも、あらためて教えてくれている気がしました」


井上麻衣「白いユートピア」

住宅展示場の中にある新しい家の内部を撮った、とても意欲的な作品です。

「私たちの潜在的な憧れの内容を見せつけられているような写真です。ひょっとしたら、良きにつけ悪しきにつけ、自分の好き嫌いは別にして、こういうものを望む本質を持ち合わせているのかなと感じさせられて、ヒヤッとする写真ですね」
「私たちの平均的な夢とか一般的な欲望とかが、こういうところに形となって現れたものを見せられているようです。ただ、写真自体は端正に作られていて、その中でかすかに不気味さというか居心地の悪さを見る人に伝えていく、周到な仕掛けがもしかしたらあるのかなと思いますが」

日本人は豊かになったと言われているし、そう思っているけれど、この写真を見ていると本当は貧しいんだなと思ってしまいますね。

「ええ。精神風土の貧しさを感じさせられるんです。そういう意味では強い批評的な視点を持った作品だということになります」
「これが日本人の美意識のひとつの表現だとすると、本当にパッチワークのように、あっちから持ってきてこっちから持ってきてという、そういう美意識の“質”ということを感じさせられて、ドキッとします」


鈴木洋見(Dai)「origin of humanbeing Ethiopia」

オーソドックスな美しい映像で、私たちが見たことないような異文化の世界を撮ってきた作品です。

「素直に感動しました。自分の知らない世界を写真家が教えてくれることが、最も基本的な写真の楽しみだと思うんですけども、そういう素朴とも言える回路がきちんとつながった写真は、じつはそんなに多くないんです。これを撮った作者はそういう素朴さを持っていて、人や風景などと率直に出会える資質を持っているから、これらの作品につながったのだと思います」
「フォトジャーナリストが撮ったドキュメンタリーの作品は多いんですけど、彼の作品はとりわけドラマチックなんですよね。作者独特の表現力があると思うし、そこがすごく魅力的だと思います」

独学でここまでの視点を獲得するのは、たいへんなことだと思います。素晴らしいですね。

「そうです。まったく今の日本の文化と違う環境がここに表されているんです。見ていると行ってみたくなりますね、簡単には行けないでしょうが。それにしても不思議な魅力に満ちた国が写っています」


大丸剛史「箱」

東京を中心とした都市光景をとらえた作品です。こういう写真は珍しいという評価がありましたが…。

「これは本能なのか、いつからか私たちの中で培われたものかもしれませんが、一番近いところへ行くとかまっすぐに線を引くとか、そういう合理性に憧れる近代の精神というものが、この作品を見ていて私たちの関心のひとつの軸をなすようになったんだなという感じがしました」
「コンクリートのビルと日本家屋との対比で出来上がった風景写真というのは、おそらく無数にあると思います。でも、それをやるとだいたいは平面性が崩れていくはずなんですよ。しかし、この作者の場合は植物などの有機的な要素や古い建物なども自分の造形性の中に組み込んで、ひとつの絵画的な構築性を強めているところに技量を感じます」

作者がこう撮ってくれたおかげで、はじめて見えてきた光景があると思ったんですが。

「どこかグラフィックデザインのような構成というか表現ですね。タイトルの“箱”という言葉から伝わってくる立体感みたいなものをなくして、フラットな面にしてますね。そこが非常に個性的なんです。遠近とか凹凸があまり感じられなくて、すべてが面になっているから、それがグラフィックなものに感じるんです。そして、新しい光景を見せられている感覚に引き込まれるんですね」


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